今から追いかける旧作.hackシリーズVol.2

完全新作.hack//Z.E.R.O.が発表されたので旧作.hackシリーズを追いかけていく企画

第一弾に続き、2026年2月現在、公式からの供給(現行ゲーム機やPCで遊べるゲーム、動画配信サイトで配信中のアニメ、電子書籍が販売中の漫画等)がある.hackシリーズを中心に紹介していこう。


※基本的にはシリーズの発売・放送・完結順等で紹介していきます。原作は絶版だが後年発表されたノベライズ作品などの代替手段がある場合はそちらを紹介します。

※記事内では作品の発売年などは『20XX年』と表記し作中の舞台となった年代は『A.D.20XX』と表記します。

2ndシーズン

主に2006年頃から展開された第二期シリーズ。
作品としての世界は地続きであるが、舞台となるTheWorldはFF11とFF14のような関係性、つまり世界観を一新した別のゲームになっている。そのためこのシーズン自体もここから.hackシリーズに入ってもらうことも意識した作りになっており、後述する内容から初心者にオススメできる。

やはり1stシーズンと同じくゲームを連続で販売していくスタイルを取っており、PS2用ゲーム『.hack//G.U.Vol.1再誕~Vol.3歩くような速さで』の全三巻がプロジェクトの中心となった。(無印.hackのようにOVAは同梱されていない)
1stシーズンと比較するとデジタルサスペンス要素は少々薄れる。中心となったゲーム三部作ではTheWorld内で異能力を手に入れた主人公たちによるバトルが描かれ、少年漫画的作風の要素が強くなる。主人公たちが持つ異能力はもろにジョジョの奇妙な冒険の『スタンド』だし、その力が暴走していく様はNARUTOの『人柱力』だ。
しかし厨二病心をくすぐるその表現の魅力に飲まれたゲーマーは数知れず、1stシーズンから作風に変化があったにも関わらずゲームは無印をすっ飛ばしてG.U.がリマスターされ現行機でも遊べるようになるなど、シリーズでの一番人気は間違いなくこのシーズンだろう。


.hack//G.U. Last Recode

2ndシーズンの中心プロジェクトであるPlayStation2用ゲーム『.hack//G.U.』シリーズ三部作をPlayStation4/NintendoSwitch/Steam向けにリマスターし、新作の追加エピソードである『Vol.4』を収録した完全版。通称『GULR』
PS4とSwitch1に対応しているので互換があるPS5とSwitch2でもプレイ可能。2026年2月現在では現行のゲーム環境で遊べる唯一の.hackシリーズゲーム作品である。

シリーズ屈指の人気キャラクター『ハセヲ』が主人公の作品。
無印.hackから7年後のA.D.2017を舞台としており、劇中の舞台となるTheWorldも新作がリリースされ生まれ変わっているなど、世界観は地続きなものの一新された物語が描かれる。
1stシーズンから基本的な設定は引き継ぎつつも、先述の通りTheWorld内で異能力を得た者たちによるバトルを中心にした少年漫画的作風になっており、演出のカッコよさも相まって非常に高い人気を誇る。

基本的な設定は1stシーズンから引き継がれているため知っているとより楽しめるのだが、知らなくてもターミナルディスクという無印.hackの物語を劇中の研究者が解説を交えながら振り返る秀逸なダイジェスト映像集がゲームに収録されており、本作を入口として旧作.hackシリーズに手を出しても全く問題ない内容となっている。むしろ新約小説だけ読んでもよくわからないかもしれないのでこのターミナルディスクは絶対に見た方がいい。

また、ゲーム中の空白期間の物語を次で紹介するアニメ『.hack//Roots』が担っているほか、本作のPS4パッケージ限定版には追加エピソードの前日談であるドラマCD『.hack//G.U.Innocentcall』と短編小説『.hack//G.U.RAGTIME』が収録されている。限定版は初回生産限定のため店頭在庫のみとなるが、Innocentcallは3rdシーズンとの繋がりを感じさせる内容が含まれるため入手の機会があれば視聴を勧めたい。

ちなみにダウンロード版はセール期間になると980円という破格で販売されたりするので買うならそれを狙うといい。


.hack//Roots

.hack//Rtoosは2ndシーズン中に放送された全26話のアニメ作品だ。現在は1stシーズンのアニメと同等の環境で視聴できる。

.hack//G.U.のプロローグから本編に入るまでの空白の八ヶ月の物語であり、主人公もG.U.と同じハセヲである。
G.U.のプロローグではTheWorldを始めたばかりの初心者であったハセヲがどのようにして『死の恐怖』と他のプレイヤーから恐れられるほどのPKK(プレイヤーキラー・キラー 他人をキルするプレイヤーを狩るプレイヤー)になったのかが語られる。
ゲーム中でもアニメに登場したキャラクターの再登場があるためG.U.を楽しむつもりなら視聴の優先度はかなり高い。
GULR収録のG.U.Vol.2に入るまでにアニメの視聴を終えるとゲームでアニメのネタバレをされずに済むし、逆にVol.2クリア後に見ることであるキャラクターの結末を知った上でアニメを見るという実質2周目的な体験の仕方もできるだろう。

……ではあるのだが、Roots終盤はG.U.Vol.1の序盤と同じ時系列であるにも関わらず、ゲームには登場しないキャラクターがストーリーに関与していたりと矛盾点が多い。
2ndシーズン全般に言えることだが、1stシーズンほど作品間の繋がりについては緻密ではなく、あくまで「この世界ではこういった大筋の話があった」程度に留めておいた方がいいだろう。


.hack//G.U. Begins

上述の.hack//G.U. LastRecodeのSwitch版が後発移植で発売された際に旧Twitter及び公式サイトで連載された漫画作品。その名の通りG.U.の始まりに至る物語が『ある人物』の視点で描かれており、過去作からSIGN、無印.hack、Rootsの物語をその人物がダイジェスト方式で語ってくれる構成を取っている。
現在もバンナム公式サイトでは無料で公開されている他、設定資料付きの電子書籍でも販売されており各プラットフォームで購入が可能。

作品としては正直なところ、この作品自体が実質的に裏設定となっていた本作の語り部である『ある人物』の正体を明かすという側面が強く、この作品をゲームを始める前に読んだところでその人物のことはG.U.本編では回収されず、BeginsというタイトルでありながらG.U.をやる前に読むよりはダイジェストとして収録されている三作品の本編とG.U.本編を知った後にある人物の正体について種明かしをされるという体裁で読んだ方がいいという謎の構成の作品になってしまっている。
実際SIGNはG.U.をプレイする上で必須ではないし(本作で明かされる裏設定には必須)、無印.hackはダイジェストならターミナルディスクがあるし、Rootsに至ってはゲームにも登場する重要人物の出番が省かれているので素直にアニメを見るべきである。


.hack//G.U.TRILOGY

2007年末から劇場先行公開されたサイバーコネクトツー制作のOVA。
ゲーム.hack//G.U.三部作の物語を再構成した新作フルCGアニメ(ゲームのムービーの再使用はない)で、当然ながら後年になって発売されたGULRの追加エピソードの要素は含まれていないパラレルワールド作品である。
他のアニメ作品と同じようにdアニメストアの見放題配信がある他、レンタルや買い切り版の購入(永続視聴権)も可能。

20年近く前のCGアニメで現代基準からすると見劣りする部分はあるものの、リメイクされた大聖堂の戦いはファンならマジで一回見ておいた方がいいので、他のアニメのためにdアニメやバンダイチャンネルに加入したならついでに見ることをオススメ。


現在供給されている2ndシーズンの作品は以上である。

ここで紹介した以外にも2ndシーズンの作品群は多数あるのだが、他シーズンと比較して本筋に関わる作品が元から少ないため、パラレルとダイジェストを除くと実質的には2作品しかない現在の供給数でも大きな問題にはならず、時系列を考慮した作品の触れ方もゲームGULRを購入してG.U.Vol.1をプレイ(同時進行でターミナルディスクを見る)→Rootsを見る→ゲームの残りをプレイするだけで完了する。今から旧作.hackシリーズに触れるなら非常にシンプルであり初心者にはここがオススメだ。


余談

前回に引き続き余談では現在供給が絶たれている2ndシーズンの作品を紹介していこう。

①OVA.hack//G.U.Returner
②漫画.hack//G.U.+
③漫画.hack//XXXX
④漫画.hack//GnU
⑤漫画.hack//Alcor破軍の序曲
⑥漫画.hack//4komaギャグ選手権
⑦小説.hack//CELL
⑧小説.hack//G.U.
⑨小説.hack//黄昏の碑文
⑩ドラマCD.hack//Roots Sound Form

数は1stシーズンより多いが前述の通り本筋のストーリーを追うなら必ずしも必要ではない作品が多い。

『.hack//G.U.Returner』は、オリジナル版G.U.の全巻購入者特典として配布されたOVA。その他に3rdシーズンのゲーム『.hack//Link』の限定版に収録されていた他、GULRのPS4パッケージ限定版にも収録されている。(Switch限定版には収録なし)
無印の特典だったGIFTとは打って変わり至極普通なG.U.の後日談。当時は本作をもって.hack//G.U.は完結したという体裁になっていたのだが、その後G.U.の設定は二転三転し、現在はGULRをもって一応の完結を見たということになっている。つまるところ現在の設定とは矛盾している作品である。

『.hack//G.U.+』はゲーム版G.U.の全五巻コミカライズ。当時刊行されていた専門誌.hack//G.U.TheWorldで連載されていた第一部と、ゲーム版が完結した後に連載先を月刊コンプティークに移して再開された第二部で構成されている。第一部はTRILOGYのように登場キャラクターを絞ったゲーム版のダイジェストの様相があったが、第二部に関しては完全オリジナルストーリーとなりコミックオリジナルのキャラクターも登場するほか、ゲームでは本編との相互作用性の低かったターミナルディスクが物語に密接に関係してくる。この第二部のストーリーは次回紹介するゲーム『.hack//Link』でまさかの収録エピソードとして採用された。

『.hack//XXXX』は2ndシーズンに展開されたが1stシーズンの作品である無印.hackを新たな解釈を元に大胆な脚色を施し全二巻でコミカライズした作品となっており、つまるところ完全なパラレルワールドである。しかし本作のオリジナルキャラクター少年クビアはゲーム『.hack//Link』でパーティキャラクターとして採用される大出世を果たしている。

『.hack//GnU』は.hack//G.U.TheWorldにて連載された漫画作品。同誌では上述している作品の内小説G.U.と黄昏の碑文以外の作品が連載されていたのだが、GnUのみ単行本化がされていない。更にはパラレルワールドである上記2作品でも選ばれた.hack//Linkの収録エピソードにもなっていない不遇の作品。つまり、とっくの昔に廃刊となった雑誌の電子書籍化が今になって行われるという奇跡が起きるか、再録という形で収録されない限り公式から供給されることはないだろう。
ストーリーとしてはG.U.に登場するギルド『月の樹』の一般隊員の日常を描く物語で相互作用性は低く、精々.hack//Linkのサブキャラ枠でGnUの主人公であるレイドの出番があるくらいである。

『.hack//Alcor』は時系列としてはRoots後半辺りを描くコミック。単行本は全一巻。主人公七星がG.U.でも登場したギルド『カナード』に入団し、ギルドマスターのシラバスに恋をする……というラブコメ。
カナードはG.U.本編でハセヲが所属するギルドで、彼が加入するまでに七星はカナードをやめていることになっているのだが、シラバスたちはかつて所属していた七星の話など当然のようにしない。いわゆる後付設定である。更に七星はG.U.本編に登場するある人物がプレイヤーキャラクターを作り直す前の姿という設定があるのだが、その設定はG.U.本編はおろかAlcor内ですらまともに活かされておらず、漫画内では謎の伏線が貼られてるだけの状態である。この設定が回収され、本作の後日談が描かれるのはゲーム『.hack//Link』を待つことになる……

『.hack//4komaギャグ選手権』はG.U.TheWorldで連載されていた4コマ漫画や短編のギャグ漫画を集めた公式アンソロジー的な作品。ストーリーを追うなら読む必要はない……と思いきや、.hack//Linkで登場するシラバスのキャラクター付けは本作収録の短編漫画公開以降に疑惑としてファンの間で囁かれた『シラバス腹黒説』を何故か採用しており、本作を読まなければLinkにおけるキャラクターの豹変っぷりが理解できないだろう。

『.hack//CELL』は2ndシーズンの世界を拡張する小説枠ポジションの作品。不思議な魅力を纏い主人公でありながら謎が多い『碧』の正体に迫っていく物語。
碧はRootsでゲストキャラクターとして登場するも、登場回は本作のエピソードとはシナリオが異なっており、ゲーム本編のキャラクターが多数登場しても本作のエピソードはゲーム本編と絡まないため相互作用性も低い。GULRや.hack//Linkをクリアすれば碧の正体について劇中の登場人物たちが見つけた答えとは少々異なった考察をすることができるかもしれない。

『.hack//G.U.(小説)』は2007年から08年に掛けて刊行されたG.U.ゲーム三部作のノベライズ。第一巻はほぼゲームVol.1の焼き直しのような内容なのだが、物語の展開は徐々に原作ゲームのそれからは外れていき、完結編の第四巻では小説オリジナルのハセヲの新フォームがお披露目される。1stシーズンとの繋がりが非常に色濃く、ゲームではファンブックでひっそりと「みんな察してたと思うけどこいつのプレイヤーは前作の◯◯です」と公開されるだけだったものが物語上でしっかりと組み込まれ、更には無印.hackで不鮮明だったことへの補足説明が加えられAIbusterのキャラクターも再登場するなど明確に1stシーズンの直接的な続編であることを打ち出した構成になっている。
1stシーズンの作風が好みだった人にオススメ。

『.hack//黄昏の碑文』はどのシーズンに入れられるのか議論の余地があるが、20周年記念誌では2ndシーズンに組み込まれていたためここで紹介。
時系列における.hackシリーズ最古の物語でありオンラインゲームとしてのTheWorldが存在していない時代が描かれる。
シリーズとしては大分異質な作品であり、作品中の架空の叙事詩『黄昏の碑文』の世界に主人公が入り込んでしまい、その世界を冒険していくという児童文学感の強い作風の中で、その根底には.hackというデジタルサスペンス作品の存在が見え隠れするような構成になっている。

『.hack//Roots Sound Form』はアニメ放送当時に発売されたドラマCD。ハセヲを含むRootsに登場するキャラクターたちのリアルにフォーカスしたストーリーが収録されている。ハセヲ=三崎亮が母親からなんと呼ばれてるのかが聞けるのはここだけ!!


以上2ndシーズンの話おわり。
3rdシーズン編へつづく。

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