杣江市綺録【第079篇】高城酒店の店主|特記観察対象照会簿:File 29
高城 直文
— 水色の日を最初に確認する酒店店主

基本情報
氏名:高城 直文(たかぎ・なおふみ)
年齢:五十二歳
性別:男性
住所:杣江市舟入町三丁目九番四号
職業:高城酒店店主
分類:水色の日関連人物
確認日:2015年6月6日
所在:高城酒店
危険性:なし
観察概要
本対象は舟入町で高城酒店を営む男性である。
高城酒店は、舟入町内の生活道路沿いにある小規模な酒店であり、店頭には清酒用、空瓶用、配達用のP箱が置かれている。
また、本対象は舟入町内で御用聞き、配達、空き瓶回収などを行っており、地域住民からは高城酒店の店主として認識されている。
市内事案「水色の日」においては、本対象が店頭の水色P箱を最初に確認する例が複数ある。
水色の日に確認される水色P箱は、通常の黄色いP箱の列に一つだけ混じる。
本対象は、これにより水色の日を認識する。
ただし、本対象は水色P箱を撤去しない。
また、周辺住民に危険を告げて回る、警察や市役所へ通報する、現物を保管するなどの行動も確認されていない。
本対象は、水色P箱を確認した後、必要な連絡を行い、通常どおり店を開ける。
そのため、外見上は開店前の確認作業と大きく変わらない。
照合事項
高城酒店で通常使用されている黄色いP箱は、清酒用、空瓶用、配達用を含めて三十六個とされる。
本対象はこの数量を日常的に把握しており、店先のP箱が通常と異なる場合には早期に気づく。
水色の日に確認される水色P箱は、同店の現行回収控、仕入控、問屋戻し記録には該当しない。
箱の外観は古く、通常の高城酒店の備品とは異なる。
本対象は、同箱について、かつて舟入会館近くに存在した浜野商店と関係するものとして認識しているが、現在の所有者、保管場所、出現経路は確認できていない。
本対象の父親の代から、水色P箱が出た場合には、学校へ連絡する扱いがあったとされる。
連絡内容は詳細な危険説明ではなく、通学路を通常より一本ずらす趣旨のものに留められている。
学校側も、同連絡を受けた場合、下校経路を舟入会館側へ回す対応を行う。
本対象は、水色P箱を移動させることを基本対応としていない。
同箱は、道が通常の状態に戻ったと見られる時点で、店先から消失する例がある。
消失後、同店の黄色いP箱の数量は通常数に戻る。
水色の日に大きな事故、傷害、行方不明、器物損壊が発生した記録は確認されていない。
本対象は、何も起きないことを水色の日の終了条件として扱っている。
所見
本対象は、水色の日を発生させる人物ではない。
また水色P箱を除去、封印、調査する人物でもない。
本対象の役割は、水色P箱の出現を確認し、それを地域内で処理可能な状態へ移すことである。
水色P箱が店先に現れること自体は異常である。
しかし、本対象はその異常を、異常として拡大させない。
学校に連絡し、子どもの道を一本ずらす。
対応は限定的であり、説明も最小限である。
この最小限の処理によって、水色の日は大きな事件にならないまま終わる。
本対象の特徴は、怪異に対する知識量ではなく、知っていることをすべて説明しない点にある。
本対象は、浜野商店、水色P箱、通学路の変更について一定の認識を持っていると見られる。
ただし、その認識を由来説明や警告として広げることは少ない。
水色の日において重要なのは、箱を調べることではない。
通る道を少し変えることである。
本対象は、その判断を日常業務の延長で実行している。
本対象に危険性は確認されていない。
ただし、本対象が水色P箱を確認したにもかかわらず、学校への連絡、通学路変更のいずれも行われなかった場合、水色の日がどのように推移するかは確認されていない。
以後、水色P箱に関する照合を行う場合は、同箱そのものの出現位置だけでなく、高城酒店店主による開店時確認、学校への連絡時刻、児童の下校経路を併せて記録すること。
本対象は、水色の日を終わらせる人物ではない。
水色の日が水色の日として済むよう、最初の確認を日常業務の中で処理する人物である。
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