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ディレクターの仕事で一番大事なのは「決める」ことじゃなく「揃える」ことだった

Web制作の現場に入って何年か経つけど、最初の頃はずっと勘違いしていたことがある。

ディレクターの仕事って「決めること」だと思っていた。
デザインはこっち、スケジュールはこう、優先順位はこれ。
決断力があればあるほど良いディレクターだと。

でも実際に現場を回してみて分かったのは、決めることよりずっと大事なのは「揃えること」だった。

「決めた」つもりが、揃っていなかった

たとえば、クライアントとデザイナーの間で「かっこいい」という言葉の意味が実はズレていて、完成間際になって大きな手戻りが発生する。
あるいは、要件定義の場では確かに握ったはずの仕様が、実装フェーズに入った途端に「思っていたのと違う」という話になる。
Web制作の現場では、こういう場面は決して珍しくない。

こういうことが起きるたびに気づいたのは、原因は「決断のスピード」でも「デザインの質」でもなく、誰かと誰かの間で見えている景色が揃っていなかったということだった。

ディレクターがいくら早く決めても、その決定がチームやクライアントの頭の中の絵と一致していなければ、後で必ず歪みが出る。
むしろ決めるのが早ければ早いほど、ズレに気づくのも遅れる。

揃える、というのは地味な仕事

「認識を揃える」って言葉にすると当たり前すぎて、スキルとして評価されにくい。
会議で議事録を書く、決定事項を一行で言い切る、曖昧な言葉を具体的な数字や画面に変換する。地味だし、目立たない。

でも実際には、議事録の書き方を少し変えるだけで手戻りが目に見えて減ったり、確認の粒度を一段細かくしただけでクライアントとの関係がぐっとスムーズになったりする、という話はよく聞く。

派手な提案資料や斬新なアイデアよりも、こういう地味な「揃える作業」の積み重ねが、結局プロジェクトの成否を分けている気がしている。

決める前に、揃っているかを疑う

今、自分が意識しているのは、何かを決める前に一度「これは全員同じ景色を見た上での決定か」を疑うこと。

揃っていない状態で決めたことは、決めていないのと同じ。むしろ「決めた気になっている」ぶんタチが悪い。

派手に決断するディレクターより、地味に揃えるディレクターでありたいと最近は思っている。


今日はここまで。同じような経験がある人、逆に「決める力の方が大事だろ」という意見がある人がいたら、コメントで聞かせてもらえたら嬉しいです。

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田中 慎弥 あなたに些細な楽しみを届けられたら嬉しいです。