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NotebookLMは、要約ツールから「教材研究室」になってきた。──資料を読む仕事を、AIと分担する話|AI活用100本ノック #055

「現役教員がAI活用を毎日1本書く」と決めた100本ノックの55本目です。

以前、授業準備を5つの視点に分解しました。

教材分析。
発問づくり。
想定反応。
足場づくり。
評価の下書き。

あらためて見てみると、教師の仕事って、かなり「読む仕事」なんだと思います。

教科書を読む。
指導書を読む。
学習指導要領を読む。
子どものノートを読む。
振り返りを読む。
授業記録を読む。

そして、読んだものをもとに、明日の授業の一手を決める。

ここに、NotebookLMがかなり深く入ってきそうです。

2026年6月8日、GoogleがNotebookLMの大きなアップデートを発表しました。

Gemini 3.5、Antigravity、コード実行、出力形式の拡張、Web上の関連ソース探索。

正直、機能名だけ見ると少し遠く感じます。

でも、学校現場の言葉に直すと、こうです。

NotebookLMは、資料を読む相棒から、教材研究室に近づいている。

今日は、その話です。


要約してくれるだけなら、もう珍しくない

AIに資料を要約してもらう。

これは、もう多くの人が試していると思います。

PDFを入れる。
長い資料を入れる。
会議メモを入れる。

「要点をまとめて」

と頼む。

それだけでも便利です。

でも、NotebookLMの面白さは、ただ短くすることではないと思っています。

自分が入れた資料をもとに答えてくれる。
根拠になる箇所を示してくれる。
複数の資料のつながりを見つけてくれる。

つまり、ただの要約係ではなく、資料に戻れるAIなんです。

学校でAIを使うとき、この「戻れる」がとても大事です。

授業づくりで一番こわいのは、それっぽい答えに流されること。

AIが言ったから。
きれいにまとまっているから。
もっともらしいから。

そのまま使ってしまう。

でも、NotebookLMは、自分が入れた資料を土台にできる。

だから、

「それはどの資料に書いてある?」

「この考えは、学習指導要領のどこにつながる?」

「教科書本文のどの部分と関係している?」

と戻りながら使える。

ここが、授業準備と相性がいいところです。




教材研究の「最初の地図」を作ってもらう

教材研究で時間がかかるのは、いきなり深く考えるところではありません。

むしろ、その前です。

全体像をつかむ。
論点を整理する。
つまずきそうなところを探す。
子どもの言葉に落とす。

この「最初の地図」を作るところに、時間がかかります。

たとえば、国語の説明文。

本文。
指導書のねらい。
過去の授業メモ。
子どもの振り返り。

これらをNotebookLMに入れて、こう聞く。

  • この教材で、子どもがつまずきやすい言葉を5つ挙げて

  • 筆者の主張に近づくための問いを、易しい順に並べて

  • 本文に戻らないと答えられない発問を作って

  • 子どもの振り返りから、次時に扱うとよさそうな疑問を整理して

こういう使い方です。

大事なのは、AIに授業を完成させてもらうことではありません。

地図を出してもらうこと。

その地図を見て、

「ここは違う」

「この問いは使えそう」

「この順番だと、うちのクラスには難しい」

と教師が判断する。

AIが作るのは、たたき台。

授業にするのは、教師。

この分担が、今のところ一番しっくりきます。



アンケートや振り返りの分析は、かなり効く

NotebookLMの進化で、私がいちばん学校現場に近いと思うのは、子どもの振り返り分析です。

もちろん、ここは慎重に扱います。

児童の名前は入れない。
個人が特定される内容はぼかす。
学校や自治体のルールを確認する。

この前提は絶対です。

そのうえで、匿名化した振り返りを読ませる。

そして、

  • 子どもが理解していること

  • まだ曖昧なこと

  • 次に扱うとよさそうな問い

  • 予想外に多かった反応

  • 少数だけれど大事にしたい声

を整理してもらう。

これは、かなり助かります。

30人分の振り返りを読むとき、教師は本当は全部を丁寧に読みたい。

でも、時間が足りない日もあります。

会議がある。
丸つけがある。
連絡帳がある。
翌日の準備がある。

その中で、AIに最初の分類をしてもらう。

そして、教師が気になる記述を深く読む。

この順番なら、読むことを手放すのではなく、読むための入口を整えられる。

AIに子どもを見てもらうのではなく、子どもを見るための準備を手伝ってもらう。

この感覚なら、学校現場でも使いやすいと思います。


「コード実行」は、学校では何に効くのか

今回のアップデートで、NotebookLMにコード実行やデータ分析の力が入ってきたことも大きいです。

ただ、学校現場でいきなり高度な分析をする必要はありません。

もっと小さくていい。

たとえば、

  • 授業アンケートの選択肢を集計する

  • 振り返りのキーワードを分類する

  • 単元前後の自己評価の変化を見る

  • 学級全体の困り感をグラフにする

  • 教材研究メモを表に整理する

こういうところです。

今までなら、表計算で少し手間がかかったこと。

それを、資料と一緒に扱えるようになる。

これは、教師の仕事を少し変えるかもしれません。

ただし、ここでも大事なのは「判断」です。

グラフが出た。
分類が出た。
割合が出た。

それだけでは授業は変わらない。

「なぜそうなったのか」

「次の授業でどう扱うのか」

「この数字に出ていない子はいないか」

そこを見るのは教師です。

AIが分析する。

教師が意味づける。

この役割分担を忘れないようにしたい。


入れる資料より、入れない資料を決める

NotebookLMを学校で使うとき、もう一つ大事なのは「何を入れるか」より「何を入れないか」だと思っています。

便利になると、つい何でも入れたくなる。

子どもの振り返り。
アンケート。
授業記録。
個別の支援メモ。
成績に関わる情報。

でも、ここはかなり慎重でいたい。

名前を消せば何でもいい、ではありません。

内容から個人が想像できることもある。
家庭状況や配慮事項がにじむこともある。
学校外に出してはいけない情報もある。

だから、私はまず、入れないものリストを作っておく方がいいと思っています。

  • 児童の氏名

  • 家庭状況や配慮事項

  • 成績や評価に直結する記録

  • 個人が特定されるエピソード

  • 学校外に出せない校務情報

このあたりは、原則として入れない。

どうしても分析したい場合は、十分に匿名化し、学校や自治体のルールに照らして確認する。

AI活用は、速くなるほど危うさも増えます。

ワンクリックで資料を入れられるからこそ、最初にブレーキを置いておく。

便利さの前に、境界線を決める。

これも、教師のAI活用の大事な技術だと思います。


問いの深さを、AIと一緒に見直す

NotebookLMを使うとき、私は「問いを作る」より先に、「問いの深さを見る」使い方をしてみたいと思っています。

たとえば、授業案に自分で発問を3つ書く。

そのうえで、NotebookLMに聞く。

「この3つの発問は、資料のどこに根拠がありますか」

「本文に戻らなくても答えられてしまう問いはどれですか」

「子どもの生活経験とつながりそうな問いはどれですか」

「考えが分かれそうな問いはどれですか」

こう聞くと、発問の質が少し見えてきます。

AIに発問を丸ごと作らせるより、自分が作った発問を点検してもらう。

この方が、教師の考えが残ります。

AIに任せるのではなく、AIを鏡にする。

自分の発問を見直す鏡。

教材研究の抜けを見つける鏡。

子どものつまずきを想像する鏡。

この使い方なら、NotebookLMはかなり強い相棒になります。


15分だけ使うワークフロー

忙しい日に、NotebookLMをじっくり使うのは難しい。

だから、最初は15分でいいと思っています。

1分目から3分目。

資料を3つだけ入れる。

教科書本文、指導要領の該当箇所、自分の授業メモ。

4分目から7分目。

「この単元で子どもがつまずきやすいところを3つ」

「本文に戻る必要がある問いを3つ」

を聞く。

8分目から12分目。

出てきた答えに、教師が赤ペンを入れる。

使う。
使わない。
言い換える。
保留する。

13分目から15分目。

明日の授業で一つだけ試す問いを決める。

これくらいなら、放課後のすき間でもできる。

大きな教材研究を全部任せるのではなく、明日の一手を決めるために使う。

この小ささが、学校現場では大事だと思います。


今日のノック

今日のノックは、これです。

次に作る授業の資料を3つだけNotebookLMに入れて、「教材研究の最初の地図」を作ってもらう。

3つで十分です。

  • 教科書本文

  • 学習指導要領や解説の該当箇所

  • 自分の授業メモ、または子どもの匿名化した振り返り

入れたら、こう聞きます。

「この資料をもとに、次の授業で子どもが考える価値のある問いを5つ出してください。あわせて、どの資料のどこを根拠にしたかも示してください。」

これだけです。

出てきたものを、そのまま使わなくていい。

むしろ、赤ペンを入れるつもりで読む。

「これは使える」

「これは浅い」

「これはうちのクラスには合わない」

「この問いは、少し言い換えたらいける」

そうやって、AIの地図を教師の授業に変えていく。

NotebookLMは、授業を代わりに作る機械ではありません。

資料を読み、つながりを見つけ、最初の地図を出してくれる教材研究室。

そう考えると、かなり面白い道具になってきたと思います。


注記・参考


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