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「友人と疎遠になった気がする」その感覚、データにも表れていた

最近、なんとなく人と深く関わる機会が減った気がする——そう感じたことはないでしょうか。

SNSでのやり取りやメッセージのやり取り自体は、以前より増えているかもしれません。既読はつくし、スタンプも飛んでくる。
それなのに、実際に会って話す機会、じっくり近況を聞いたり聞かれたりする機会は、以前より減っている気がする。
忙しさのせいかもしれないし、単なる気のせいかもしれない。
そう思いながら、特に確かめもせずに過ごしている方も多いのではないかと思います。

この記事は、その「気のせいかもしれない」という感覚を、国の公的統計をもとに客観的に整理する記事です。
先にお伝えしておくと、この記事は婚活やマッチングサービスを勧める記事ではありません。
人と人との交流機会そのものが、社会全体でどう変化してきたのかを、出典付きのデータで確認することが目的です。

なぜこの記事を書いたか

以前、マッチングアプリを使っている方々の実感を扱った記事を書きました。
その調査を進める過程で、「そもそも、人と人が知り合ったり、深く関わったりする機会の総量自体が、長期的にどう変化してきたのか」という、もう一段階手前にあるテーマが気になり始めました。

調べていくと、国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)が5〜6年おきに実施している大規模な全国調査の中に、「交際相手がいる人の割合」や「交際相手とどこで知り合ったか」を長期間にわたって追いかけたデータがあることが分かりました。
これは婚活サービスの利用者だけを対象にした調査ではなく、日本全国の独身者を対象にした公的な調査です。
「なんとなく人と関わる機会が減った気がする」という漠然とした実感が、実際に統計として言語化されていることに気づき、この記事を書くことにしました。


この記事で使っている情報源

この記事で使うデータは、**国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)が2021年6月に実施した「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」**という、国の公的統計です。
対象は18歳以上55歳未満の独身者で、5〜6年おきに継続して実施されている調査のため、時代による変化を長期の折れ線として追うことができます。
婚活サービスや特定企業が独自に集めたアンケートではなく、国が実施している全国調査である点が、この記事でこのデータを選んだ理由です。
出典が確認できない数字、この記事のために独自に計算し直した割合は使っていません。

こんな方に向けた記事です

  • 「最近、友人や知人とじっくり話す機会が減った気がする」という、漠然とした実感がある方

  • 婚活やマッチングサービスを積極的に意識しているわけではないけれど、社会全体のトレンドや公的統計に基づいた客観的な読み物に関心がある方

  • 休日、特に予定がないことが増えた、忙しさのせいなのか他に理由があるのか、なんとなく気になっている方

逆に、今すぐ具体的な出会いのサービスを比較検討したい、という明確な目的をお持ちの方には、この記事単体は情報としてやや物足りないかもしれません。
この記事はあくまで「社会全体で何が起きているか」を客観的に整理するもので、個別サービスの比較や費用の話は扱っていません。
ただし、記事の終盤では、実際にこのテーマを掘り下げた既出の記事もあわせてご紹介しています。

この続きでは、ここで紹介したデータの詳しい内訳に加えて、「人と深く関わる機会」の変化を自分なりに振り返るためのセルフチェックリストも用意しています。
婚活を前提とした問いかけではなく、人間関係全般について振り返るための問いかけです。

なお、この記事は「孤独になっている人が増えている」と不安を煽ることを目的にしたものではありません。
あくまで、公的統計に表れている社会的な傾向を淡々と紹介するものです。
人によっては、以前より効率よく人と出会う手段として、こうした感覚の変化をきっかけに何らかのサービスを選んでいる方もいますが、それが誰にとっても快適とは限らない、というデータも別途あります。

このあたりの実際の実感については、以前書いた"マッチングアプリ疲れ"を扱った記事で詳しく整理しています。

では実際、「交際相手がいる率」やその出会い方は、この20年でどう変化してきたのか——ここから見ていきます。


1. 「交際相手がいる率」は、この20年でどう変わったか

まず確認したいのは、「未婚率」ではなく「交際相手がいる率」というデータです。
未婚かどうかは結婚という一つの区切りの有無しか表しませんが、「交際相手がいるかどうか」のほうが、「今、人と深く関わっているかどうか」という実感に近い指標だと考え、この記事ではこちらを使います。

IPSS第16回出生動向基本調査(2021年6月実施、対象は18歳以上55歳未満の独身者)によると、異性の交際相手がいる、または婚約している人の割合は、直近で**男性21.1%・女性27.8%**でした。

この割合は、過去の調査からずっとこの水準だったわけではありません。
同じ調査の時系列データを遡ると、男性は2005年の27.1%、女性は2002年の37.1%をピークに、その後低下してきていることが分かります。
ピーク時と比べると、男性は約6ポイント、女性は約9ポイント、交際相手がいる人の割合が下がっている計算になります。

この数字が意味するのは、「交際相手がいる人の割合が、この20年ほどの間に緩やかに、しかし継続的に下がってきている」という傾向です。
一時的な変動ではなく、複数回の調査を通じて一貫して見られる長期的な流れである点が、この統計の特徴です。


「交際相手がいる率」の長期推移折れ線グラフ

出典:国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)「第16回出生動向基本調査 結果の概要」(2021年6月実施、対象18歳以上55歳未満の独身者)

2. 交際相手と知り合ったきっかけ——学校・友人・職場・ネット

もう一つ、同じ調査の中に興味深いデータがあります。
「交際相手とどこで知り合ったか」を尋ねた設問です。

ここで一つ、対象になっている人たちの範囲に注意が必要です。
1章の「交際相手がいる率」は18歳以上55歳未満の独身者全体を対象にした数字でしたが、この「知り合ったきっかけ」のデータは、実際に交際している異性の恋人・婚約者がいる18〜34歳の未婚者(第16回調査の回答者数は男性428人・女性571人、前回・第15回調査は男性576人・女性776人)を対象にしたものです。
同じ調査の中のデータですが、対象になっている集団が異なるため、この記事ではこの2つを別々のデータとして扱います。

この対象者に「交際相手と知り合ったきっかけ」を尋ねた結果、男女とも最多だったのは「学校で」でした。
前回調査(第15回・2015年実施)と比べると、男性は28.6%から30.1%へ、女性は24.1%から26.8%へと、いずれもやや増加しています。

一方で、「友人や兄弟姉妹を通じて」「職場や仕事の関係で」という2つの項目は、男女とも前回調査からそれぞれ約5ポイント減少しました。
これまで交際相手と知り合うきっかけとして大きな割合を占めていた「人づての紹介」や「職場での接点」が、以前より少なくなってきていることがうかがえます。

そして、今回の第16回調査で新たに選択肢として設けられたのが「ネットで」という項目です。
この項目に「ネットで」と回答した人の割合は、**男性11.9%・女性17.9%**でした。
恋人または婚約者がいる未婚者のうち、10人に1人以上がインターネットを介したサービスで交際相手と知り合っている計算になります。


交際相手と知り合ったきっかけの構成変化

出典:国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)「第16回出生動向基本調査 結果の概要」図表2-4「交際相手と知り合ったきっかけ」

3. なぜ、この変化に気づきにくいのか

ここまでのデータは、いずれも国の公的統計に基づく事実です。
ただ、こうした変化が起きているにもかかわらず、多くの人が「なんとなく」としか感じにくいのはなぜなのか、という点については、今回参照した調査の中に直接の説明は書かれていません。
ここから先は、データに裏付けられた事実ではなく、この記事なりの一つの捉え方として述べるものだとご理解ください。

考えられる理由の一つは、SNSやメッセージアプリでのやり取りが、対面での交流の代わりに増えていることです。
誰かと「つながっている」という感覚自体は、通知や既読、スタンプのやり取りによって日常的に得られます。
そのため、実際に顔を合わせて深く話す機会が減っていても、「人と関わっていない」という自覚には結びつきにくいのかもしれません。

もう一つ考えられるのは、1章・2章のデータがいずれも緩やかな変化であることです。
1年単位で見れば、交際相手がいる率が急激に落ち込んだわけではありません。
5〜6年おきの調査を並べて初めて見えてくる、長期的でゆるやかな傾向です。
日々の生活の中でこの変化を実感するのは難しく、統計として並べて初めて「そういえば」と気づく類のものだと考えられます。

いずれにしても、これは断定的な心理分析ではなく、あくまでデータの外側にある一つの見方として提示しています。

4. 交流機会の減少と、新しい出会い方の広がり——同じ調査の中の2つの変化

2章で見た図表2-4のデータには、実は2つの異なる方向の変化が、同じ調査の中に同時に表れています。

  • 「友人や兄弟姉妹を通じて」「職場や仕事の関係で」という、従来の人づての交流経路は、男女とも前回調査から約5ポイント減少した

  • 一方で、今回新設された「ネットで」という選択肢には、男性11.9%・女性17.9%という、決して小さくない割合の回答が集まった

IPSSの報告書自体も、この2つを「一方で」という言葉でつないで紹介しており、片方が原因で片方が起きた、という因果関係の説明はしていません。この記事でも同じ立場を取ります。「友人・職場経由の出会いが減った“から”ネット経由が増えた」というように、断定的な因果として語ることはしません。
あくまで、同じ調査の中で同時に観測されている、2つの独立した変化として並べて紹介するにとどめます。

この2つを並べて見えてくるのは、「出会いのきっかけ」という一つの領域の中で、以前は大きな割合を占めていた経路(友人・職場)が緩やかに縮小し、それとは別に、以前は選択肢として存在すらしなかった経路(ネット経由)が、調査に新しい選択肢として加えられるほどの割合にまで広がってきている、という構図です。

5. 出会いの選択肢の一つとしての「アプリ」——実際どう感じられているか

4章で見た「ネットで」という回答(男性11.9%・女性17.9%)の中には、マッチングアプリを介した出会いも含まれていると考えられます。
実際に、出会いの選択肢の一つとして、マッチングアプリのようなサービスを使っている人は少なくありません。

ただし、こうしたサービスを使うこと自体が、誰にとっても快適だとは限らない、という調査結果も別途あります。
以前、"マッチングアプリ疲れ"というテーマで、利用者自身がどう感じているかを民間調査データをもとに整理した記事を書きました。

その記事では、マッチングアプリが「身近な出会いの選択肢」として社会的に定着してきている一方で、実際に使っている(使っていた)人の中には、メッセージのやり取りの負担や、相手の本気度が見えにくいことへの不安から、"疲れ"を感じている人が一定数いる、というデータを紹介しています。
「定着している」ことと「疲れている人がいる」ことは矛盾するようで、実は測っているものが違うため両方とも成り立つ、という整理をしています。

出会いの選択肢としてどのような手段があるか、そして実際にその手段を使っている人がどう感じているかに関心がある方は、あわせてご覧いただくと、この記事で紹介した「ネット経由の出会いが広がっている」というデータの、もう一段階具体的な内実が見えてくると思います。

「マッチングアプリ疲れ」で合コン・街コンが再燃、実際のところは?

6. 個人のサービス選びだけでなく、行政が関わっている出会いの機会もある

ここまでは、個人が選ぶ出会いの手段としての民間サービスを中心に扱ってきましたが、出会いの機会創出という課題には、行政も一定の形で関わっています。

以前、国と自治体が公費を投じてAIを使ったマッチング事業を展開している実態について、こども家庭庁の一次資料をもとに整理した記事を書きました。特定の自治体・政党・行政運営の是非を評価する記事ではなく、あくまで「制度がどう設計されていて、どんな数字が公表されているか」を出典付きで確認することを目的にした記事です。
本記事でも、この点についてはあくまで事実の紹介にとどめ、評価的な言葉は使いません。

出会いの機会をめぐっては、民間サービスだけでなく、こうした公的な取り組みも選択肢の一つとして存在している、という事実だけをここでは共有しておきます。

自治体の「AI婚活」、税金はどう使われている? こども家庭庁データで検証する

7. まとめ:自分の状況を整理するためのチェックリスト+出典一覧

最後に、この記事で紹介したデータをもとに、自分の状況を振り返るための問いかけを整理しておきます。
断定的な診断ではなく、考えを整理するための問いかけとして使ってください。

  • ここ1〜2年で、友人や知人と直接会って深く話す機会は増えたか、減ったか

  • SNSやメッセージのやり取りの頻度と、実際に顔を合わせる頻度に、大きな差はないか

  • 「誰かとつながっている」感覚と、「実際に深く関わっている」感覚は、自分の中で一致しているか

  • 学校や職場を離れてから、新しい人と知り合うきっかけ自体が減ったと感じることはあるか

  • もし出会いのきっかけを増やしたいと思ったとき、自分にとって現実的な選択肢は何か(人づての紹介、地域や趣味のコミュニティ、ネットを介したサービスなど)

この記事で紹介したデータを、改めて一覧にまとめます。


| データ | 出典 | 対象・調査時期 |
|---|---|---|
| 交際相手がいる率(直近) 男性21.1%・女性27.8% | IPSS「第16回出生動向基本調査 結果の概要」 | 18歳以上55歳未満の独身者、2021年6月実施 |
| 交際相手がいる率(ピーク) 男性27.1%(2005年)・女性37.1%(2002年) | 同上 | 同上(過去の調査時点データ) |
| 交際相手と知り合ったきっかけ(学校・友人・職場・ネット) | IPSS「第16回出生動向基本調査 結果の概要」図表2-4 | 交際相手・婚約者がいる18〜34歳の未婚者、第16回n=男性428・女性571、第15回n=男性576・女性776 |

すべて国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)による同一の公的調査(第16回出生動向基本調査)に基づくデータです。この記事では、複数の異なる調査を掛け合わせて新しい割合を計算したり、因果関係を断定したりすることはしていません。「交際相手がいる率」と「知り合ったきっかけ」は、対象になっている年齢層・集団が異なる点も本文中で明記した通りです。

「なんとなく人と深く関わる機会が減った気がする」という感覚は、気のせいではなく、少なくとも公的統計の上では、長期的な傾向として確認できるものでした。それが良いか悪いかを断定する記事ではありませんが、自分の実感を整理する材料として、参考にしていただければと思います。

数字の根拠が気になった箇所は、ぜひご自身でも一次情報に当たってみてください。この記事の内容は執筆時点(2026年8月)に確認できた情報に基づいています。


出典URL一覧

  1. 国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」概要ページ:https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/doukou16_gaiyo.asp

  2. 国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)「第16回出生動向基本調査 結果の概要」(公式PDF、p.14「交際相手がいる率」・p.27図表2-4「交際相手と知り合ったきっかけ」を使用):https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/JNFS16gaiyo.pdf

  3. (内部リンクA・B)「マッチングアプリ疲れ」で合コン・街コンが再燃、実際のところは?:https://note.com/shirabekonkatsu/n/n15f109245b32

  4. (内部リンクC)自治体の「AI婚活」、税金はどう使われている? こども家庭庁データで検証する:https://note.com/shirabekonkatsu/n/nfc265f408ad7


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