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年末年始に読んだ本の話【2025-6】

今年は健康に年末年始を過ごすことができたが、色々と家事がたてこみ、あまり本を読めなかった。主に滝沢馬琴のせい。


今村翔吾『イクサガミ 人』 ★★★★☆

とうとう耐えきれずにイクサガミの後半2冊を買ってしまった。ついでに前半2冊も揃えてしまった。早速1冊読み終えた。

この3巻で蠱毒の前半、東海道を駆け上がり東京へ向かうフェーズは決着する。いよいよ残ってくるのは強者ばかり。愁二郎たちの戦闘も今までのように一撃でサクサク、というわけには行かなくなってくる。
今回のフェーズでちょっと惜しいのは、敵方の新たな強者の中にはすぐに退場してしまうものもいることだ。もっと彼らの出番や見せ場を増やしたい気持ちも少しあった。それでも作品の熱量は落ちることがない。この休暇中に最終巻まで読み切りたいところである。やはりこの作品、映像化だけでなく、ゲームにするのも相性が良いのでは。

宮下英樹『大乱 関ヶ原』(全6巻)★★★☆☆

『センゴク』シリーズで知られる歴史漫画家、宮下氏による「関ヶ原の戦い」をテーマにした漫画。新説を積極的に採用した大胆なストーリー回しで知られる宮下氏の作品であり、期待していたのだが、説明部分がごちゃごちゃしてしまい、わかりにくい。巧みな心理描写も慌ただしく十分に生きていない。そもそも6巻という短さで「関ヶ原の戦い」を描き切るのには無理があり、「わかりやすさと面白さ」という観点からは司馬遼太郎『関ヶ原』を未だに越えた作品がない、というのが私の持論である。
『センゴク』の登場人物たちが出てくるが、あまり性格を引きずっているようには見えず、別作品と捉えたほうが良いかもしれない。

今村翔吾『イクサガミ 神』 ★★★★☆

すごい作品を読むことができた。という一言に尽きる。いよいよ蠱毒も最終局面。強者同士のぶつかり合いもいよいよ激しくなる。作品としては比較的きれいに完結したように思うが、すこしスッキリしない部分もチラホラ。最後はやや駆け足になってしまったように見える。それでも作品としては十分な魅力に満ちあふれているし、一つの時代の終焉を丁寧に描いた作品だと思う。

栗田シメイ『[ルポ]秀和幡ヶ谷レジデンス』 ★★★★★

時代は現代に戻って、しかも現実世界での出来事である。
おなじみ「積読チャンネル」の紹介作品。

現実とは思えないとんでもない状況があった。タワーマンションのような物件の長期管理には様々な困難が伴うわけだが、それを行う管理組合、そして理事長が約30年も「圧政」を敷いてきた分譲マンション。その状況を変えるべく、立ち上がった住民の物語だ。「敵」は圧倒的に強大。絶望的な状況から人と人がつながり生まれる執念の逆転劇だ…とこれで終わるだけなら最近よくある「半沢直樹」的カタルシスだ。この作品の「エピローグ」が本作のキモである。ぜひ読んでほしい。

藤ノ木優『偽医者がいる村』★★★★★

タイトルに惹かれて、ふらりと買った本だった。主人公は大学病院で発生した医療事故とそれに伴うネットでの炎上で居場所を失われた産婦人科医・阿比留一馬。電車内で偶然巻き込まれたお産に同行して東北の寒村にある古びた診療所へたどり着く。そこでは後期高齢者の「産科医」・相良とスタッフが地域医療を支えていた。
と、ここまで書くとなんとなくストーリーが予想できそうなのだが、このタイトルとここまでのあらすじから予想できるストーリーからは全く違った方向へ話が進んでいく。この作品は、これから医師を志す高校生にぜひ読んでほしい作品だと思っている。特に、地域医療に興味がある人に。

赤川次郎『離婚案内申し上げます』★★★★☆

赤川次郎を読むのは初めてだが、妻が気になったのか買って読んだようである。本作は1985年に元々『湖畔のテラス』という題名で出された6本の短編ミステリー集だ。それを昨年末に表題に変更している。個人的な意見を言えば正直大当たりである。前回の表題作である『湖畔のテラス』は6本の中で一番つまらないと感じた。逆に一番面白いのが今回の表題作だ。作品の中で面白いものとつまらないものがくっきりと分かれており、「そう来たか」というどんでん返しのある作品は面白いのに対し、それがない作品はそうでもない。稀代のミステリー作家、赤川次郎。食わず嫌いせずに少しずつ読んでいこうかな。幸い多作で活動期間も長いので、BOOK OFFで安く入手できそう。
ちなみにネタバレにならない小ネタを一つ。表題作に出てくる登場人物が「伊沢」「水上」「鈴木」なのがちょっとおもしろい(なお「みずかみ」ではなく「みなかみ」)。

田辺青蛙・木根緋郷『岐阜怪談』★☆☆☆☆

久々にとんでもないレベルのハズレ本を買ってしまった。見えている地雷だった、とも言える。もうおちょくるしかないのでおちょくり記事まで書いてしまった。

ライターの力量がどうこう、という話以前に校正が仕事してない。200ページもない本なのに誤植、事実誤認、誤記が大量に存在している。ライターさんも岐阜育ちなのに思い入れがない人と何か石にすごい思い入れのある人という組み合わせで面白かったのだが、せめて文中の常体と敬体くらいは統一してくれ。

1月平常読書もコンスタントに読みたいところである。滝沢馬琴次第ではあるが。

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