#492 学校が休校になった日の給食はどうなるの?
台風や大雪で学校が休校になると、「その日に準備されていた給食はどうなるのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか。
実は、多くの場合、提供できなくなった給食は廃棄されます。
「もったいない」と感じる人も多いと思いますが、そこには単なる衛生面だけではない、学校給食特有の事情があります。
なぜ給食は廃棄されることがあるのか
学校給食は、児童・生徒数に合わせて毎日計画的に作られています。
しかし、休校が決まるタイミングによっては、
食材の発注が済んでいる
調理が始まっている
すでに完成している
という場合があります。
特に、当日の早朝に休校が決定すると、給食センターや調理場では通常どおり準備が進んでいることが少なくありません。
その結果、提供先を失った給食が発生します。
衛生管理上の理由
学校給食には厳しい衛生基準があります。
調理後の給食は、一定時間以内に提供・喫食することが前提であり、時間が経過したものを翌日に回すことは原則としてできません。
また、牛乳やサラダ、和え物などは温度管理が特に重要です。
そのため、「まだ食べられそうだから提供する」という判断は基本的に認められていません。
制度的な理由も大きい
ただし、給食が廃棄される理由は衛生面だけではありません。
実際には制度的な制約が大きく関わっています。
例えば、近所の福祉施設や農場へ提供しようとしても、教育委員会の許可が下りなかったという事例が報告されています。
なぜなら、学校給食は公費や給食費を使って調達されたものであり、当初予定されていた児童・生徒以外へ提供する場合、
誰が責任を負うのか
事故が起きた場合の補償をどうするのか
特定の施設だけに提供して公平性に問題はないか
食品衛生上の管理をどこまで確認するのか
といった問題が生じるからです。
つまり、「捨てるのはもったいない」という気持ちがあっても、行政組織としては責任とルールを無視して配布することが難しいのです。
廃棄を減らすための取り組み
もちろん、自治体や学校も廃棄を減らそうとしています。
例えば、
休校の判断をできるだけ早く行う
調理開始前なら発注を調整する
未調理の食材を別日に活用する
冷凍保存できる食材を優先的に利用する
といった工夫が進められています。
また、自治体によっては、災害時や休校時の食品活用ルールをあらかじめ整備しようとする動きもあります。
実際に市の予算で確保していた食材を休校時にはフードバンクを通して病院や放課後児童クラブに寄付したという事例もあるようですが、全国的には広まっていないのが現状です。
給食の廃棄から考えるフードロス
日本では、まだ食べられる食品が捨てられるフードロスが問題になっています。
給食の廃棄も、その一例として考えることができます。
ただし、この問題は単純に「もったいない」で終わるものではありません。
学校給食には、
安全性の確保
責任の所在
公平性
公的制度の運用
といった条件が重なっています。
そのため、フードロス削減では「食品を無駄にしないこと」と「制度や安全をどう両立させるか」が重要な課題になるのです。
おわりに
休校になった日の給食が廃棄される背景には、衛生管理だけでなく、教育委員会の運用や責任の問題など、制度的な理由も大きく関わっています。
「福祉施設に配ればよい」「農場で活用すればよい」と簡単にはいかないのは、学校給食が公的な制度の中で管理されている食品だからです。
社会科では、フードロスや持続可能な社会について学びます。
休校時の給食の問題は、「食品を大切にすること」と「公的制度のルールをどう両立させるか」を考える、身近な教材の一つといえるでしょう。
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