第1話:30歳、初めてファイナルファンタジーをやってみた。
昔、よくこんな話をしていた。
「ドラクエ派? FF派?」
ゲーム好きなら、一度くらい聞いたことがあるんじゃないだろうか。
僕の周りの友達は、もっぱらドラクエ派だった。
もちろん僕もドラクエ派。
FFが嫌いだったわけではない。
ただ、なんとなく遊ぶ機会がなくて、そのまま30歳になった。
ちなみに、奥さんはFF派である。
そんな我が家で、ある日ちょっとしたきっかけがあった。
ドラクエ派だった僕
僕が子どもの頃、周りでは「ドラクエ派」と「FF派」がなんとなく分かれていた。
そして僕は、完全にドラクエ側。
ドラクエをやって、レベルを上げて、装備を買って、MPが減ったら宿屋に泊まる。
そんなRPGに慣れ親しんできた。
一方でFFは、名前こそ知っているものの、ちゃんとプレイしたことがない。
シリーズ作品もたくさん出ているし、有名なキャラクターもいる。
でも、
「FFってどんなゲームなの?」
と聞かれたら、正直よく分からない。
そんな状態だった。
800円のFF1
そんなある日、オンラインストアを眺めていた。
すると、FF1がセールになっている。
800円くらい。
安い。
ちょうどお盆も近かった。
「これ、やってみる?」
奥さんに聞いてみる。
すると、
「いいんじゃない?」
ということで、購入。
お盆休みに遊んでみることになった。
今回プレイしたのは、ファイナルファンタジー ピクセルリマスター。
昔のFFを、現代向けに遊びやすくしたものらしい。
グラフィックも当時よりかなり綺麗になっている。
僕としては、
「まあ、昔のRPGだし、ゆっくりやってみるか」
くらいの気持ちだった。
このときはまだ、
自分がFF1にここまでハマるとは思っていなかった。
いきなりSTAR WARS
ゲームを起動する。
そして、いよいよ物語が始まる。
……と思ったら。
画面に文章が表示される。
そして、その文章が上へ向かってスクロールしていく。
「……STAR WARSみたいに始まったぞ」
まさかFF1のオープニングが、こんな始まり方をするとは思っていなかった。
しかも、文章の雰囲気がなんというか……
ゴシックっぽい。
重々しい。
荘厳。
「これから壮大な物語が始まりますよ」という空気が、文字だけで漂っている。
「FFって、こういう感じなんだ」
30歳にして、初めて知った。
昔のゲームということで、もっと「古いゲームをやっているなあ」という感じになると思っていた。
ところが、意外にも最初から世界観に引き込まれる。
文字だけなのに、ちゃんとワクワクする。
なんだか思っていたFFと違う。
「モンクってなに!?」
そして、ゲームが始まる。
すると今度は、キャラクターを4人設定することになった。
「4人!?」
戦士。
シーフ。
白魔術師。
黒魔術師。
……戦士は分かる。
シーフも、まあ分かる。
白魔術師と黒魔術師も、なんとなく分かる。
でも、ひとつ気になる職業があった。
モンク。
「モンクってなに!?」
30歳、初FF。
知らない。
何をする人なのかも、いまいち分からない。
そこで、FF派である奥さんに聞いてみた。
「モンクって何なん?」
すると奥さん。
「終盤まで育てるの大変だから、入れたくない」
……。
いや、そうじゃない。
何者なのかを聞いている。
でも、どうやら奥さんにとってモンクは、
「育てるのが大変な人」
らしい。
結局、パーティーには入れなかった。
そして今。
FF1をクリアした今でも、
僕はモンクが何者なのか、いまいち分かっていない。
30歳、初FF。
知らない職業を一つ残したまま、僕の冒険は始まった。
戦闘画面、僕ら右側なん?
そして 、いよいよ初めての戦闘。
画面が切り替わる。
敵がいる。
そして僕たちは――右側にいる。
「……右?」
そう。
僕の知っているドラクエでは、基本的に自分たちが左側で、敵が右側。
それが当たり前だった。
ところがFF1では逆。僕ら右なん!?
たったそれだけのことなのに、ものすごい違和感。
敵を左に見ながら戦う。
なんだろう。
落ち着かない。
でも、こういう小さな違いにいちいち驚くのが、初めてFFを遊ぶ面白さだった。
「今、FFやってるんだな……」
変なところで実感する30歳。
追記
――と、ここまで書いておきながら。
コメント様から衝撃的なツッコミ。
「ドラクエはFFと違って、実は戦闘中に主人公や味方が画面に映らないんですよ」
……マジ?
気になって調べてみる。
すると――
マジだった!僕の勘違い。
…… じゃあ、なんで戦闘画面で違和感があったのか。
なんで僕はずっとドラクエは自分たちが左で敵が右だと思ってたんだ。
自分の記憶が、いちばん信用ならない。
30歳、初めてのFF。
まさか戦闘より先に、自分の記憶と戦うことになるとは思わなかった。
魔法のシステム、何これ
そして、さらに驚かされた。
魔法である。
最初は、
「FFにもMPがあるんだな」
くらいに思っていた。
ところが、どうやらそんな単純な話ではない。
FF1では魔法がレベルごとに分かれている。
しかも、それぞれの魔法レベルで覚えられる魔法には制限がある。
さらに、その魔法レベルごとに使える回数まで決まっている。
「……え?」
ドラクエで育った僕の感覚では、
HPが減る。
↓
ホイミ。
まだ減っている。
↓
もう一回ホイミ。
MPが残っている限り、使える。
それが僕の中での「魔法」だった。
ところがFF1は違う。
「MPが残っているから使える」ではない。
「この魔法、あと何回使える?」
なのである。
回復したい。
でも、回数がない。
じゃあ、どうする。
……。
魔法を使うこと自体に、ちょっとした先読みがいる。
これも僕にとっては新鮮だった。
「昔のRPGって、こんな感じだったのか」
今まで当たり前だと思っていたものが、FF1では当たり前じゃない。
それが面白かった。
そして僕はFF1を始めた
こうして振り返ってみると、ゲームを始めてすぐの時点で、すでに何度も驚いていた。
STAR WARSみたいなオープニング。
ゴシックっぽい世界観。
4人のキャラクター。
「モンクってなに!?」という謎。
敵と味方の左右に謎の違和感。
そして、よく分からない魔法システム。
30歳になるまで、ほとんど触れてこなかったFF。
ドラクエ派だった僕にとっては、知らないことだらけだった。
でも、不思議と嫌ではなかった。
むしろ、
「この先、どうなるんだろう」
という気持ちがどんどん強くなっていった。
そして、気づけば僕は、
「FF1、めちゃくちゃ面白いやん」
と思いながらプレイしていた。
まさかこのあと、FF1をクリアした勢いでFF2まで買うことになるとは、このときの僕はまだ知らない。
30歳の初FF。
僕のファイナルファンタジーは、こうして始まった。
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