質問攻めの果てに
子どもは3歳くらいになると、新しい情報が多くの繋がりを持って目や耳に飛び込んでくるらしい。それに伴って様々な事象の成り立ちに自然と興味が沸いてくるのだという。
「なぜ月は光っているのか」
「なぜママの手は温かいのか」
「なぜ鼻から鼻クソが生まれ出ずるのか」
その結果、子どもは「なんで?」という質問を速射式サブマシンガンのように乱発し始める。
今思うと、長男のそれは尋常ではなかった。
なぜ?なに?どうして?
こういった子どもの無垢な質問に対し、ぼくら親たちは、当意即妙に受け答えし、ときに一緒に考えながら、子どもの興味や知識欲をきちんと満たしてあげたいと思ってはいる。
長男は、ウルトラマンフリークだった。
長期休みに実家へ帰省したとき、母が昔の玩具(まさに僕が遊んでいたもの)をどこからか大量に出してきて、たくさんのウルトラマンのビニール人形が。
「な、懐かしすぎる!」
興奮のあまり子どもそっちのけで手に取って、しみじみ懐かしんでいると、その姿に長男が興味をもったらしい。あれこれ説明していると、彼はあっという間に好きになっていた。
長男は、僕に対し、とにかくウルトラマンのことを聞きまくった。
M78星雲からきた宇宙人であること、6兄弟であること(ただし本当の兄弟ではない)、カラータイマーが活動限界の合図をすること、ウルトラマンが新幹線より速く走り、音よりも速く飛ぶこと…などなど尋ねられるままに、あらゆるウルトラマンの知識を叩き込んでいった。これが、彼をなんで?なんで?の終わりなき質問狂、知識欲の魔王に仕立て上げた。
彼はやがて父のことを「ウルトラマンに造詣の深い凄いヤツ」と認識するようになったが、他方で、妻は「あまりモノを知らない」というレッテルを貼られてしまっていた。妻は、僕よりも長男と長い時間を過ごしていたから、知らないのではなく、質問に疲れていたのだろう。
テレビで大好きなウルトラマンを視聴し終え、長男が妻に話しかける。
子「すぐおわっちゃったー」
妻「好きなものは短く感じるものなのよ」
子 「なんで?」
妻「好きだから」
子「なんですきだとみじかいの」
妻「ん?好きだからだよ」
子「だからなんで?」
妻「好きだと、楽しいからだよ」
子「たのしいとなんでみじかいの?」
妻「集中しちゃうから」
子「えーなんで!?ねえ、ねえ!」
妻「……ペロペロペー!!ペロッペロー!!アッカンベー!!!」
思わず飲んでいたコーヒーを吹いた。
とうとう妻が壊れた。
まぁ、子育てなんてこんなもんです。
これまた「#エッセイしりとり(2026夏の陣)」です。最後のバトン。
バトンをくれたのは、ちゃぷぼちさん!
ありがとうございましたー!
テンポよく写真が挿し込まれた軽快なエッセイ、いつも楽しませてもらっています!言葉の手数が多いところ、勝手に親近感を感じております。
オススメも紹介します。
祖母からもらったネックレスの話を媒介に、祖母、母、そして自分に流れる血脈という歴史が、とても軽やかに描かれていて、実は非常にテクニカル。素敵なエッセイです。あんまり書くとネタバレになるので、是非読んできてくださいませ。↓
「#エッセイしりとり(2026夏の陣)」と主催者のマイキーさんについてはこちら。
さあ、これでもう僕の手にはバトンがなくなりました。嬉しいやら悲しいやら、とりあえずやりきったという感じ。
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