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「ノリ」は仕事の成果を変える|反応する人・しない人の違い|琉球菓子処琉宮

前回、「反応力」をテーマに記事を書きました。

人から何かを教えてもらったとき、誰かが声をかけてくれたとき、新しいことが始まったときに、どう受け止め、どう返すのか。そんなことを考えながら記事を書いていて、その思考を深めていく中で、どうしても切り離せないもう一つのものがあると改めて感じました。

それが、「ノリ」です。

「ノリ」と聞くと、場当たり的だったり、軽かったり、単にテンションが高いことを想像する人もいるかもしれません。もちろん、明るく場を盛り上げるようなノリも大切です。
しかし、ここで言いたいのは、もう少し仕事や人間関係の根っこにあるものです。

誰かの働きかけを気持ちよく受け取り、それに応えたものが、また次の人や次の行動につながっていく。

私は、そんな流れが生まれている状態を「ノリがある」と考えています。


ノリのある人と仕事をすると、なぜ楽しいのか

何か新しい方法や技術を教わったとき、
「面白そうですねぇ。やってみたいですねぇ。」と返してくる人がいます。
そんな反応が返ってくれば、教えた側も嬉しくなりますし、
「だったら、こんなやり方もあるよ」と、もう一歩先まで教えたくなるものです。

想定していなかった仕事を任されたときも、「なんで自分がやるの」と受け取るのか、「なにか気付きがあるかも?まずやってみよう!」と一歩前へ出るのかでは、その後が変わります。

チームで新しいことに挑戦するときにも、誰かの「それ、いいですね」という反応に対して、別の人が「だったら、こうしたらもっと良くないですか」と乗ってくることで、最初のアイデアがさらに膨らんでいくこともあります。

一人の働きかけで終わらず、誰かが受け取り、それに反応し、その反応をまた別の誰かが受け取る。
人と人との間をボールが行き来するように反応が続いていくと、そこには自然と仕事の勢いが生まれます。

ですので、ノリのある人と働くのは純粋に楽しいですし、ノリのあるチームは結果として成果も出しやすいと思っています。

「ノリ」は、単なる精神論ではない

これは、「明るく元気にやりましょう」というだけの精神論ではありません。

人の感情や反応が周囲に影響することは、組織心理学や社会心理学の分野でも研究されており、その一つに「感情伝染(Emotional Contagion)」と呼ばれる現象があります。
簡単にいえば、人の感情やその場の空気は、その人だけで完結するものではなく、人から人へ広がっていくということです。

組織における感情伝染を調べた実験研究では、ポジティブな感情が集団内に広がると、メンバー同士の協力が増え、対立が減り、課題の成果に対する評価も高まることが示されています。

私たちも仕事をしていると、「この人がいると、なぜか周りまで動き出す」と感じたり、「このチームでは自然と意見が出てくる」と感じたりすることがあります。
そこには、人の感情や態度がその場に影響を与えるという、人間の性質も関係しているのだと思います。

さらに、チームという視点では「心理的安全性」も関係します。

心理的安全性というと、「何を言っても許される職場」と誤解されることがありますが、そうではありません。
分からないことがあれば「分からない」と言い、間違いに気づけば伝え、自分なりの考えがあれば「こんなのはどうでしょう」と声に出せる。
そのように、人との関わりの中で必要な反応を安心して返せる状態です。

エイミー・エドモンドソン教授の研究でも、心理的安全性は、質問をすることや助けを求めること、失敗について話すことなど、チームが学んでいくための行動と関係することが示されています。

琉宮でいう「相互教育」も、このことと大きく関係しています。

つまり、ノリのあるチームとは、ただ明るく騒がしいチームではありません。
誰かの働きかけを周囲がきちんと受け取り、そこから次の考えや行動が生まれていくチームなのだと思います。

逆に、ノリのない状態も伝わっていく

ここは、とても大切なところです。

良い感情や良い反応が周囲へ伝わるのであれば、当然、その逆もあります。

誰かが提案しているのにほとんど反応がなく、声をかけても返事が薄い。
新しいことを始めようとしても興味を示さず、仕事を任されれば最初から面倒そうな表情をする。
中には、あえて反応せず、できるだけ関わらないようにしている人もいるかもしれません。
本人は「別に悪いことは言っていない」と思うかもしれません。

しかし、仕事や人間関係では、何も言わなければ何も伝わっていないわけではありません。
返事の仕方や表情、声の調子、相手の話を聞く姿勢まで含めて、私たちは常に何かを周囲へ返しています。

一生懸命に提案したことに毎回ほとんど反応が返ってこなければ、その人もいずれ「もう言わなくていいか」と考えるようになります。
新しいことを始めようとするたびに面倒そうな空気が返ってくれば、それまで前向きだった人まで徐々に動かなくなることがあります。

私は、ノリのない状態は、確実に場の熱量を奪うと思っています。

少し厳しく聞こえるかもしれませんが、仕事をする以上、これは軽く考えないほうがいいことです。
良い反応が次の良い反応を生み出すのと同じように、無反応や後ろ向きな反応もまた周囲へ影響し、やがてチーム全体の動きを鈍くしてしまうからです。

販売でも、製造でも、事務でも理屈は同じ

ノリという言葉から、接客や営業のような、人と直接話す仕事を思い浮かべる人もいるでしょう。

しかし、私はどんな仕事でも理屈は同じだと思っています。

販売では、お客様の様子を見ながら声のかけ方や商品の伝え方を変えますし、製造では、新しい作り方や改善方法を教えてもらったときに、それをどう受け止め、試してみるかが仕事の改善につながります。
事務でも、「こうすればもっと早くできるのでは」という提案をどう扱うかによって、その後の効率は変わりますし、電話対応でも、相手の言葉や声から何を求めているのかをくみ取り、それに応じた返し方を考えます。

仕事をしていれば、お客様の様子、上司からの指示、仲間からの相談、取引先からの連絡、さらには数字から見えてくる変化まで、毎日さまざまな働きかけを受けます。
それをどう受け取り、何を考え、次にどう動くのか。販売でも営業でも、モノづくりでも事務でも、この原理は変わりません。

仕事とは、ある意味では「受け取って返す」ことの連続です。

だからこそ、その人が目の前の出来事にどう向き合うのかを見ると、仕事への姿勢も見えてくるのだと思います。

一日のノリは、朝から始まっている

そして私は、「ノリ」を考える上で、朝はとても大切だと思っています。

今日という一度きりの一日が、これから始まります。
人生という大きな時間で考えても、今日という一日は二度と戻ってきません。
そう考えれば、朝は単なる昨日の続きではなく、新しい人生の一日が始まる時間ともいえるのではないでしょうか。

そのスタートから、たとえば、ため息をつき、どんよりした表情で、「ああ、今日も仕事か」「疲れた」「面倒だな」とネガティブな言葉を口にする。
あえて自らストレスを呼ぶ流れを作るのは、大きく損をすると思います。

もちろん、毎朝いつでも元気でいられるほど人間は単純ではありません。
体調が悪い日もありますし、心配事や悩みを抱えている日もありますので、つらいときまで無理に笑って明るく振る舞えという話ではありません。

しかし、体調や事情が良くないことと、自分から今日という一日を悪い方向へスタートさせることは別の話です。

実際、仕事を始めた時点での気分と、その後の仕事への影響を調べた研究では、仕事開始時の気分が、その後の顧客とのやり取りをどう受け止めるかや一日の感情と関係し、それらが仕事の質や生産性とも関連していることが報告されています。

そう考えると、「朝の気分くらい仕事とは関係ない」と簡単には片づけられません。
朝の「おはよう」という一言でも、相手の顔を見て気持ちよく返すのか、ほとんど相手を見ずに一日を始めるのかでは、本人だけでなく、その場にいる人が受け取るものも違います。

一日の流れは、何か特別な出来事が起きてから決まるのではなく、実はこうした朝の小さな態度から、すでに作られ始めているのだと思います。

ノリの良さは、生まれつきの性格ではない

「自分はもともと明るい性格ではないから、ノリは苦手だ」と考える人もいるかもしれません。

しかし、私がここでいうノリは、生まれつきの性格の話ではありません。
大きな声を出したり、いつも中心に立って場を盛り上げたりする必要もありません。
人から話しかけられたときには相手に顔を向け、何かを教えてもらったら「ありがとうございます」と返し、面白いと思えば「それ、いいですね」と言葉にする。今までやったことのない仕事を任されたときも、最初から嫌がるのではなく、「まずやってみよう」と一歩動いてみる。

そう考えれば、ノリの良さとは特別な能力ではなく、目の前の働きかけに対して、自分がどんな姿勢で応えるかという選択なのだと思います。

もちろん、いつでも前向きな反応ができるわけではありません。
それでも、何かを受け取るたびに「面倒だ」と自分のところで止めてしまうのか、一度受け止めて「ちょっとやってみよう」と次へつなぐのかは、自分で選ぶことができます。

大切なのは、自分のところで流れを止めないことです。

一日の積み重ねが、人生になる

ここまで仕事について書いてきましたが、この「ノリ」は人生全般にも同じことがいえると思います。

誰かから誘われたり、知らないことを教えてもらったり、新しい人と出会ったり、自分が今まで知らなかった世界に触れたりすることは、人生の中で何度もあります。

そんなとき、「興味がない」「面倒だ」「自分には関係ない」と最初から閉じてしまえば、そこで話は終わります。
一方で、「ちょっと面白そうだな」「一回やってみようかな」と反応すれば、それまで知らなかった人や経験とつながることがあります。

一つひとつは小さな違いです。
しかし、その違いによって出会う人が変わり、経験することが変わり、身につくものも少しずつ変わっていきます。

そして人生は、結局のところ、そうした一日の積み重ねです。
今日一日をどんな気持ちで始め、目の前で起きたことをどう受け止め、人から投げかけられたものに何を返すのか。その繰り返しが仕事への姿勢になり、人との関係になり、長い時間をかけて自分自身の人生を形づくっていきます。

ですので、ノリとは単に表面を「楽しくやりましょう」という軽い話ではありません。
人から受け取ったものを気持ちよく受け止め、自分もまた周りへ良いものを返していくこと。

そんな人の周りには自然と人が集まり、情報も集まり、仕事も動き、結果として新しいチャンスも生まれやすくなると思います。
反対に、何に対しても心を閉じ、あらゆる働きかけを自分のところで止め続けていれば、周りの流れを止めるだけではなく、知らないうちに自分自身へ入ってくるチャンスまで減らしてしまうかもしれません。

一日の積み重ねが人生であるなら、今日どんな姿勢で人や出来事に向き合うかがそれ以降を左右します。
まずは今日、誰かから投げかけられたものに、いつもより少しだけ良いものを返してみる。

そんなところから、仕事も人間関係も、そして自分自身の毎日も変わり始めていきます。

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