時給1万のつもりが700円になった|「AIでできます」と即答する前に確認すること
時給1万円は超えるだろう、と思って受けた仕事があります。
終わってから計算したら、時給700円ほどでした。
見積もりを外した原因は、はっきりしています。
無双していた時期があった
AIで作れる範囲が急に広がった時期がありました。
これまで手が出なかったものが形になる。ある程度の精度で出力も返ってくる。
自分の中で「たいていのものは作れる」という感覚になっていました。
そこへ、やったことのない領域の仕事が来ました。
二つ返事で「やります」と答えました。作るところは想像がついたからです。実際、技術的にはその通りでした。
作れることと、その仕事ができることは別だった
始めてすぐ、想定と違うことに気づきました。
その仕事は、業務知識がないと到底できない種類のものでした。
何をどう作るかの前に、その業務がどういう流れで、何が正しくて、どこに例外があるのかを知らないと、作るものが決まらない。

自分が見積もっていたのは「作る時間」だけです。
実際にかかったのは、その手前の調べて、理解して、自分の中に落とし込む時間でした。ここだけで数十時間かかりました。
作れることと、その仕事ができることは別でした。
作る作業自体は、見積もり通りに終わりました。全体が大きく膨らんだのは、作る前の部分です。
「勉強になるからいい」は、だいたい回収できない
受けたとき、自分の中に言い訳がありました。
やったことのない領域だけど、業務知識がつくからいい、と。
次から同じ分野の仕事が来たとき、この経験が効くはずだ、と考えていました。
結果を書きます。
その業務には、それ以降一度も触れていません。
学んだ知識は、そのまま使い道がありませんでした。
汎用的なスキルなら次に効きます。
でも、特定の業務に固有の知識は、その業務をまた受けない限り使いません。
「勉強になる」を理由に安く受けるとき、その勉強が次に繋がるかを確かめていませんでした。
ここが甘かったところです。
見積もりが外れる構造
いま整理すると、見積もりを外した構造はこうです。

AIを使うと、作る時間だけが劇的に短くなります。だから「作る時間」で見積もると、安く速く見えます。
一方で、作る前の工程は短くなりません。何を作るか決める、その分野を理解する、判断の基準を持つ。
ここはAIに聞いても、自分の中に入るまでの時間は変わりませんでした。
つまりAIが得意な部分だけが縮んで、他は元のままです。全体の時間で見ると、縮んだ割合は思ったより小さい。
「AIで作れるから安くできます」と言うとき、自分は縮んだ部分だけを見ていました。
受ける前に自分へ聞く3つ
いまは、答える前にこれを確認します。
その分野の業務を、自分は説明できるか(できないなら、理解する時間を見積もりに入れる)
今回つく知識は、次にも使えるか(特定業務に固有なら「勉強になる」を理由にしない)
作る時間以外に、どの工程が発生するか

3つ目を出すために、作業を工程に割ります。決める・調べる・作る・確認する・引き渡す。
このうち「作る」だけがAIで縮む工程で、他は自分の時間です。
前に、「全部できます」と言うのをやめたら提案が通るようになったという話を書きました。
あのときは範囲の話でしたが、根っこは同じでした。できるかどうかで答えると、できる範囲を実際より広く言ってしまう。
断らなくても、条件は付けられる
とはいえ、知らない領域を全部断るのももったいないと思っています。
いまは、受けるときに条件を付けます。「その業務の流れを教えてもらう時間を、最初に取らせてください」と伝える。
その時間も見積もりに入れる。
これを言って断られたことは、いまのところありません。
相手からしても、分かっていない人に手探りで作られるより、先に理解してもらったほうが早いからです。
言わなかったときだけ、その時間が自分の持ち出しになっていました。
時給700円は、二つ返事の代金だったと思っています。
最後まで読んでくれて、ありがとうございます。
自分が業務をどう割って、どこから機械に渡したかは、1本の記事に順番でまとめてあります。詰まった場所と、直した判断も、そこから辿れます。
9月8日(月)から1週間、「押さなくても動く、最初の1本」をやります。
自分の業務で月18時間を戻している1本を、動かす準備から。
