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上毛電鉄に交通系ICカードで乗ったらバス扱いされた件

上毛電気鉄道上毛線で1月15日から交通系ICカードが使えるようになりました!

群馬県前橋市の「中央前橋駅」から、同県桐生市の「西桐生駅」までを結ぶ上毛電気鉄道(上毛電鉄)の上毛線。この1月15日から群馬県の地域連携ICカード「nolbe(ノルベ)」の枠組みを生かしてSuicaを始めとする交通系ICカードへの対応を果たしました。

鉄道ファンでも気付いていない人が多いのですが、上毛電鉄は東武鉄道の連結子会社です。なので普通に考えたら東武鉄道も導入している「PASMO」を導入しそうなものなのですが、東日本旅客鉄道(JR東日本)の息吹を感じるnolbe(※1)を通して交通系ICカード対応を果たしたのは意外…でもないですね。富士山麓電気鉄道や伊豆急行も、親会社はPASMOを導入しているのに、自社はSuicaを導入していますから(※2)。

で、上毛線はれっきとした“鉄道”です。しかし、nolbe(交通系ICカード)の導入を発表したタイミングで出た資料を読んで、「あれ、これって“鉄道”じゃなくて“バス”扱いじゃないんじゃないか?」って思ってたんですよ。



(※1) nolbeは、JR東日本が開発した「地域連携ICカード」をベースとしている。このICカードは、JR東日本の交通系ICカード「Suica」としての機能と、各地の「地域交通機能」の2つを1枚に併載していることが特徴で、nolbeの場合はnolbe採用事業者のバス・鉄道の定期券を地域交通機能領域に搭載できる(ここポイント)。

JR東日本の地域連携ICカードは既に15地域で展開中で、nolbeもその一種となる

(※2) 富士山麓電気鉄道は、富士急行が自社から鉄道事業(富士急行線)を分離する目的で2021年5月に設立した会社で、2022年4月に事業を譲渡した。富士急行はバス事業においてPASMOを早期に導入したのだが、鉄道事業ではPASMOではなく“あえて”Suicaを導入し、それを富士山麓電気鉄道に承継した。恐らく、JR東日本との直通列車を多く運転している都合から「PASMOにこだわるよりも、Suicaを導入した方が安上がり」となったのだと思われる。

伊豆急行は東急(旧東京急行電鉄)の子会社…なのだが、現在は2012年設立の中間持株会社「伊豆急ホールディングス」を介しているので厳密には孫会社となる。伊豆急行線はJR東日本の伊東線と運行的におおむね“一体化”しているので、やはり「PASMOにこだわるよりも、Suicaを導入した方が安上がり」なのだと考えられる。


発表時に覚えた「違和感」 

通勤定期券のみというのはさておいて、「記名式nolbe」に発売ってどういうこと?(発表時のPDF)

上毛線で交通系ICカードが使えるようになると聞いて、早速上毛電鉄のWebサイトにある発表文(というかリーフレット+説明文)を読んでみたところ、nolbeでは定期券は「通勤」のみ発売することが分かりました。

「えー、学生こそ使ってくれそうなのにな」と思って説明文を読み進めると、「nolbe定期券の発行には、記名式nolbeが必要です」との一文を見つけました。ここに、私は違和感を覚えたのです。

というのも、交通系ICカードに鉄道の定期券を載っける場合、普通なら券面に定期券情報を印字するからです。情報には、所有者の氏名と年齢も含まれます。

にも関わらず、わざわざ「記名式じゃないとダメですよ」と断りを入れるということは、上毛線のnolbe定期券は券面に定期券情報を印字しない、言い換えるとバスのICカード定期券と同じ仕組みなのではないかと考えました。

サービス開始前、気になって見に行く

2025年12月の中央前橋駅

こうなると気になって仕方がないわけで、「もう設備工事は終わっているだろう」と思い、2025年12月某日に上毛線の起点である中央前橋駅に行ってみました。

券売機は相変わらず

案内文にはnolbeを含む交通系ICカードへのチャージは有人駅(中央前橋駅・大胡駅・赤城駅・西桐生駅)の窓口と、車内で行うと書かれていました。ということで、中央前橋駅の券売機は今まで通りでした。

鉄道駅での交通系ICカードで「有人窓口でチャージ」というのは前例があるので違和感は特に覚えなかったのですが、鉄道の車内でチャージというのは、Suica・PASMOエリアにおいて前例はありません

鉄道用とは思えない出入場改札(左が入場用、右が出場用)
鉄道用ならこれくらい立派なはず(写真はJR東日本の簡易IC改札機)

案内文では、上毛線における交通系ICカード乗車は「有人駅では改札でタッチ、無人駅では車内でタッチ」というオペレーションとのことでした。これも、Suica・PASMOエリアにおける鉄道では前例はなく、バスや路面電車みたいなオペレーションです。

予想通り、有人駅である中央前橋駅には交通系ICカードの改札らしきものが既に設置されていました…が、鉄道用の簡易改札機と比べると超質素なものです。「これ、鉄道じゃなくてバスや路面電車と同じ扱いでやるんじゃね?」という疑念がますます強まりました。

車内の改修はまだ

車内の運賃箱やリーダーを見れば、この疑念に対する“答え”が出そうだったのですが、当時は車内に改修が未完了だったため、そこまで確認できませんでした。残念。

開始から3ヶ月たって見に行ったら…

4月に中央前橋駅に再来する筆者(明るいうちに来れた)

で、本当はサービス開始日に“答え合わせ”をしたかったのですが、あれやこれやしていいるうちに、再訪できたのは4月に入ってからでした。

どう見てもバス用のICカードリーダーです。ありがとうございました(

当然、交通系ICカード用の改札機は利用開始していました。12月に予感した通り、中身はバス・路面電車用のリーダーです。

入場用改札機は、整理券(後払い)制バスで使われる乗車時用リーダー(画面付き)が、出場用改札機にはバスや路面電車の運賃箱に載っかっているICカードリーダーと、同じく運賃箱に搭載されている運賃表示ディスプレイが入れられています。

車内の乗車用リーダー

12月時点では車内のICカードリーダーは未整備でしたが、両先頭車の運転台背面側には整理券制バスで使われる乗車時用リーダー(画面付き)が付いていました。タッチすると、画面に整理券番号とSF(前払い運賃)残高が出るやつですね。

運賃箱もICカードリーダーと画面付きに

同様に運賃箱もICカードリーダーと画面を取り付ける改修が行われていました。この運賃箱は乗客による交通系ICカードへのセルフチャージに対応していて、「チャージ」ボタンを押してから1000円札を入れると1000円チャージできます。チャージボタン付きの運賃箱は一部の交通系ICカード対応バス事業者で導入されていますが、関東地方では珍しいような気がします。

上毛線はバスだった(交通系ICカード的な意味で)

上毛線はバスでした。ありがとうございました(

ここまで来ると、完全に「あ、これ鉄道じゃなくてバスだ」となるのですが、「もしかするとデータ的には鉄道乗車として書き込んでいるかもしれない」という思いも拭い切れません。

ということで、中央前橋駅から「赤城駅」(群馬県みどり市)までモバイルSuicaで乗ってみたところ、利用履歴が「バス等」となりましたバス・路面電車と同じ扱いということです。

「これで何が困るの?」という点ですが、単に乗るだけなら困りません。しかし、バス等の履歴には乗車駅(停留所)と降車駅(停留所)が記録されません。要するに、どこからどこまで乗ったか、後から振り返れないのですorz

ともあれ、案内文を読んだときに働いた“野生の勘”は正しかったことがようやく証明されました。

まとめ: 東武鉄道との連絡定期券がないのも納得

赤城駅の「乗り換え改札」

上毛電鉄上毛線における交通系ICカードは、「鉄道」ではなく「バス」扱いでの導入になったというお話しでした。

やっぱりバスのICカード定期券と同じ仕組みだった上毛線のnolbe定期券

定期券の発売方法から「あれ?」と思った所は、思った通りという結末でした。定期券の話をし忘れていましたが、nolbeの利用案内を見ると、上毛線のnolbe定期券はバスのICカード定期券と同様にICカード自体には券面情報が印字されず、「定期券内容控え」と一緒に持って使う方式でした。

ただし、上毛線のnolbe定期券情報は地域交通機能の領域に書き込まれるため、Suicaエリアを発駅とするSuica定期券を別途搭載することは可能です。

一方で、上毛線が赤城駅で接続する東武鉄道桐生線はPASMOエリアであるため、nolbeに定期券を載せられません。「PASMOなら行けるのでは?」と思うかもしれませんが、PASMOには地域交通機能の領域がないためnolbe定期券を追加できません。

せっかくICカード対応したのに、東武鉄道との連絡定期券が発行できないのは、結構もったいないですよね…。


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