『ギルド探求団へようこそ!』感想/ライトでヘビーなオブラディンライクの名作インディー(ネタバレなし/あり)
ネタバレなし紹介
前作?『鏡のマジョリティア』が無料ゲームであるにも関わらず素晴らしい出来の作品だったため、お布施気分+きっとこちらも面白いだろうと言うことで購入してプレイしてみたのですが、こちらもまた素晴らしい作品でした。
自分の中の好みで言えば、前作より更に面白い作品となりました。
全体的に自分の趣味に合っています。
「ギルド探求団へようこそ!」創立から1000日を迎えたギルドの、パーティ情報を復旧させる『推理パズルゲーム』です。過去1000日を振り返りながら、78人の冒険者が、20隊あるパーティのどこに所属していたのかを特定し、どのような結末を迎えたのかを推理で暴きましょう!それでは──良い旅を!
色んな記事を探し出してデータを集め、それを元にしてそれぞれのパーティの情報を埋めていく…という、つまりはパズルゲームなんですが。

元ネタとしては一番有名そうな『Return of the Obra Dinn』と比べると、難易度もボリュームも控えめです。
概ね、5~6時間でクリアできるのではないでしょうか。

雰囲気も、洋ゲーで1人で暗い船内を散策するオブラディンに比べると日本の洋風ファンタジー作品(ドラクエとか、それを元にしたなろう系ファンタジーとか)がベースになっているので、かなりとっつきやすいと思います。
詰まった時は可愛い助手ちゃんをいつでもナデナデできるのも良いですね。

オブラディンは間違いなく名作ではあるんですが、自分にとってはパズルとしての難易度が高すぎたので…これくらいが丁度良く感じます。
顔の見分けもあんまり付かないんですよね…
こっちは普通に日本のアニメ的な絵柄なので、わかりやすいです。
まあ難易度控えめと言ってもオブラディンに比べればというだけで、そんなにサクサクと進むわけではないんですが、多少の総当たりは許容されていますし、ちゃんとそのうち解き方もわかってくるので、やっぱり難易度調整は丁度良かったと思います。
また、ずっと机の上でデータを操作するだけで進んでいく話なので、その辺りも3Dで動き回るオブラディンとかよりはできることが限られている分、逆にやりやすいですね。
何より、バックストーリーが普通に楽しめました。
『鏡のマジョリティア』はどちらかと言うとシナリオ部分についてはオマケ寄り(結構楽しめたけど)だったんですが、こっちはストーリー部分も結構メインだなと感じています。
まあ、リスペクト元?のオブラディンもバックストーリーが重要な話ではあるんですけど。
より馴染みのある雰囲気の話だったので、感情移入しやすかったですね。
最後までクリアすると、じ~んとします。
以下、がっつりネタバレ感想。
ネタバレあり感想
「兵どもが夢の跡」な話、結構好きなんですよね。
しかし人情モノな話も、ハッピーエンドも好きです。
その辺り、絶妙に丁度いいバランスのバックストーリーでした。
主人公はデータを集めてまとめて再編纂しているだけなので、特に過去の話に影響を与えることは出来ません。しかしまとめて行くことで彼らの歴史に対して思いを馳せることは出来ます。
一番最初に情報をまとめることになる二代目ユウシャアキラが、最後に色んなことを解決してくれる存在なのも良かったですね。最初に読んだ時は、勇者のチート能力が仙豆でジョブは調理師って、まさになろうっぽいというかネタ的な感じだなぁという印象を受けると思うんですけど。
情報をまとめていくと、思っていたよりもずっと重い背景がある世界観なのがわかっていきます。
まあそもそもアキラのインタビューの時点で、死者を出していないパーティはアキラと新人だけという話なので、冷静に考えればその時点で結構しんどい話になりそうなんですけども。

この大前提が抜け落ちている、というか意識から外れてしまっている場面が結構ありました。
まさか違うだろう、って無意識に考慮しないようにしてしまったんですね。
まあつまり、最後まで残ったパーティがこれだったんですけど…

ランサスめっちゃ良いやつじゃ~んと中盤の時点でなっていて、そしてその上で既に親友4人組(フォルビア、ツバサ、ムラサキ、ランサス?)が自分1人を残して壊滅したという重い過去があったので、まさか更にもう1発があるだろうとは思ってなかったんですよね…
色々可能性を考えていって、改めて最後にオネットのインタビューを読み返して答えを察してしまった時は、「あぁ…えぇ…」という言葉が口から漏れてしまいました。

これについては『孤高のバーサーカー』でも引っかかったメタ視点の罠でしたね。

インタビュー単品でほぼ話が完結していて、そして物悲しい話だったのはやはり『ムギグサ盗賊団』でしょうか。

「結局どっちがリーダーなんだ?名前だけムギグサにしたのか?」とか悩んでいたら、「そもそもリーダーは死なないと変更できない」というルールを改めて突き詰められて、「あぁ…」ってなりました。
このルールも割と頭から抜け落ちがちでしたね。
本家・魔導師団で最後まで詰まった要素でした。

魔道士団は本当に難しかったです。
「まず魔道士か聖職者か判断できなさすぎねえ!?」ってかなり終盤までずっと悩んでたんですけど、セージの話とイラストからようやっとピアスで判断できることに気付きました。
というか、「見た目の先入観で判断してはいけない」という先入観のせいで逆に、「普通に見た目で職業を判断できる」という部分に気付かなかったんですよね…
魔道士、聖職者もですけど。調理師とか普通に見た目でわかるんかい!って終盤気付いて、そこからはかなりガンガン進みました。
盗賊はマチス盗賊団のせいで耳に飾り付けてるやつらかな?と思ったんですが他の盗賊を見る限りは関係無いんですかね。
魔道士・聖職者・賢者のピアスと、調理師のバンダナくらいでしょうか?判断できるのは。
あとはクロユリの扱いも難しかったですね…
死んだという話は出ているけど、死亡枠が埋まっているという。
つまり、ギルドには管理されていない部分で死んでいたので死亡判定になっていなかったんですね。

別に劇ではないんですけど、色んなパーティの栄枯盛衰が語られて少しずつ絡んでいく様には群像劇感を覚えました。
最後まで残ったのは前述したように『働け! 我がしもべたちよ!』と、それと『孤高の狂犬』だったんですが…
ツバサさんの情報が無さすぎてかなり難しかったですね。
この人いつどういう経緯でこのパーティに加入してたんだ…?

『豪傑の騎士団』もかなり終盤まで詰まってました。
やっぱ人数が多いと難しいですね。

そして、タイトル回収…ではあるけども割と早い段階で普通に完成させられる『ギルド探求団』。
この、写真1枚1枚から当時の雰囲気とか関係性が想起できるのも絶妙で良いですよね。
個人的に、語れることはなるべく答え合わせして欲しい派の人間ではあるのですが、答え合わせまでの道中を好きに妄想するのもまた楽しいので好きです。

そして最後の最後、エンディングがこれまた良かったです。
色んな過去があった上で、新しく生まれた「ユウシャ」が全てをまるっと解決できるわけでは無いものの、色々なものを助けて。
救えたものもあり、救われなかったものもあり、そして周りで勝手に救われたものたちもあり。
悲しい過去に対して、少し希望のある未来を突きつける終わりが良かったですね。
諸行無常の響きあり…
それぞれのパーティの追加の話にも、色んな味わいがあって一概には括れない感情になりました。
パーティ名の先入観で結構詰まってたスターリリーとか

魔物落ちした先代ユウシャとか

元・最強だったパキラとか

この辺りはアキラが救うことが出来た人なんですが、しかしパキラ団はパキラ以外は全滅しているし、孤高のユウシャの友人だった孤高のバーサーカーは既に死んでしまっていますし。
全てが解決、ハッピーエンドとは行きません。
それでも、喪失を乗り越えて先に進んでいくこともできるというのが色んなバックストーリーから読み取れて良かったです。

このパートは「その後」だけじゃなくて、「その前」のものも結構多くて、それはそれで別の味わいがありましたね。



やっぱりランサス周りが一番辛かったですかね。
最後に残ったのもランサスでしたし。
なんならエンディング的にも、結構重要なポジションのキャラでしたね。

そして初代でありタイトルである『ギルド探求団』が、「その前」を背負いながら「その後」を語る話になっているのがとても綺麗だと思いました。

一概にハッピーともビターとも言えないと思いますが、しかしバッドな終わりではなく。
少なくとも皆が前を向いて進めるようになるだろうと信じられる話ではありました。
エピローグをつらつらと会話で語られるのではなく、最後まで報告書で終わるのもまた味がありますね。
ところでおじさんは何も話に関係ない、ただのおじさんだったんでしょうか?
足を怪我してるとのことでしたが…
なんか怪しいんですよね。「記録師」が「キオクシ」として勘違いして伝わっているくだりとか。
あとなんか、エピローグ的に結構重要な立場である「しもべ」達と助手ちゃんが普通に知り合いだったりしますし。

多分、自分はそれなりに考えはしたものの、結構バックストーリーを把握しきれていないところはあると思います。
地味にかなり複雑に絡み合ってるんですよね。攻略とはそこまで関わりのない部分ですが。
できればその辺りの完全な答え合わせを最後に読めるとなお良かったかも知れませんが、自分で考えて繋げていくだけでも十分に妄想の余地があり、とても楽しい作品でした。
前作以上にゲーム性+ストーリーが自分にハマっており、なかなかの名作だと思います。
辛さと優しさのバランスが絶妙ですね。
最近、良いADVばっか遊んでるな…
