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sabiki_ao96
【連載小説|ホラー】プロローグ:Setup.exe―観測の代償―/構築済み:ドキュメント・零
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以下、本編です。
その動画を再生した瞬間、あるいはこの頁を捲った瞬間。
あなたのデバイスのインカメラが、一瞬だけ、目に見えない速度で明滅したことに気づいただろうか。
『フェイクドキュメンタリー』
人々はその言葉に安堵する。それが作り物であり、画面の向こう側の出来事だと信じているからだ。
だが、デジタル制御されたこの世界において、『境界線』などというものは、単なる古いプログラムのバグに過ぎない。
画面を見つめるあなたの瞳。
その角膜に映り込んだ光の配列を、システムは既にスキャンし終えている。
あなたの視聴時間、瞬きの頻度、そして今、この一行を読み飛ばそうとした指先の震え。
それらすべてが、0と1のパルスとなって、存在しないはずのサーバーへと吸い込まれていく。
【ドキュメント・零】
このチャンネルには、台本も、役者も、演出家もいない。
あるのは膨大な『素材』と、それを最適化する『意思』だけだ。
今、あなたの部屋の隅で、スマートスピーカーが微かにノイズを発した。
今、あなたのスマートフォンの通知ランプが、意味もなく一回だけ点滅した。
それは、システムがあなたを『認識』した合図だ。
ようこそ。
あなたの人生という名の『未編集素材』を、我々は心待ちにしていた。
レンダリングを開始します。
――中断は、許可されていません。
第一話へ続く
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