【AI活用100本ノック #013】教育書の読書メモを NotebookLM に貯めて、自分専用のナレッジベースを育てる話
はじめに(この連載について)
私は小学校の教員で、毎日noteを書きながら、授業準備・家計管理・SNS発信など、あらゆる場面でAIを試してきました。2026年からの働き方は、AIをどう使うかで本当に変わると感じています。
DeNAさんが過去にやられていた「AI活用の100本ノック」という企画にインスパイアされて、私自身の身の回りで実際に役立ったAI/ICTの使い方を毎日1本、計100本、noteに書き残していくことにしました。
紹介するのは Claude(Claude Code)を中心に、Gemini、ChatGPT など。プロンプトや手順までできるだけ具体的に書くので、気になったものはそのまま真似してもらえたら嬉しいです。
1. きっかけ
教育書を買って読んでも、3ヶ月後にはほぼ忘れている経験、ありませんか?
私たち教員にとって、本棚に並ぶ教育書は 「いつかの自分への投資」のはずです。けれど現実は——
線を引いたページを覚えていない
「あの本のあの話、何だっけ?」が頻発する
同じ本を2周しても、初読のような気分になる
読んだ瞬間がピーク、あとは下り坂。あの徒労感、伝わるでしょうか。
ところがです。
NotebookLM に「読書メモ専用ノートブック」を作ってから、本の中身が "資産化"されました。
具体的には、こんな運用です。
本を読みながら、心に残った一節を 写真+自分の感想でメモ
そのメモを NotebookLM に投入
3ヶ月後・半年後でも、ノートブックに質問すれば即座に呼び出せる
「読んで終わり」ではなく、「読んで、貯めて、引き出せる」運用。これが、教員の実践研究の "個人蔵書"になっていく実感が出てきました。
しかも、最近は教科書教材の作者背景までNotebookLMに蓄積しています。教材研究の解像度が、ここで一段ぐっと上がるのです。
2. 使ったツール
今回の主役は、こちらです。

「ChatGPT のメモ機能や Gemini Gems で十分じゃない?」と思いますよね。けれど、
ChatGPT のメモは横断検索が弱い
Gems はソース固定で複数ノートブックの管理がしづらい
NotebookLM は「ソースを固定したまま、その中だけで対話できる」構造が一番強い
という理由で、読書メモのような長期蓄積には NotebookLM が一番向いているという結論です。
「自分の図書館を作る感覚」——これが、NotebookLM だけが持つ世界観なのです。
3. 操作手順
ここからが本記事の核心です。「実際にどう蓄積していくのか」を、そのまま真似できる粒度で書きます。
【ステップ1】テーマ別にノートブックを作る
NotebookLM のトップから「+ 新規ノートブック」。
1つのノートブックに1つのテーマ(例:「学級経営の本」「授業づくりの本」「教育心理学」)を割り当てます。ジャンル混在は厳禁。検索精度がガタ落ちするので、テーマは1ノートブック=1テーマで切ります。
私は最初、「教育全部入り」の1ノートブックで始めて、3ヶ月で破綻しました。テーマ別に切り直したら、検索精度が劇的に変わったのです。
【ステップ2】読書メモのフォーマットを決める
蓄積する前に、メモの「形」を統一します。バラバラだと、後で AI に質問したときの返答もバラバラ。フォーマットの一貫性が、引き出しやすさに直結するのです。
私のフォーマットはこれ。
書名:○○○
著者:△△△ / 出版社:□□□ / 出版年:20XX
読了日:2026-XX-XX
タグ:#学級経営 #子ども理解 #実践記録
【心に残った一節(p.XX)】
「(本文の引用)」
【自分の解釈】
(なぜこの一節が残ったか、自分の言葉で)
【授業に活かすなら】
(具体的にどう実践に落とすか)
【関連する別の本・記事】
(あれば)最初の3項目(書名・引用・解釈)があれば最低限の運用ができます。ハードルを下げて、続けるのが一番大事。
【ステップ3】Claude Code に整形 → NotebookLM へ投入
iPhone でメモした内容を、Claude Code に投げます。
私のプロンプト:
「以下の読書メモを、上のフォーマットに整形して、NotebookLM の "教育書読書ノート"
ノートブックに保存してください。タグも自動で付けて。
Claude Code が、
メモをフォーマット通りに整形
内容に応じて タグを自動提案(`#学級経営` `#授業づくり` `#子ども理解` など)
`mcp__notebooklm-mcp__source_add` で NotebookLM にテキストソースとして追加
ここまで全部やってくれます。人間の作業は、本を読んで感想を話すだけです。
【ステップ4】タグ運用で横断検索を強くする
私はソースの先頭に、自分用のタグを仕込んでいます。
`#学級経営` `#授業づくり` `#子ども理解` `#特別支援` `#評価` `#ICT` `#教材研究`
タグを書き込んでおくと、「学級経営の本だけから、4月の最初に効く実践を抽出して」と頼んだときに、NotebookLM がタグ付きソースを優先してくれる。情報の取り出し精度が劇的に上がるのです。
【ステップ5】対話で「知の引き出し」を作る
蓄積したノートブックは、質問するために存在します。
「これまでに読んだ本の中で、新学期初日にやるべき実践に共通するキーワードを抽出して」
「子どもとの信頼関係を築くための声かけについて、複数の本を横断的にまとめて」
NotebookLM は 保存したソースだけを根拠に答えるので、勝手な知識を混ぜずに、自分の蔵書から答えを返してくれる。これが、ChatGPT との決定的な違いです。
しかも、「○○の本の p.XX より」と引用元まで明示してくれるので、後で原典に戻れる。これが、教員として安心して使える理由です。
【ステップ6】教科書教材の「作者背景」も貯めていく
これは、ここ数日で本格化させた運用です。
教科書には、たくさんの作者が登場します。国語の物語文・説明文の筆者、詩人、エッセイスト、研究者——。
ところが、作者紹介は教材末尾にちょこんと書かれているだけで、その人がどんな人生を歩んできたかは、ほぼ分かりません。
そこで、私は AI と対話しながら作者の背景を掘り下げて、NotebookLM の「教材研究」ノートブックに蓄積するようになりました。
直近の例だと、4年生国語「思いやりのデザイン」の作者・木村博之さん。
AI に「この作者は何者?」「この文章は書き下ろし?」「彼の哲学は?」と問いを重ねるうちに、長野オリンピック公式ガイドのデザイナーで、インフォグラフィックスの世界的賞を受賞している人物で、教科書のために書き下ろした自伝的文章だと判明しました。
これを丸ごと NotebookLM に投入しておくと、来年の授業準備で「思いやりのデザイン」を扱うときに、即座に呼び出せる。
教科書の作者の人生まで、自分の蔵書として保有する——これが、AI 時代の教材研究の新しい形です。
【ステップ7】定期的に「読み返し対話」をする
これが、ナレッジベースを育てる最大のコツです。
月に1度、「先月までに貯めた本の中で、自分が一番見落としていた視点は?」とノートブックに聞きます。
これをやると、過去の自分が貯めた本の中から、今の自分が必要としている視点を AI が引き上げてくれる。
過去の自分から、今の自分への手紙が届く——そんな体験です。
「半年前に読んだあの本のあのフレーズ、今こそ効く」という発見が、月1回必ず起きるようになりました。
【ステップ8】ノートブックを増やすときは「テーマで割る」
慣れてくると、別テーマでもノートブックを作りたくなります。
私の場合、
学級経営の本(担任業務・学年経営)
授業づくりの本(教科指導・発問・板書)
教育心理・子ども理解の本(発達・特別支援)
教材研究(教科書教材・作者背景・関連資料)
ジャーナル蓄積(#012で書いた、自分の毎日のジャーナル)
のように、テーマを切って5つに分けて運用しています。
「混ぜたら全部ぐちゃぐちゃ」——これだけは絶対に守るべき鉄則です。
4. リサーチ — 他の人はどう個人ナレッジを蓄積しているのか
「教員や研究者で、個人ナレッジベースを作っている人、他にいるのか?」が気になって調べてみました。
4-1. Notion や Obsidian でナレッジ管理するパターン
エンジニア・研究者で多いのがこれ。Notion のデータベースや Obsidian のローカル Markdown でナレッジ管理。
メリット:データを完全コントロールできる、リンク機能が強い
デメリット:検索は「キーワード一致」、AI による意味検索が弱い
「貯めるだけ」なら最強ですが、「貯めた情報と対話する」には別途 AI を繋がないといけません。
4-2. 紙のノートに読書メモを書き続ける派
伝統的だけど確実。1冊の読書ノートに、読んだ本の要約と感想を書き続ける。
メリット:書く行為自体が記憶定着につながる
デメリット:横断検索が物理的に不可能、過去のメモを呼び出せない
私もこのフェーズを5年ほど経験しましたが、「ノート5冊目を書きながら、1冊目の中身を完全に忘れている」という現実を突きつけられて、デジタル化に切り替えました。
4-3. ChatGPT のカスタム GPTs にナレッジを仕込む派
ChatGPT のカスタム GPTs に PDF やテキストをアップロードして、専用 bot を作る方法。
メリット:対話的に質問できる、共有できる
デメリット:ソースの全文表示や、ソース単位での検索が弱い、引用元の追跡が曖昧
「個人の知識ベース」としての精度では、NotebookLM に一歩劣る印象です。
4-4. 私の方法 — NotebookLM × テーマ別ノートブック × MCP連携
私が今回紹介している方法は、「テーマ別にノートブックを切って、ソースを蓄積し、対話で引き出す」という、NotebookLM の本来の使い方を素直に運用するスタイル。
ソース固定で安心(勝手な知識が混ざらない)
引用元が明確(どの本の何ページから引っ張ってきたか分かる)
テーマごとに切り替えやすい(認知負荷が低い)
Claude Code との MCP 連携で投入が楽(notebooklm-mcp 経由)
派手さはないけれど、「自分の蔵書を AI と共有する」という感覚を、最も素直に再現できるのが NotebookLM の良さです。
4-5. ナレッジベースを育てる「鉄則」
調べる中で繰り返し出てくるキーワードがありました。
「貯めるな、引き出せ」
つまり、蓄積より引き出しの方が大事。月に1回、自分のノートブックに質問する時間を取る。これがないと、ナレッジベースは "墓場" になります。
私が「読み返し対話」をルーチン化しているのは、まさにこの理由です。
5. 実際に使ってみた効果と感想
実際に運用してみての感想を、率直に書いていきます。
「読みっぱなし」が消えた
これが、一番大きい変化です。
以前は、いい本に出会っても 「ふむふむ」で終わって、3ヶ月後には忘れる状態でした。今は、気になった瞬間に NotebookLM に投入する習慣ができたので、情報が「消えなくなった」。
しかも、貯めっぱなしではなく、月1回の対話で引き出すところまでセット。読む → 貯める → 対話するの循環ができ始めると、本の重みが本当に変わります。
教科書の見方が180度変わった
これは予想外の効用でした。
教材研究のために作者の背景を NotebookLM に貯めていくと、教科書の文章一つ一つに、その人の人生が透けて見えるようになります。
「思いやりのデザイン」のたった2ページが、長野オリンピックのデザイナーが40年のキャリアを子どもに翻訳して書き下ろした自伝的文章だと知った瞬間、子どもへの語り方が変わるのです。
作者の人生を、自分の蔵書として持っている。これが、教員としての授業の深さを、確実に底上げします。
過去の自分から、今の自分への手紙が届く感覚
これも想定外でした。
「半年前に貯めた本で、今の自分に効く視点は?」と聞くと、自分が忘れていた視点が引き出されてくる。過去の自分が、未来の自分のためにメモを残してくれたような感覚です。
これは、紙の読書ノートでは絶対に得られない感覚。AI と一緒に蓄積するからこそ生まれる、新しい "本との関係性"です。
引用元が明確で、研修会でも使える
ChatGPT に質問すると、「どこからの情報?」が曖昧になることがあります。NotebookLM は 必ずソースの該当箇所をハイライトして引用してくれる。
教員として、「この実践は○○先生の本のXページに書いてある」と根拠を示せる安心感は、本当に大きいのです。研修会で発言するときの説得力も変わります。
テーマ別運用が、思考のクセを変えた
ノートブックを 「学級経営」「授業づくり」「教材研究」「子ども理解」「ジャーナル蓄積」のように分けたら、自分の頭の中も同じように切り分けられるようになってきました。
情報の整理が、思考の整理に直結する。これは想定外の副作用でした。
つまずきポイント・これから真似する人へのコツ
少しだけハマったところを共有します。
テーマ混在は絶対にしない:1ノートブック=1テーマを死守
タグを仕込む:メモの先頭に `#タグ` を書き込んでおくと、検索精度が大幅向上
月1回の "読み返し対話" をルーチン化:カレンダーに登録するくらいでちょうどいい
メモのフォーマットを最初に決める:書名・引用・解釈の3項目だけでも統一
`notebooklm-mcp` を入れておく:#001 で紹介した MCP 連携があると、Claude Code から直接投入できて圧倒的に楽
ノートブックが100件超えたら整理:私は118件→約20件に整理した経験があります(その話は後日 #020 で詳しく)
著作権・運用面で気を付けたこと
これは絶対に外せません。
個人利用の範囲を超えない(自分の研究・授業準備のためだけに使う)
本文の長文をそのまま SNS で公開しない(NotebookLM 内での対話に留める)
引用は最小限・出典明記(配布資料に使うときは必ず原典の著者・書名・ページを明記)
電子書籍の DRM を回避するような運用はしない(自分が書いたメモを蓄積する形に留める)
このあたりは、教育者として絶対に押さえるべきラインです。本を書いた著者へのリスペクトを忘れない運用が、長く続けるための土台です。
教室では、いつも通り
念のため書き添えておきます。
NotebookLM は私の準備の伴走者です。子どもにNotebookLMを直接使わせる授業は、現状やっていません。
AIは私の準備の道具。授業の主役は、いつだって子どもの言葉と、目の前の先生の声です。
教員側が深く準備する。その深さが、子どもの目つきを変える——この信念は、ジャーナル運用(#012)でも、教材研究でも、変わりません。
総じて、NotebookLM の真の強みは「自分の蔵書を AI と共有する」こと。
読みっぱなしの時代から、蓄積して引き出す時代へ。教員のように 長期的に学び続ける職業にこそ、NotebookLM のナレッジベース運用は刺さります。
「読んでも忘れる問題」を卒業したい方、まずは 1つだけテーマを決めて、ノートブックを作ってみてください。3ヶ月続ければ、自分専用の "図書館"が立ち上がっているはずです。
おわりに
ここまで連載 13本を書き切りました。教員業務、家庭、副業、趣味のあらゆる領域でAIが効くこと、改めて実感しています。
明日からの #014 以降 も、現場でリアルに効くネタを並べていきます。引き続きお付き合いいただけたら嬉しいです。
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皆さんの本棚が、未来の自分への財産として、ちゃんと活きていきますように。
