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認知症家族の会:3万3259筆の署名が突きつけた問い。2027年介護保険改正は「誰のため」の制度なのか?2割負担拡大とケアプラン有料化が招く"介護崩壊"の現実


利用者負担増と利用控え、そして1200万人時代の分岐点


どーも、セオドアアカデミーです。

「制度を守るため」という言葉の裏側で、何が起きようとしているのか。2025年12月12日、認知症の人と家族の会が厚生労働省へ提出した要望書と3万3259筆の署名は、2027年度介護保険制度改正をめぐる攻防が、もはや待ったなしの局面に入ったことを示しています。
 焦点は「2割負担の対象拡大」と「ケアプランの有料化」。一見、財政論に聞こえるこの議論は、実は認知症とその予備軍が合計1200万人に達する2040年を見据えたとき、在宅介護を支える家族の生活と尊厳を根底から揺るがす分水嶺です。
 このNOTEでは、当事者の声、制度設計の矛盾、そして爆発的に増える認知症人口という三つの視点から、この問題の本質を読み解きます。

独自まとめ

3万筆という数字が映し出す、現場の「限界」

署名活動というと、しばしば感情的な反対運動として受け取られがちです。しかし今回、全国から集まった3万3259筆という数字は、単なる反発ではなく、在宅介護の最前線で日々綱渡りを続ける家族たちの「もう、これ以上は無理だ」という静かな悲鳴の結晶です。

認知症の人と家族の会が記者会見で示した懸念は、極めて具体的でした。和田誠代表理事は「物価高騰や医療費の負担増が続く現状で、中間所得層の家計は決して楽ではない。この状況で負担増を強いれば、必要なサービスの利用控えを招き、生活そのものが成り立たなくなる」と述べています。

ここで注目すべきは、「利用控え」という言葉です。これは医療分野でいう「受診控え」と同じ構造を持ちます。必要な治療を我慢した結果、症状が悪化し、最終的には救急搬送や入院という、より高額な医療費が発生する――介護でも同じことが起きるのです。
 週3回必要だったデイサービスを週1回に減らせば、その瞬間は自己負担額が下がります。しかし、入浴機会の減少、他者との交流の途絶、身体機能の低下が進み、数カ月後には要介護度が上がり、結果として家族の介護負担が激増する。
 この「短期的な節約が長期的な破綻を招く」という悪循環を、現場の家族は身をもって知っているのです。

認知症の人と家族の会「次期介護保険制度改正に向けた要望書」(2025年12月12日)


「2割負担」拡大が狙う中間所得層:数字の裏にある生活実態

現在、介護保険の自己負担割合は原則1割ですが、一定以上の所得がある層は2割、さらに高所得層は3割を負担しています。今回政府が検討しているのは、この「一定以上の所得」の基準を引き下げ、より多くの中間所得層を2割負担の対象に組み込むという案です。

厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会では、具体的な所得基準として年収230万円前後が議論の俎上に載っています。一見、「それなりに収入がある人」に見えるかもしれません。しかし、この層の家計を冷静に見れば、余裕などどこにもないことが分かります。

年金収入が月20万円弱の高齢者世帯を想定してみましょう。家賃や住宅ローンの支払い、光熱費、食費といった固定費を差し引けば、手元に残るのは月5万円程度。そこに医療費(高齢になれば通院は避けられません)が加わり、さらに介護サービスの自己負担が発生します。現在1割負担で月1万円だったものが2割になれば2万円。差額の1万円は、この層にとって「やりくりすれば何とかなる」金額ではなく、「どこかを削らなければ払えない」臨界点なのです。

厚生労働省が2024年に公表した「国民生活基礎調査」によれば、高齢者世帯の平均所得は減少傾向にあり、年金の実質的な購買力も物価上昇により目減りしています。さらに、後期高齢者医療制度の保険料改定により、医療費の窓口負担も段階的に増えている現実があります。つまり、介護保険の負担増は単独で起きるのではなく、「物価高×医療費増×年金目減り」という三重苦の中で家計を直撃するのです。

厚生労働省は、増額を当面7000円としべきではないかとの案も示しています。

厚生労働省「2024年国民生活基礎調査の概況」


ケアプラン有料化が破壊する「相談のセーフティネット」

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