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AIに仕事を渡せる人は、指示がうまいわけではありません。渡す前に決めていることがあります

「思ったのと違うものが出てきた」

AIを使っていて、そう思ったことはないでしょうか。

そういうとき、たいていの人は指示の書き方を直そうとします。もっと詳しく書けばよかった、もっと具体的に言えばよかった、と。僕もずっとそうしていました。プロンプトの本を読んで、書き方を変えて、また試す。

ただ、使えば使うほど、強く感じることがあります。

仕事をちゃんと渡せている人は、指示がうまいわけではありません。渡す前に、二つのことを決めているだけです。

その二つとは、「間違いに誰が最初に気づくか」と、「気づいたとき、どうやって戻すか」です。

指示の中身ではありません。指示を出す前に決めておく、外側の話です。

詳しく書いても、間違いは減らなかった

先に、僕がうまくいかなかったやり方を書きます。

僕は最初、指示を厚くする方向に全力を注いでいました。前提を書き、例を書き、禁止事項を書き、望ましい形を書く。

たしかに出力の質は上がりました。ただ、間違いの数はゼロにはなりませんでした。 そして間違いは、必ず思ってもいない場所で出ます。書き方をどれだけ工夫しても、想定していない失敗は想定できないからです。

ここで発想が変わりました。間違いを出さないようにするのではなく、出たときに必ず見つかるようにする。 そして、見つかったときに戻せるようにする。

工場でも医療でも、たぶん同じことをやっているはずです。ミスをゼロにする前提ではなく、見つける仕組みと戻す仕組みを置く。AIに仕事を渡すのも、同じでした。

一つ目:間違いに誰が最初に気づくか

うちで実際に起きた話です。

AIに毎日メールの下書きを作らせています。あるとき、日付が一日ずれた状態で下書きが出来ていました。

原因はAIの計算間違いではありませんでした。AIが日付を確認するのに使っていた仕組みそのものが、ずれた値を返していたんです。 つまりAIは正しく動いていて、見ていた時計が狂っていた。

怖いのはここです。AIは自信満々で正しい形の文章を出してきます。日付以外は完璧なので、パッと見では気づけません。実際、この間違いは二回、下書きに残ったまま出ていました。

見つけたのは人です。画面で実物を読んで気づきました。

そこで決めたのが、こうです。

  • 日付は一つの情報源で決めない。必ず別の場所からも取って突き合わせる

  • 数字は、頭で計算させず実際のデータを数え直させる

  • 出す前に、照合した結果を先に書かせる。「確認しました」ではなく、何をどう照合したかを一つずつ書かせる

三つ目がいちばん効きました。照合した結果を言葉で書かせると、書けない項目が自分で浮かび上がってきます。 確認していないことは、書けないからです。

二つ目:気づいたとき、どうやって戻すか

もう一つ、実際にやらかした話です。

AIに作らせたメールの下書きを、「ここを直して」と頼みました。返ってきたのは「更新しました」という成功の報告です。

画面を見に行ったら、下書きそのものが消えていました。

直したのではなく、消えていた。しかも処理としては成功と返ってきている。もし僕が報告だけ見て画面を確認していなかったら、下書きが消えたことに何日も気づかなかったはずです。

これは指示の書き方では防げません。「消さないで」と書いても、消える仕組みなら消えます。

だから、直し方のほうを変えました。直すときは上書きさせず、新しく作り直させる。 そうすれば、失敗しても元が残ります。

同じ考え方で、線を引いてあります。

  • 外に出るものは、下書きまでで止める。送るボタンは人が押す

  • 数字を見るだけの場所では、変更する権限そのものを渡さない。提案までにする

  • お金が動くこと、人の合否に関わることは渡さない

戻せないことは、そもそも渡さない。戻せることだけ渡す。 これだけです。

「うまく書く」より、ずっと簡単だった

この二つを決めてしまうと、指示のほうは驚くほど雑でも回ります。

多少ずれた出力が出ても、見つかるようになっているし、戻せるようになっているからです。逆に、この二つを決めないまま完璧な指示を書こうとすると、いつまでも「まだ任せるのは怖い」から抜け出せません。

順番も逆でした。僕は「指示が完璧になったら任せよう」と思っていましたが、実際に任せられるようになったのは、見つける形と戻す道を先に作ったあとでした。指示はそのあとから、必要なぶんだけ足していけば済みます。

先に外側を作る。中身はあとから育てる。この順番だけで、任せ始めるまでの時間がかなり短くなります。

たぶん、人に仕事を頼むときも同じでした。仕事ができる人に頼むのが安心なのではなく、間違いに気づける形と、やり直せる余地があるから安心して頼める。 相手がAIになっても、構造は変わりませんでした。

今の状態

いま、時間割に登録して勝手に動いている仕事が35本あります。常に動いているのはそのうち32本です。

そのうち、外に出るものは全部「下書きまで」で止まります。 朝起きると、判断待ちのものが並んでいます。僕がやるのは、見て押すか、押さないかを決めることです。

正直に書いておくと、「これで何時間浮いたか」は測っていません。 測っていないので書けません。

代わりに言えることを書きます。任せる範囲は、指示がうまくなった分ではなく、見つける仕組みと戻す道を作った分だけ広がりました。

今日から一つだけ

もし何か一つだけ試すなら、次にAIに何かを頼むとき、「これが間違っていたら、誰がどこで気づくか」を頼む前に一度だけ考えてみてください。

答えが「自分が完成品を読んだとき」なら、それは間違いが最後まで通ってしまう形です。もっと手前で気づける場所を一つ足す。それだけで、渡せる仕事の範囲は変わります。

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僕はAIに会社の実務を渡す話を、毎日1本書いています。

同じことを自分の仕事でも試したい方は、フォローしておくと次の記事が届きます。

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