たこ焼き。粉もの店28件倒産・過去最多の年に、”築地銀だこ”だけが笑っていた理由:ホットランドホールディングス
たこ焼き屋が消えていく時代に、たこ焼き屋が最も強くなっている逆説 ※写真はイメージです
2025年、「お好み焼き・焼きそば・たこ焼き店」の倒産が28件と過去最多を記録しました。物価高が原因、とひと言で済ませれば楽ですが、それでは何も変わりません。今回のNOTEでは、最大手ホットランドホールディングスの最新決算データと市場構造を照らし合わせながら、「誰が生き残り、誰が退場するのか」を独自視点から読み解きます。たこ焼き市場の変化は、外食産業全体の縮図です。

倒産28件が示すもの:「庶民の味」という呪縛
2025年、東京商工リサーチの調査によると「お好み焼き・焼きそば・たこ焼き店」の倒産件数は28件と過去最多を更新しました。
倒産した店の内訳を見ると、資本金1,000万円未満の小・零細企業が全体の92.8%を占めています。つまり、廃業したのは「規模の小さい個人店」にほぼ限定されている。逆に言えば、大手チェーンには同じ嵐でも別の話です。
「物価高で潰れた」は、半分正しく、半分は違います。
原材料費の高騰は確かに痛い。
タコは国際市況と円安の影響を受け続け、小麦粉は政府売渡価格が変動し、食用油の上昇も止まっていない。帝国データバンクの調査によれば、飲食店業界の価格転嫁率は32.3%で、全業種平均の39.4%を大きく下回っています(帝国データバンク「価格転嫁の動向調査」2025年)。
10円コストが上がっても、4円分しか値上げできていない計算です。
残りの6円は自分たちで吸収している。これが続けば、どこかで必ず底が抜けます。
ただ、ここで見落としてはいけない点があります。価格転嫁できなかったのは、「したくなかった」のではなく、「できなかった」のだという点です。
「たこ焼きは安いもの」という顧客の記憶は、長年の商売が刷り込んできた印象です。8個300円から外れると客が離れる恐怖が、店主たちを縛り続けました。その心理的な鎖こそが、コスト上昇の局面では命取りになる。廉価のイメージを守ろうとした店ほど、先に息切れしてしまった。
これは物価高の問題というより、「ブランドの設計ミス」の問題です。
銀だこは「笑っていた」のか:財務を正直に読む
「大手は強い」で話を終わらせると、何も見えてきません。
ホットランドホールディングスの2025年12月期決算を見ると、売上高は510億4,000万円と前年比10.7%増を確保しています。しかし、営業利益は17億8,400万円で、前年同期の25億4,500万円から29.9%の大幅減少です。
売上は伸びているのに、利益は3割近く消えている。
これは「銀だこも苦しんだ」という事実の正直な表れです。
コストアップの波は、規模の大小にかかわらず全員に当たりました。
大手が有利なのは「波に飲まれにくい」という点であって、「波を受けない」ではない。
では、2026年はどうか。
2026年12月期第1四半期(2026年5月15日発表)の数字は、様子が変わります。売上高138億円、経常利益9億1,700万円で、前年同期比72.3%増という急回復です。通期予想は売上高580億円、営業利益25億円と、2025年比で40%以上の利益改善を見込んでいます。
何が変わったのか。
単純な値上げではありません。
業態の「組み替え」が効き始めたと見るのが自然です。
今回概要まとめ図
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