黄金色を迎える┃風まかせ文芸部
手つかずの仕事の山は、さながら宿題のようだ。
夏は苦手。
暑くて、ダルくて、やる気が出ない。
そんなことを言っていたら、もう八月が終わろうとしていた。
何とか片付けねば…
恨めしそうにカレンダーを見る。
ふと、めくると九月のイラストが目に入った。
丸いお月さまを眺めるうさぎ。
「…そうね、九月をお迎えしてしまおう」
私はカレンダーを九月に変える。
風鈴を外して、ガラスの器を片付ける。
キッチンに立ち、白玉粉を取り出してボウルに開け、水を足す。
水を足しながら捏ねていく。
まとまった生地を等分して、沸騰した鍋に落としていく。
鍋の中でぽこぽこと浮いてくる白玉を愛でる。
お湯から上げて、冷水につけると艶のあるお団子になる。
「あんことアイス乗せたら美味しそう…」
いやいや、九月の先取りだからと戸棚を開けてきな粉を取り出す。
フライパンに入れて、数分炒ると香ばしい匂いがしてくる。
丸くて厚みのある陶器のお皿に白玉団子を載せる。上から焦がしきな粉をかける。
エアコンの温度を少し下げて、カーディガンを羽織る。
熱い焙じ茶を入れて、部屋のカーテンを閉めて、暖色系のランプを点けた。
テーブルに置かれた黄金色のお団子と、湯気が立つ焙じ茶。
そこには秋があった。
焙じ茶を飲みながら、お団子を見る。
あと一ヶ月もすれば、中秋の名月を迎える。
残暑を引きずることはない。
こちらから迎え入れてしまえばいい。
お団子を口にすると、香ばしい甘さが広がる。
「…夜はお鍋もいいかも…」
秋鮭が食べたくなってしまう。
にやにやと顔が綻んだ先に仕事の山が目に入る。
一枚を手に取ると、静かに眺める。
頭の中でイメージが浮かび、段取りが組まれていく。
そう、この感覚。
脳が秋モードになったのか、夏休みを終わらせるように活動的になっていく。
やはり夏のせいなのよ。
お団子をもう一つ頬張ると、仕事の山はもう処理するだけのまとまりに変わった。
お読みいただいて、ありがとうございました。
本作は風まかせ文芸部さんの企画に参加しております。
