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危篤と言われた日

「今夜が山かもしれません」

医師にそう言われたあと、多くのご家族は、廊下で同じことをされています。携帯を握ったまま、誰にかけるかを決められずに立っている。

さいたま典礼にも、この段階でお電話をくださる方がいます。「まだ亡くなってはいないのですが」と、必ず申し訳なさそうに切り出されます。

先に、2つお伝えします。

危篤は、「必ず亡くなる」という意味ではありません。 医師がこの言葉を使うのは、いつ何が起きてもおかしくないから会っておいてほしい、という意味です。実際、そこから持ち直される方がいらっしゃいます。

そして、いま葬儀社に連絡する必要も、まだありません。

この日にすることは、3つです。そばにいる。知らせる。備える。 そして、やってはいけないことが1つあります。

まだ「危篤です」とは言われていないけれど、状態が良くない──という方も、そのまま読み進めてください。この記事は、その手前の方にも書いています。

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■ その1:そばにいる ─ 危篤は「必ず亡くなる」ではありません

〈どのくらい続くか、決まっていません〉

これを最初にお伝えします。

危篤の状態がどれくらい続くかは、決まっていません。 数時間のこともあれば、2週間続くこともあります。持ち直して退院された方もいらっしゃいます。

だから、最初に交代を決めておくという方法があります。誰かが帰って寝る。食べる。着替える。全員で張りついて全員が消耗していくのを、私たちは何度も見ています。

〈席を外している間に、という方はたくさんいらっしゃいます〉

先にお伝えしておきます。

売店に行っていた。いったん家に帰っていた。ほんの十分、廊下に出ていた。その間に、という方はたくさんいらっしゃいます。

それは、見捨てたということではありません。

〈かける言葉が見つからないとき〉

「聞こえていないだろう」と、黙って座っておられる方が多いです。

聞こえているかどうかは、正直なところ、誰にも確かめられません。ですが、聞こえていないと決める理由も、どこにもありません。

うまいことを言う必要はありません。名前を呼ぶだけで十分です。手を握っていただいて構いません。

「話しすぎた」と後悔された方には、私はまだ一度もお会いしたことがありません。

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■ その2:知らせる ─ 誰に、いつ、何と言うか

〈「何親等まで」では決まりません〉

危篤の連絡は、血の遠さではなく、間に合うかどうかで決まります。

【今すぐ】
配偶者、お子さん、ご両親、ご兄弟。近くにお住まいで、今夜のうちに来られる方。

【今夜のうちに】
お孫さん、お子さんの配偶者、配偶者のご両親。遠方の方も、この時点で一報を。移動の準備に時間がかかります。

【落ち着いてから】
それ以外のご親族、勤務先、ご近所。

そして、順番とは別に、必ず入れていただきたい方がいます。ご本人が会いたがっていた方です。親友、恩師、長年の付き合いのある方。ここは血縁より、本人の気持ちが先です。

〈深夜でも、連絡していい〉

「こんな時間に」と迷われる方が多いです。

ですが、後から「なぜ知らせてくれなかったのか」と言われるほうが、はるかに重く残ります。来られるかどうかは、相手が決めることです。判断まで背負わないでください。

〈そのまま使える連絡の文例〉

[電話]
「夜分に申し訳ございません。〇〇の長男の△△です。
 父が危篤との連絡を受け、今〇〇病院におります。
 もしお越しいただけるようでしたら、お願いできますでしょうか。」

[LINE・メール]
「〇〇の長男の△△です。
 父が危篤の状態です。〇〇病院◇階△△病棟におります。
 夜分に失礼します。ご都合がつくようでしたらお知らせください。」

〈遠くの家族を、いつ呼ぶか〉

ここが、いちばん難しいところです。

一度呼んで持ち直した場合、二度目は呼びにくくなります。 飛行機代も、仕事の都合もある。だから「様子を見てから」と考えたくなる。その気持ちはよく分かります。

私たちの経験から申し上げると、危篤と言われた時点で一報を入れておくほうが、後悔が少ないようです。「すぐ来て」ではなく、「こういう状態になった」と伝えるだけです。

そのうえで、こう伝える方法があります。

「今すぐ来てほしいということではない。ただ、こういう状態になったことは伝えておきたかった。来るかどうかは、そちらで決めてほしい」

判断を相手に渡すと、呼ぶ側の負担がずいぶん軽くなります。

間に合わないかもしれない、という場合は、電話を耳元に当てて声を聞かせて差し上げるという方法もあります。病室で通話ができるかは、看護師さんに確認してみてください。

〈面会の制限を、先に確認してください〉

病院によって、面会できる人数・時間・年齢に制限があります。「危篤の場合は別」という運用の病院もあれば、そうでないところもあります。

遠方の方を呼ぶ前に、看護師さんに確認しておくと、着いてから入れない、ということが避けられます。

〈勤務先への連絡と、忌引きのこと〉

忌引き(慶弔休暇)は、亡くなった日から数える会社が多く、危篤の段階では有給か欠勤の扱いになるのが一般的です。就業規則をご確認ください。

[勤務先への連絡文例]
「〇〇部の△△です。父が危篤との連絡があり、
 本日お休みをいただきたく、ご連絡いたしました。
 今後の見通しが立ち次第、改めてご報告いたします。」

「見通しが立ち次第」を入れておくと、この先の連絡がしやすくなります。

〈ご高齢の配偶者を、どうするか〉

これは、あまり書かれていないことですが、実際にはいちばん難しい問題です。

お父様が危篤で、お母様がご高齢。判断はご自身がすることになる。そのとき、お母様をどう扱うかで悩まれる方が非常に多いです。

私たちが見てきた範囲で、お伝えできることがあります。

・毎日連れて行かなくて構いません
ご本人が「行きたい」とおっしゃるなら、行ける日に行く。それで十分です。付き添う側が先に倒れる例を、何度も見ています。

・夜、一人で帰さない
気丈に見えても、家に着いてから崩れる方が多いです。どなたかが泊まる、近所の方に一声かけておく、といった手当てをしておくと安心です。

・「もしもの話」は、ご本人のいない場所で
段取りの相談を、お母様の前でしないほうがいいです。聞こえていないつもりでも、聞こえています。

・伝えるときは、短く
「危篤だ」と説明するより、「病院から呼ばれた。一緒に行こう」のほうが、届くことがあります。

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■ その3:備える ─ 持ち物と、連絡先ふたつ

〈付き添うときの持ち物〉

携帯電話の充電器(これを忘れる方が、いちばん多いです)
現金(数万円。深夜のタクシー代、駐車場代)
・羽織るもの(病院は夜、冷えます)
ご本人の携帯電話

最後の「ご本人の携帯電話」には、連絡先が全部入っています。ただし──

〈携帯のロックは、開けられますか〉

指紋認証や顔認証の場合、ご本人の意識がなくなると、開けられなくなります。

「誰に知らせればいいのか分からない」という状態は、実際によく起こります。まだ話せるうちに、暗証番号を聞いておく。 これは、この時間にしかできないことです。

聞きにくければ、「何かあったとき困るから」で十分です。

〈お寺のこと〉

もし菩提寺(お付き合いのあるお寺)があるなら、お寺の名前と宗派を確認しておいてください。ご本人しか知らない、ということがよくあります。

これも、聞ける状態なら聞いておく。聞けなければ、お仏壇や過去帳、年賀状に手がかりが残っていることが多いです。

〈葬儀社の連絡先を、ふたつメモしておく〉

ここだけは、5分でできる備えです。

葬儀社の電話番号を、ふたつメモしておいてください。

ひとつだと、結局そこに頼むしかなくなります。ふたつあれば、その場で比べられます。契約も見積もりも要りません。番号を控えるだけです。

さいたま典礼を入れていただけるなら光栄ですが、入っていなくて構いません。

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■ やってはいけないこと:お金を動かさない

「口座が凍結される前に引き出しておいたほうがいい」と書かれた記事があります。

おすすめしません。 理由は2つです。

① いま、ご本人は生きておられます

危篤の段階では、口座はまだ凍結されていません。そして、ご本人の意思が確認できない状態でご家族がお金を動かすことに、本来、権限はありません。

後になって「あのお金はどこへ行ったのか」と揉めるのは、たいていこの時期に動いたお金です。金額の大小は関係ありません。

② 亡くなった後は、別の問題になります

故人の預金を使うと、相続を承認したとみなされる場合があります(民法921条)。借金があったとき、相続放棄という選択肢を失うおそれがあります。

ただし、葬儀費用として相当な範囲であれば認められた例もあり、判断は個別です。動かす前に、弁護士か司法書士にご確認ください。

葬儀費用が心配、という声はよく伺います。葬儀費用は、葬儀後のお支払いが一般的です。 いま慌てて動かす必要はありません。

▼ 費用の目安については、こちらにまとめてあります
第2回:さいたま市の家族葬、本当の費用相場は?2026年版
https://note.com/saitamatenrei/n/n0371b280ba21

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■ 葬儀の話は、まだしなくていい

ここからは、少し先の話になります。読むのがつらければ、飛ばしてください。

危篤の段階で、葬儀の準備を進める必要はありません。まだ生きておられる方のことを、先に考えてください。

ただ、ひとつだけ知っておいていただきたいことがあります。

〈病院で必ず聞かれること〉

もしものときが来ると、病院から**「葬儀社はお決まりですか」**と聞かれます。数時間以内に、病院から移動していただく必要があるためです。

「決まっていません」と答えると、病院が提携している葬儀社を紹介されます。夜中にすぐ来てくれる会社が確保されている、という意味では、ありがたい仕組みです。

ただ、その場で比べる時間はありません。

〈知っておいていただきたいこと〉

紹介された会社に搬送だけをお願いして、葬儀は別の会社に頼むこともできます(搬送費は別途かかります)。搬送を頼んだ時点で、そこに葬儀まで頼まなければならない決まりはありません。

これを知っているだけで、選べる余地が残ります。

〈さいたま典礼にお電話いただいた場合〉

危篤の段階でお電話をくださる方がいます。

そのとき、私はご契約のお話をしたことがありません。 ご家族の状況を伺って、「もしものときはご連絡ください」とお伝えして、電話を切ります。深夜でも構いません。

今は、病院にいるご家族のそばにいてください。それが一番です。

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■ 連絡先(メモしておいてください)

さいたま典礼

・浦和ホール 0120-7620-78(048-854-0308)
・上尾ホール 0120-376-763(048-777-0220)
・所沢ホール 0120-1082-96(04-2945-2263)

24時間365日、つながります。

このページを、ご家族のLINEに送っておいていただくのも、ひとつの方法です。

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■ まとめ

危篤は「必ず亡くなる」という意味ではありません。数時間のことも、2週間続くこともあります
・全員で張りつかず、交代を決める。席を外していて構いません
・連絡は「何親等」ではなく、間に合うかどうかで決める。深夜でも構いません
・遠方の方には、「来るかどうかはそちらで決めてほしい」と伝えると、お互いが楽になります
・忌引きは
亡くなった日から数える会社が多いです。危篤の段階は有給か欠勤が一般的
・忘れがちなのは携帯の充電器と、ご本人の携帯のロック解除
口座からお金を引き出さないでください(後の争いと、相続放棄の問題)
・葬儀の準備はまだ不要。ただし連絡先をふたつメモしておくだけは、5分でできます

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もし、そのときが来たら。慌てなくて大丈夫です。深夜でも明け方でも、電話はつながります。その後の流れは、こちらにまとめてあります。

▼ 第3回:夜中に亡くなったらどうする?
https://note.com/saitamatenrei/n/n631dafda3255

▼ 第13回:葬儀社は、生きてるうちに決める
https://note.com/saitamatenrei/n/n966e80b72374

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最後に、経験のある方にお伺いしたいことがあります。

**「あのとき、こうしておけばよかった」**は、ありましたか。

コメントで教えていただけると、次に同じ場所に立つ方の助けになります。

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有限会社さいたま典礼
浦和ホール/上尾ホール/所沢ホール
埼玉県さいたま市桜区下大久保768-3

(執筆:さいたま典礼取締役 福山 拓郎 )

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