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ChatGPTに聞くのと、AIに仕事をさせるのは、別のことでした

「AIはもう触ってるよ」と言う人と話していると、だいたいこの話になります。

ChatGPTは開いている。何か聞けば、それっぽい答えが返ってくる。便利だとは思う。でも、自分の仕事は何も変わっていない。

僕もその状態が長かったです。そして、抜けた理由は「もっと良いプロンプト」でも「もっと賢いモデル」でもありませんでした。相談相手と、実行者を、同じものだと思っていたのが原因でした。

「聞く」を上手くなっても、仕事は減らない

最初の1年、僕がやっていたのはこれです。

わからないことを聞く。文章のたたき台を作らせる。返ってきたものを読んで、直して、自分の資料に貼る。

これは相談です。相談相手としては優秀でした。壁打ちの相手がいなかった一人の仕事に、話し相手ができた。それ自体は良かった。

でも、よく考えると仕事の総量は減っていません。聞く時間が増えて、その分やることが後ろにずれただけです。むしろ「良い答えをもらったのに実行していない」という負債が溜まる。

調べれば調べるほど動けなくなる、あの感じです。

変わったのは「聞くのをやめて、任せた」とき

決定的だったのは、質問をやめて、仕事を1つ丸ごと渡した日でした。

渡したのはこういう形のものです。

毎朝9時。前日の投稿の数字を見て、決まった形にまとめて、決まった場所に出す。

「投稿を伸ばすにはどうしたらいい?」と聞くのではなく、「毎朝これをやっておいて」と置いた。この差が全部でした。

相談相手に必要なのは良い質問です。実行者に必要なのは場面の指定です。いつ、何を見て、何を出すか。この3つが決まっていないと、どんなに賢いAIでも動けません。逆に、この3つさえ決まっていれば、返ってくる文章の出来はそこまで問われない。

実際に渡している3行は、こういう形です。

いつ:毎朝10時

何を見て:前日に出した営業メールへの返信が来ていないか、受信箱を見る

何を出すか:返信が来ていた分だけを、相手の名前と要点3行にまとめて、決まったチャットに投げる

読み返すと、ものすごく地味です。新入社員に頼むにしても、これ以上ないくらい噛み砕いた指示になっています。

でも、この地味さがそのまま「動くかどうか」を決めていました。曖昧さが残っている行が1つでもあると、そこで止まるか、それっぽい嘘で埋められるか、どちらかになります。

僕は最初、この書き方を「AIを子ども扱いしすぎでは」と思っていました。今は逆だと思っています。ここまで書けるということは、自分がその仕事を本当に理解しているということです。書けない仕事は、まだ自分の中で手順になっていない。だから渡せない。

失敗した話:「いい感じにやっといて」は一度も動かなかった

最初、僕はこう頼んでいました。

「営業まわりをいい感じに進めておいて」

「SNSの改善案を出しておいて」

どれも一度もまともに動きませんでした。

返ってくるのは、正しいけれど誰にでも当てはまる一般論です。「ターゲットを明確にしましょう」「継続が大切です」。これは相談の答えとしては満点で、実行としてはゼロです。

原因はAIではなく、僕の依頼の形でした。「いい感じに」には、いつも・何を見て・何を出すかが1つも入っていない。自分でも何をやるか決めていない仕事を、他人に渡せるわけがない。

これは人に頼むときと同じです。新しく入った人に「営業をいい感じにやっといて」と言って動くなら、その人はもう自分より仕事ができる。

もうひとつ、渡し方でつまずいた話を書きます。

「調べておいて」と渡した仕事が、それっぽい数字を並べて返ってきたことがありました。読むと筋は通っている。でも出どころを確かめたら、どこにも載っていない数字でした。

これも相談と実行の取り違えです。相談なら「たぶんこれくらいでは」で構いません。実行として渡した仕事に推測が混ざると、そのまま外に出ていきます。

なので、実行として渡す仕事には全部この一行を足しました。

確かめられなかったら、確かめられなかったと書くこと。埋めないこと。

これを足してから、返ってくるものの信用が変わりました。空欄が返ってくる日はありますが、空欄は直せます。嘘は直せません。

相談に向く仕事と、実行に向く仕事

いま僕は、こう分けています。

相談で使う(自分が受け取って、自分で決める)

何をやるか迷っている時の壁打ち

知らない分野の全体像を掴む

書いた文章の弱い所を指摘してもらう

反対意見を出してもらう

実行を任せる(形が決まっている一件)

毎日決まった時間にやること

見る場所と出す形が決まっていること

間違えても捨てればいいこと

実行に回せるのは「もう自分がやっている作業」だけです。やったことのない仕事を渡しても、相談の答えしか返ってきません。

最初に渡すものの選び方

もし今日1つだけ渡すなら、僕はこう選びます。

1. 今週、3回以上やった作業を思い出す

2. その中で手順が毎回同じものを1つ選ぶ

3. それを「いつ・何を見て・何を出すか」の3行に書き直す

4. その3行だけを渡す

ここで大事なのは、新しいことを始めないことです。AIを入れたからといって、やったことのない仕事ができるようにはなりません。すでにやっている作業が、勝手に進むようになるだけです。

でも、その「だけ」がかなり効きます。僕の場合、朝いちばんの仕事が「作業」から「確認」に変わりました。

いまの状態

実行として置いてある仕事:30本(時間と手順が全部決まっているもの/実測)

相談として使っている場面:迷った時・書いたものを見てもらう時

どちらもChatGPTやClaudeという同じ道具です。変えたのは道具ではなく、渡し方だけ。

「AIを触ったのに何も変わらない」と感じている人は、たぶん能力の問題ではありません。ずっと相談しているだけなのだと思います。僕がそうでした。

聞くのを1回やめて、いつも同じ形でやっている一件を丸ごと渡してみてください。変わるのはそこからでした。

この記事で書いた「実行として渡す3行」を、実際に31本まで増やすとどうなるか。渡してはいけない仕事、実際に起こした事故3つ、いま動いている指示文の実物までを、有料でまとめました。


僕はAIに会社の実務を渡す話を、毎日1本書いています。同じことを自分の仕事でも試したい方は、フォローしておくと次の記事が届きます。

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