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戦争ではなく電気代の話── 衣食住と半導体の安全保障(文明のゆりかごvol.6)

高市政権の本質 〜 戦争準備ではなく「サバイバル」

メディアは彼女を「タカ派」と呼ぶ。

防衛費増額。セキュリティ・クリアランス。半導体支援。インフラ強靭化。

言葉だけ並べれば、確かに"戦争準備"のように見える。でも、本当にそうだろうか。少し視点を変えてみたい。

日常が、静かに壊れていく

台湾有事と聞くと、多くの人はミサイルや艦隊を想像する。でも、「有事」まで行かなくても、演習や封鎖のような緊張状態になっただけで、もっと地味に衣食住に困るんじゃないか、と私は思っている。

まず、中国や台湾を経由する食品の物流が滞るかもしれない。棚に並ぶ品目がじわじわと減る。価格が上がる。コロナのときの「マスクがない」騒動、去年のコメがスーパーで消えた事件、ああいうことがもっと大規模に、もっと多くの品目で起きるイメージです。タンカーが安全なルートを選び、遠回りをする。保険料が上がり、LNGや原油の価格に上乗せされる。結果として、電気代が上がる。

私たちにとっては、毎月の家計簿の話だ。

さらに半導体。完成品が止まるのではなく、部品が足りなくなる。会社で使うPCの更新が遅れる。サーバーの納期が伸びる。工場のラインが部品待ちで止まる。大げさな戦闘が起きなくても、じわりと仕事にも影響が出てくる。

そうすると戦争が起きなくても、緊張が高まるだけで日々の衣食住や仕事が脅かされる。これを前提に置かないと、今の政策の設計図が読めない。

防衛の核心はどこか

日米防衛というと、どうしても軍事同盟の話になる。でも、実際の核心は違う場所にあるんじゃないか、と最近思っている。

それは、日本が「アメリカにとって不可欠な国」かどうか、という問いだ。半導体、高度部材、製造装置、精密加工。これらを担う国が崩れれば、世界経済が止まる。「いなくなったら困る」国は、結果的に守られる。軍事力で守ってもらうより、そのポジションにいる方が現実的な安全保障になる。

だとすれば、TSMC誘致は単なる産業政策ではない。戦争をしなくてすむための、そして戦争にまでならなくても衣食住が脅かされる状態を防ぐための、生存戦略だ。

安全保障と経済成長は、実は同じ問いだった

もちろんTSMC誘致は産業政策でもある。
しかも単なる産業政策ではなく「経済成長」という日本の大きなミッシングピースを埋めるレベルの産業政策である。

少子高齢化、人口減少、成熟市場。日本はここ30年、成長のエンジンをずっと探してきた。内需は頭打ちで、海外展開も限界があり、外国人観光客誘致もオーバーツーリズムになってきている。そこにはまるミッシングピースがTSMC誘致を中核とした九州シリコンアイランド構想だ。

世界最高レベルの技術者たちが九州に根を張れば、関連する部材メーカー、装置メーカー、インフラ企業が動く。街が生まれ、消費が生まれる。TSMCの技術者と工場を受け入れることは、安全保障と経済成長を同時に満たす、めったにないピースだ。普通、安全保障のコストは経済の重荷になる。でもこれは違う。守ることと、成長することが、同じ一手で動く。

半導体支援、インフラ整備、セキュリティ政策。バラバラに見えるこれらを一本の線で読むと、「戦うため」ではなく「日常を守りながら成長するため」の設計になっている。

次回は、なぜその舞台が「九州」なのかを考える。歴史と地理と政治が、奇妙なほど一致している場所について。


このnoteのシリーズ👇

📙高市トレードからはじまる100年相場~文明のゆりかご
https://note.com/shin_daruma/m/m402353949ab0
📙マンガ「どうなる?2026投資環境」
https://note.com/shin_daruma/m/m7288a6775107
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