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いちばん安全で楽なやり方。──教科書を“渡さない”という選択|教科書とAIと著作権(7/7)



シリーズ最終回です。

ここまでの全部をひっくり返すくらい大事な、「環境も禁止も関係なく回せる、いちばん安全な方法」を紹介して、まとめます。

※法的助言ではありません。最終判断は自治体・学校のルール、各規約、必要なら専門家へ。


実は、最強なのは「教科書を渡さない」

ここまで「条件を満たせば使える」と書いてきました。

でも、いちばん安全で、いちばん環境を選ばないのは、そもそも教科書データをAIに渡さないことです。

「え、それじゃ意味ないのでは?」

——いいえ。ちゃんと授業構成は作れます。

しかも、この方法には大きな利点があります。

  • 著作物を入力しない=著作権リスクが最小

  • 教科書データを渡さないので、多くの環境で使いやすい

  • だから周りの先生にも、そのまま勧められる

GoogleのAIが禁止の学校でも、学校が許可した別のAIがあれば、同じ考え方で授業構成を相談できます。


なぜ「渡さない」で成り立つのか

思い出してください(4回目)。

著作権が守るのは「表現」だけ。

事実・アイデア・単元の流れを、自分の言葉で抽象化した要点なら、教科書本文そのものを渡すより安全です。

教科書の“表現そのもの”を渡さなくても、ねらい・要点・流れを自分の言葉で伝えれば、AIは十分に授業設計を手伝えます。

AIに必要なのは、教科書の文章そのものではなく、「何を・どんなねらいで教えたいか」なんです。


具体的な渡し方(教科別の例)

教科書を入れず、自分の言葉で要点だけ渡します。

国語

4年「(単元名)」の説明文。ねらいは筆者の主張のとらえ。
要点を私の言葉でまとめると:(2〜3行)。
本文は引用せず、中心発問3つ・補助発問5つ・板書計画を出して。

算数

4年「わり算の筆算」。つまずきは「立てる→かける→引く→おろす」の手順。
この流れで、つまずき別の声かけと、確認問題の作り方の例を出して。

理科

4年「水のすがた」。ねらいは状態変化を粒のイメージでとらえる。
予想がずれそうなポイントを5つと、それぞれの発問案を。

社会

4年「ごみの処理」。ねらいは社会のしくみと自分の生活のつながり。
子どもが「あれ?」と思いそうな点を3つと、単元の問いの案を。

事実とねらいと、あなたの要約だけ。

これで十分、AIは「授業構成を考える相棒」になります。


シリーズ全部のまとめ

7回を、ひとことずつ振り返ります。

  1. 結論:教材研究なら条件付きでOK/自校ルールが最優先

  2. 35条:授業のためなら大きく緩和される

  3. 丸ごと:教科書全体はNG、本時で実際に扱う紙面まで

  4. 出力:入れるなら、出力に本文・図版を再現しない(自作中心に)

  5. クラウド/ローカル:一般的なAIは送信される。学習オフ+保存先確認

  6. ツール選び:学校が許可した環境で。Google系=NotebookLM/Gemini、Microsoft系=Copilot

  7. 最強の型:教科書を渡さず、要点を自分の言葉で(今回)


合言葉とチェックリスト

合言葉(環境を選ばない版):

「自校ルールを確認/学校が許可したAIで/教科書は渡さず要点を自分の言葉で(入れるなら本時紙面まで)/出力に転載しない/記録して、すぐ消す、外に出さない」

チェックリスト:

  • ✅ 自治体・学校のルール+教科書会社の規約を確認(最優先)

  • ✅ 学校が許可したAI・学校アカウントでサインイン(学習オフ・データ保護を確認)

  • ✅ 教科書は渡さず“自分の言葉の要点”で。入れるなら“本時で実際に扱う紙面”まで(丸ごと×)

  • ✅ 出力に教科書本文を転載しない(自作の発問・図解・構成が中心)

  • ✅ 使い方を軽く記録+すぐ消せる形で(同期/GitHub/SNS/HPに出さない)


同僚に勧めるときのひとこと

このシリーズを周りに伝えるときは、こう添えてください。

  • 自分の自治体・学校のルールを、まず確認してね

  • 教科書そのものを渡さず、要点を自分の言葉で渡すのが、いちばん安全だよ

この2つさえ共有できれば、環境が違う先生にも、安心して勧められます。


迷ったら、この3つの問い

判断に迷ったときは、この3つを自分に聞いてみてください。

  1. これは「自分の授業のため」?(それとも公開・販売?)

  2. 入れるのは「必要な範囲」だけ?(教科書まるごとになっていない?)

  3. 出すもの・置く場所は「外に出ない」形?(同期・公開していない?)

3つとも「はい」なら、たいてい安全側です。


最後に

著作権は、先生を縛るためのものではありません。

安心して、長くAIを使い続けるための地図です。

こわがって何もしないのも、よく分からないまま全部入れるのも、もったいない。

「必要な分を、自分の言葉で、外に出さずに」。

この感覚さえあれば、AIは授業づくりの、強い味方になります。

7回、お読みいただき、ありがとうございました。


※本記事は法的助言ではありません。最終的な判断は、お住まいの自治体・学校のルール、各サービスの利用規約、必要に応じて専門家にご確認ください。

参考

  • 著作権法第35条/改正著作権法第35条運用指針(SARTRAS)

  • 文化庁「AIと著作権について」/文部科学省 生成AIガイドライン Ver.2.0

  • 吉田塁「生成AIと著作権」(東京大学 LLM寄附講座, 2026年4月)

(シリーズ「教科書とAIと著作権」全7回・完。各回のリンクは公開後に追記します。)

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