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作物も子どもも、急かしても育たない——60代で保育士になった理由

「なぜ今さら保育士に?」60代で資格を取ると、よくそう聞かれます。

でも私には、「今だからこそ」という感覚の方が近いのです。

農業の現場で長く働いてきました。

作物は急かしても育ちません
種まきから収穫まで、早い野菜でも2か月はかかります。
長いものだと10か月。
畑の準備から後片付けまで含めれば、1年では足りないこともあります。

掘っては植え替え、また掘っては植え替えて、3年かかる作物もあります。

野菜は毎日すぐには成長しません。
じっと待つしかない時間が、ほとんどです。

でも、大雨など外からの環境変化には、一晩でやられることがあります。
丁寧に育ててきたものが、朝には変わり果てている。

そういう経験を、何度もしてきました。

子どもも、似ていると思います。
そう簡単には変わりません。

でも、信用を失うのはあっという間です。

言葉にできない困り感を持つ子がいます。
泣くわけでも、暴れるわけでもない。
ただ、どこか遠くを見ている。

そういう子のこと、私はずっと気になっていました。

その子は何を見ているのか。
何がうまく届いていないのか。

もしかすると、畑のサインを読むように、その子を見守る時間が必要なのかもしれません。
そこに立ち止まらなければならないと思うのです。


私自身、問題のある子でした。
子どもの頃から耳が聞こえにくかったのです。

小さな頃、自分の周りにどんな言葉が渦巻いていたのか、ほとんど記憶にありません。
それくらい、聞くことを諦めていました。

今でも、聞こえにくい時は続いています。
それでも工夫をしてきました。
半分しか聞こえない。でも、話は続いていく。

分かった言葉だけを拾って、前後から意味を推測する。

——そうやって、私は「分かったふり」を覚えました。

それでもたまに、明後日の方向の返事を返してしまいます。相手が怪訝そうな顔をする。
その顔を、いやというほど知っています。

昔は、聞き返して文字で確認していたものです。
でも、その都度確認する時が続くと、さすがに相手も嫌がります。だからそう頻繁にはできません。


言葉が届かないとき、人はどんな顔をするか。そういうことを、体で知っています。

だから、急がせることが怖いのです。

「できない」「遅い」「また同じことを」
——そう感じる前に、まずその子が何を見ているのかを知りたい。

焦りは、サインを見えなくします。

60代から保育の世界に関わることは、たぶん一般的ではないでしょう。

でも、人生を通してしか見えてこないものがある、と信じています。
農業で培った観察眼、聴覚障害の当事者として生きてきた経験
——それらが、ここでつながっている気がしています。

毎日見ている子どもは変わらないように見えます。

でも、あなたの見方をほんの少し変えると、相手も変わります。それも大きく。
子どもだけではなくてお母さん方に対しても。

これから、「困った子」ではなく、”言葉にならない困り感を持つ子”をどう見て行くのか。

そんなことを、少しずつ書いていこうと思います。


この連載では、実体験や現場での観察をもとに、AIも活用しながら文章化しています。記事内画像にはAI生成イメージを含みます。

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「いくつもの道を、歩いてきました。」

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