【君たちはどう生きるか】本当に難解な映画だったのか?宮崎駿が描いた本当のメッセージ
いつものご挨拶
普段は、漫画を描いておりますが、漫画を描いていると言う事は漫画を始めとした物語を読むこと自体が大好きでして・・・漫画や小説、映画などの感想や考察などもnoteとは別のブログで書いていました。
チョッと趣向を変えて、そのブログの記事を加筆修正したものをご紹介します。
どうか遺作にならないで
日本が世界に誇る天才アニメ監督宮崎駿。
宮崎監督が発表した作品はすべからく世界的に評価を得てきたことについては、ご存知だと思います。
ただ、「崖の上のポニョ」辺りから作品について「難解だ」「分かりにくい」と言った意見が出始めました。
特に現時点(2026年7月)での最新作「君たちはどう生きるか」についてはYOUTUBEを始めとした様々なSNSで、本当にたくさんの「徹底考察」と言う言葉が飛び交いました。
果たして「君たちはどう生きるか」は難解な映画だったのか。
そしてどう鑑賞するべきなのか。
そんな事を私なりにまとめた記事になります。
今回の記事は、2024年11月19日から数日間にかけて私のブログ「超コツコツ日記」で更新した【晩秋の読書感想文】の内容に加筆修正したものになります。
思いっきりネタバレしております。
映画「君たちはどう生きるか」本編を未鑑賞の方は、ご注意ください。
ここから先は、ブログの文章の転載なので口語文っぽくなっています。
日本人としての義務
7月(2024年)に購入したまま積みDVDになってた「君たちはどう生きるか」のDVDをやっと見た。

こちらの初回限定版を買いましたよ。何となく。
見たくなかった訳じゃないんだけど、「ながら見」じゃなくてちゃんと見た方が良いかなと思ったら、全然見る暇がなくて、結局、お仕事しながらの「ながら見」をしてしまったと言う体たらく。
その部分については、非常に反省しております。
ちなみに、映画館で見てきてすぐに書いた感想がこちら⇒「「君たちはどう生きるか」を見てきた」
あれから1年と3か月。
良く分からんけど、満を持して感想を書きますよぉ!!
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・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
みたいな話でもないけど、一応ネタバレを含むので、未視聴の方はご配慮されたし。
徹底考察は必要なのか
この物語については、それはもう本当に至る所で「徹底考察」と言う記事を目にする。
YOUTUBEで考察動画が流れてきたかと思えば、Xで「noteで考察記事書いたよ」みたいなポストが流れてくる。
正直食傷気味ですよ。おっさんは。
「徹底考察」って・・・何じゃそりゃ?と思ったりはするんだけど、それくらい難解なお話だと思う人が多かったと言う事なんだろう。
こんなもの、チョッと前(23年12月頃)にNHKでやってた「プロフェッショナル~仕事の流儀」を見たら1秒で理解できると思うんだけど、あの番組意外と見られていないんだろうか?
ちなみに、今回買ったDVDボックスにあの番組のDVDもついておりました。
要はあれだ。
ジブリと言う変な事が良く起こる古い屋敷の中で、唯一の真人間「眞人」である宮崎少年が、鈴木敏夫という詐欺男に唆されて、世界を創造した高畑勲という大叔父に会いに行くって話ですよね。


中身は高畑勲
大叔父によって作らされた13の積み木(多分、これまでに制作してきた「カリオストロの城」「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「紅の豚」「on your mark」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「崖の上のポニョ」「風立ちぬ」、そして「君たちはどう生きるか」の13作品)によって世界を作ろうとしていたけど、やかましいインコのせいで、それが粉々に曲解された結果、崩壊していく。

言ってしまえば、以上です。
80歳を超えてもまだ少年の心を持っている(と思っている)宮崎少年による、年寄り3人のBL物語と言う気持ち悪い話。
それを過去のジブリ作品のセルフオマージュをする事で隠してみたんだろうけど、残念ながら臭いが至る所から染み出してる。
隠しきれていないよ。宮崎監督・・・
まぁ、そんな話。
「徹底考察」するほど、高尚な意味はないよ。
ただただ、宮崎少年の歪でありながらも物凄くまっすぐと言う矛盾の塊のような高畑監督への恋慕の情を見るための映画であり、それ以上でもそれ以下でもないと思う。
そんな事は分かる人には分かるし、分からない(もしくは、分かってて敢えて分からないふりをしている)人は「徹底考察」をすると言う形で楽しむ事も出来る。
そんな極上のエンターテイメント作品が「君たちはどう生きるか」なんだ。
はい。おしまい。
では、あまりにもあっさりし過ぎているので、「上記のような物語だよ」と言う事を前提として、じゃあ、ここから何を読み解きますかと言う話を、もう少しだけ書いていこうか。
原作と言える2つの物語
とは言え、「徹底考察」とかするものではないと言ってしまった以上、果たして何を書こうか。
うむむむむ・・・
・・・どうしようかな。
この物語を本当に心底楽しむためには、きっと、色んな予備知識が必要なのかもしれないと言う話にしようか。
大原則として、本作には、原作と言える2つの物語があるのはご存じだろうか。
それはエンドロールでもきっちり明記されている「君たちはどう生きるか」と「失われたものたちの本」の2つ。
特に「失われたものたちの本」については、物語全編に至って、似通っているを通り越して、オマージュでは説明できない位そのまんま。
「あしたのジョー」と「マキバオー」ぐらいそのまんま。
「失われたものたちの本」のフォーマットをお借りしてると言う表現の方が正確なのか?その辺は良く分かんないや。
あと多分、江戸川乱歩の「幽霊塔」の影響もあるような気がする。
その他にも、何か色んな作品から影響を受けているらしい。
この辺りの事、細かい事はあんまり分からない。
映画を理解すると言う事
そもそもオレは「君たちはどう生きるか」も「失われたものたちの本」も読んでない。
これから読むかどうかも分からない。

何か、映画を理解するために本を読むってどうなのよって話ですよ。
「読んでた本がたまたま影響してた」なら分かる。
あと、映画を見て物凄く興味をひかれたから下敷きになったであろう本を読むと言うのも分かる。
でも、映画を理解するためには本を読まなければいけないと言うのはどうなんだろう。
そこまでして映画って理解しないといけないものなんでしょうかね?
だから何だと言う話なんだよ。
そんな事言うなら、「ラピュタ」だって「ガリヴァー旅行記」を下敷きにした上で、「ジュール・ヴェルヌ」の世界観に影響されていて、「未来少年コナン」のセルフオマージュをしているじゃないか。
ムスカなんか、どう考えても美形になったレプカにしか見えないし、ゴリアテだってギガントが元ネタでしょ。

インダストリアを空に浮かべたのがラピュタで、ゴンドアの谷は海ではなく山に囲まれたハイハーバーだ。


みたいな話になると思う。
でも、「ラピュタ」を語る上で「ジュール・ヴェルヌ」の書籍を読み倒して、「ガリヴァー旅行記」を細部まで理解した上で、「未来少年コナン」を全話視聴しておく必要があるとか言われた事ない。
それは何故か。
単純に物語自体が面白いからだと思ってる。
面白ければ、いちいち「このシーンでジュール・ヴェルヌの影響がみられる」みたいな事を話す必要がないんだよ。
逆に言えば、きっと「君たちはどう生きるか」を見て「このシーンでは江戸川乱歩の影響がみられる」とか言ってるヤツは物語自体が面白くなかったのかもしれない。
映画鑑賞と言う高尚な行為
物語自体が面白いか面白くないかはそもそもの話、人それぞれ。
100人いて100人が面白いと思う作品なんてある訳ない。
だから「面白くなかった」でも「あぁ~面白かった~」でも良いじゃないか。
それなのに「世界のハヤオ・ミヤザキの新作だから面白くないはずが無い。」とかそんな感じの強迫観念みたいな思い込みがあって、「面白く感じられなかったのは、きっとオレの理解力が足りていないんだ。知識が不足しているんだ!そう言えば、このシーンでは、ルイス・キャロルの影響がみられるぞ。不思議の国のアリスを読んだ上で、もう一度映画を見て徹底考察してやろう!」みたいな事になるんだろうて。
一体いつから映画を見ると言う行為がそんな高尚なものになってしまったのやら。

難解な物語なのか?
そもそも、この映画について他の宮崎作品と比べて物語的に難解だったとか、面白くなかったとか、そう言う事は別段なかったと思う。
色んな所から影響を受けていてもっと難解な物語もあるし、冷静に考えてしまうと全然面白くなかった物語もあったよ。
でも、現実として「君たちはどう生きるか」は難解で良く分からない話だ。と、こんな事になっている。
もちろんこれには理由が多分あるはず。
それは一体何なのか。
何となくだけど2つあるような気がするんだよね。
その2つの理由について、書いていきましょうか。

評価を決定づけた2つの要素
長くなってしまったな。クソ。
まぁ、それだけこの作品は深く見ていける傑作だと言う事にしておこう。
え~と・・・なんだっけな。
この映画が難解で良く分からない話と思われてしまう理由は何なのか。と言う話だったな。
それについては、2つ挙げられると思ってる。
令和と言う時代
ひとつは令和と言う時代。
作中に「隕石が降ってきてその隕石を塔で囲んだ」と言う設定が出てくるけど、あれ多分原発批判だよね。
よく見ると、原発批判に見える描写がチラホラと出てくる。


宮崎監督の原発嫌いは一部地域では有名で、実際、監督の作品では至る所でそれを匂わせる描写を出してくる。
「on your mark」に至っては、露骨に放射能マークをだしたり、「ここから先はヤバイぞ」って警告を書いたりしてた。



「on your mark」発表時、問題にならなかったのは、日本人のほとんどが「放射能マーク」の存在自体あんまり知らなかっただろうからだし、SNSが無かったからもし気付いた人がいたとしても今ほど爆発的に広がらなかったと言う背景があると思う。
日本人が本格的に「放射能ってヤバくね?」ってなったのって、東海村臨界事故あたりからだろうし・・・
逆に、今の時代ASKAの新曲のPVを宮崎監督がやる事になったとしたら、果たして同じような表現で発表することが出来ただろうか。
多分、露骨にそう言う描写が出来なくなってしまい、情報を暗喩的に出して「分かる人は分かってくれ~」と言う描写が増えたのだろうことは想像に難くない。
コンプライアンスでガチガチに固められ、SNSでの暴発に怯えながら、ひっそりと表現を垂れ流さなければいけない。
それが令和と言う時代なんだよ。
それは世界的アニメ監督宮崎駿であっても避けられなかった。
「君たちはどう生きるか」の発表時期が1990年代なら、もっと表現自体が直接的で分かりやすいものになっていたと思う。それこそ「on your mark」でやったような分かりやすい奴。
「風立ちぬ」公開時、菜穂子の横で二郎がタバコ吸ってる描写をした事が大問題になり炎上したのも記憶に新しいはず。

手塚治虫の漫画も再版されるたびに、巻末の但し書きの表記が増えたり変わったりしてるし。
ホントアホみたいな正義警察がうようよ沸いてる時代なんだよ。
うんざりする。
いい加減、作品世界と現実世界の区別くらい付けられないものかな。まぢで。
要は、こんな感じで本来の意図をそのまま分かりやすく描く事が、時代的に難しくなっていたと言う事ですよ。

絵コンテのみに注力した
もうひとつは今作について、宮崎監督が作画にほぼ口出しをしてないと言う点。
この映画で一番ビックリするのは、「これ、宮崎作品なのか?」と言う事だと思う。
ジブリ作品なのは間違いない。
でも、宮崎作品っぽくないんだよ。
その原因が宮崎監督が絵コンテのみに注力していると言う事らしい。
如何に宮崎監督の作画における動きが神がかっていたかと言う事をまざまざと感じさせられたよね。
だって、食べ物を食べてるとこが美味しそうじゃないんだもん。


「カリオストロの城」を見て、ストーリーをしっかり理解できているのか、冷静になって考えると多分ほとんどの人が出来てないような気がする。
原版を盗みに行くほどゴート札に価値を感じているのなら、何で冒頭で大っぴらにゴート札をばら撒いたんよ。みたいなことに納得してますか?と言う話。(正直、オレは良く分かってない…)
「ハウルの動く城」を見て、ストーリーとその裏のプロットをしっかり理解できてる人も少ないようが気がする。
それでも面白いのは、場面場面が面白いからなんだよ。
全体のストーリーなんてふんわり理解しておけば、場面が面白いから満足できる。
でも今回は、いつも通り全体のストーリーはふんわりしてるけど、場面場面がイマイチ面白くないから「あれ?」ってなるんだと思う。
宮崎駿を言う天才の発想する目くるめく世界観は、今作でも物凄い勢いで展開されるのに、それに対していちいち引っ掛かって入り込めないのは、その演出力による部分が大きい。

よく「ハンターハンター」の話で、「もう冨樫はネーム書いて、作画は別の人に」と言う話題が出る。
そりゃ冨樫先生より絵が上手い人は沢山いると思うけど、でも、多分それをやると「ハンターハンター」は面白くなくなると思う。
それと同じ感じと言えば、分かってくれるだろうか。

「君たちはどう生きるか」は面白かったのか
長くなってしまったので、そろそろ締めようと思うけど、結局この話自体が面白かったかどうかと言う事を考えると、「オレは」面白かったよ。と言うしかない。
でもそれはあくまでもオレは面白かったと言うだけで、じゃあ100人中100人が面白いと言わなければいけない理由もないし、面白くない人は面白くなかったで良いじゃないか。

映画だけじゃなくて、漫画でも小説でもドラマでもなんでも、そんなもんですよ。
ついでに、そんな難解な話でもなかったと思う。
何だったら「千と千尋の神隠し」の方が難解だったような気がする。
でも、「千と千尋の神隠し」以上にこの物語が難解だと言われるのは、表現方法の制限と作画的演出の方にあると思う。
そんな感じでございます。
最後にこれだけは言いたい
あと最後に一つだけ言いたいのは、考察自体に対して何かを言うつもりはないんだよ。
考察してるヤツを下げるつもりも毛頭ない。
オレだって、チョッと前になぜか「ホムンクルス」って漫画を取り上げて1万文字以上かけて、徹底考察をしていたし。
楽しみは人それぞれ。
映画を深掘りして考察するのも楽しみ方の一つですよ。
ただ、それをするのは高畑監督の作品の方が向いてるんじゃないかなとか思ったりもしているけど、それも人それぞれ。
イヤ、しかし・・・ホント長くなったな。
最後にこれだけは言いたい。
いやぁ~映画って本当に良いものですね。
さよなら。さよなら。さよなら。

終わりに
以上が、2024年11月に私が書いた「君たちはどう生きるか」の解説になります。
元々この作品について所謂「考察」が本当に必要なのかと言う事に疑問を持っていました。
ジブリ映画は本当に大好きですが、どの作品を見た時も「考察」をしようと思った事自体ありません。
それなのに「君たちはどう生きるか」についてだけ、ここまで「考察」が必要とされていたことに意義を唱えたかったのかも知れないです。
宮崎映画に対して何を求めていたのか。と言う話で言えば、もしかすると、多くの人が期待していたのは、目くるめく世界観でも、物語の展開でもなく、宮崎駿と言う天才アニメーターの作り出すアニメを見る事で得られる一種のカタルシスだったのかも知れませんね。
今後他のジブリ作品の解説もしようかとも考えたのですが、その辺りは岡田斗司夫と言う怪しいおじいさんが、もっと面白おかしく解説しているので、多分やらないと思います。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
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