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幸太郎には野次馬気分もあるかもしれないが、なんでも関心を持つその気持ちは買ってやりたい。その幸太郎が、女子学生が二人いるのに気づいて、「可愛いこがいますね」と言ったのがおかしくって、いたずら心が芽生えてしまった… 再編 不器用な先生 第153回

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社研サークルで

 教室は、ゼミナールで使用した教室が四限目にそのまま使えるようになっていた。

 武島英治が持っていた教室使用許諾書に顧問としてぼくの名前があるのに気づいた薫が気を回してくれたらしい。それについては武島英治からも後で詳しく聞いた。

 参加を約束した須田隆雄は当然残っていたが、幸太郎もいた。
 幸太郎には野次馬気分もあるかもしれないが、なんでも関心を持つその気持ちは買ってやりたい。
 その幸太郎が、女子学生が二人いるのに気づいて、
「可愛いがいますね」
 と言ったのが可笑おかしくって、悪戯いたずら心が芽生えてしまった。
「環から乗り換えるかい。環にも言っとくけど」
「止めてください!」
 幸太郎の声が大きかったから、一同が幸太郎を見つめている。
 照れくさそうにする幸太郎が面白かった。母親の幸江が幸太郎を可愛がる気持がよく分かる。マザコンってことはないだろう。

「それでは『少数意見について』と題してディスカッションを始めましょう」
 武島英二が言った。

 須田隆雄を含めた六人は、ミルの『自由論』を取り出した。
 武島英二が続けた。
「荒川先生に勧められてですが『自由論』は初めて読みました。
 こんな素晴らしい本があることに、どうして今まで気づかなかったのを恥ずかしく感じました」
「わたしもそうです」
 菅原郁恵だった。
「ぼくもそうだよ」
 須田隆雄が続けるように言った。二人は隣同士で座って微笑み合っている。

「先生は、第二章の「思想と討論の自由」が、少数意見がテーマだと言われましたが。読んでみてその通りだと思いました。
 特に43ページの〈第一に、権力によって抑圧されようとしている意見が、〉から始まる箇所は、少数意見をどのように擁護するかというものだと思います。
 今日は52ページの〈これが、誤りを犯しうる人間が達成できる確実性の上限であり、また、それを達成する唯一の方法なのである。〉までを対象にしたいと思います。
 それでは読み合わせを始めましょう」
 昼休みに須田隆雄も含めて、読む担当を決めていたようだ。

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