27年勤めた会社を辞めた日、俺がやったのはメールの返信一通だけだった。
■はじめに
辞めたい。
そう思って、何年たった。
上司に切り出す場面だけは、何度も頭の中で練習した。
でも結局、また明日にする。
あなたは、勇気を出す日を待っているんじゃない。
きっかけが、向こうから来る日を待っている。
契約が切れたとき。
異動を言い渡されたとき。
体を壊したとき。
「そのとき考えよう。」
それを、「まだタイミングじゃない」と呼んでいる。
俺も昔はそうだった。
契約更新の紙に判子を押しながら、
「今回もまた続けるのか。」
そう思っていた。
思いながら、押していた。
■27年の終わりは、メールの返信一通だった
期待させたら申し訳ない。
俺の退職の日に、ドラマは何もなかった。
営業から、一通のメールが届いた。
「この現場が終わるので、次の現場を探します。」
IT転職後、17年間、何度も受け取ってきた定型文だ。
俺は返信した。
辞めるので、次の現場は不要です。
たった、それだけ。
会議室もない。
震える手もない。
引き止めもない。
捨て台詞もない。
会社員歴27年が、メールの返信一通で終わった。
営業も驚かなかった。
投資を続けていることは、以前から会社に話していたからだ。
その少し前、俺は二度、大きな手術を受けた。
時間は無限じゃない。
それを、頭じゃなく体が教えてくれた。
そして20年以上積み上げた資産が、自分の決めていたラインを超えた。
生きるためだけなら、もう会社にしがみつかなくてもいい。
その条件は、もうそろっていた。
だから現場終了のメールを見た瞬間、迷わなかった。
考えて出した答えじゃない。
もう決まっていたものを、思い出しただけだった。
■勇気がなかったんじゃない。先に決めていなかっただけだ
今日、一番伝えたいことがある。
辞められない人は、退職を「伝える日に決めるもの」だと思っている。
だから怖い。
怖いから先送りする。
先送りするから、きっかけ待ちになる。
俺の決断日は、メールを見た日じゃない。
「勤め人の他人時間じゃなく、自分時間で生きる。」
そう決めた日だ。
日付は覚えていない。
誰にも話していない。
誰にも褒められていない。
でも、あの日に全部終わっていた。
きっかけは、向こうから来ていい。
問題は、その瞬間に返事ができる自分になっているかどうかだ。
決めていない人には、きっかけは悩みになる。
決めている人には、同じものが合図になる。
同じメールでも、届き方はまったく違う。
■孫子は、戦う前に勝負を終わらせていた
孫子は言う。
強い軍は、戦う前に勝っている。
戦場で勝ち方を探す軍は、強くない。
退職も同じだ。
退職を伝える日は、勝負の日じゃない。
結果を確認する日だ。
試験で言えば、答案はもう提出してある。
発表の日に、どれだけ緊張しても点数は変わらない。
多くの人は、答案を書いていないのに、発表の日ばかり怖がっている。
■あの日、俺は高揚しなかった。安心しただけだった
送信ボタンを押しても、ガッツポーズは出なかった。
解放感もなかった。
あったのは、静かな安心だけだった。
理由は二つある。
一つ目。
自分で決め、自分の言葉で伝えたこと。
誰かに背中を押されたわけじゃない。
追い出されたわけでもない。
自分で選んだ。
その事実が、自分を支えてくれた。
二つ目。
先に同じ道を歩いた人がいたことだ。
同じような資産をつくり、会社を辞めた人がいた。
天才でもない。
起業家でもない。
俺と同じような会社員だった。
だから思えた。
俺でもできる。
人は、道があるから歩けるんじゃない。
自分に近い誰かが歩いているから、一歩踏み出せる。
だから今、同じ場所で迷っている人がいるなら、俺がその一人になれたらうれしい。
夜勤10年。
客先常駐17年。
特別な才能なんて、最後まで見つからなかった。
それでも辞められた。
そして覚えておいてほしい。
大きな決断のあとに、高揚感なんてなくてもいい。
確認作業に、感動はいらない。
■きっかけが来る前に、済ませておく3つ
きっかけが来てから考えると遅い。
今日やることは、三つだけだ。
一つ目。
紙に一行書く。
「俺は、他人の時間じゃなく、自分の時間で生きる。」
それを見える場所に置く。
その一行が、あなたの答案用紙になる。
二つ目。
年間生活費を計算する。
その25倍を、一つの目安として置く。
正解を出すためじゃない。
漠然とした不安を、数字に変えるためだ。
三つ目。
自分に近い経歴で、先に辞めた人を一人見つける。
有名人じゃなくていい。
起業家じゃなくていい。
「この人にもできたなら、俺にもできる。」
そう思える人を、一人だけ見つければいい。
※資産や投資は、人それぞれ条件が違う。
ここに書いたのは、あくまで俺の考え方だ。
判断は、自分自身でしてほしい。
■まとめ
辞める日は、勇気を出す日じゃない。
決めておいたことを、事務連絡する日だ。
俺の27年は、メールの返信一通で終わった。
拍子抜けするほど静かだった。
でも、その静けさは、何も起きなかったからじゃない。
必要なことが、全部その前に終わっていたからだ。
今、切り出す場面ばかり練習しているなら、順番が逆だ。
練習すべきなのは、その場面じゃない。
先に、自分で決めておくこと。
今日やることは、一つだけ。
紙に一行。
「俺は、他人の時間じゃなく、自分の時間で生きる。」
きっかけは、そのうち向こうから来る。
来たとき、一行で返せる自分でいればいい。
あの数字のライン、出しただけじゃ終わらない。
そこから先は、意志じゃなく"兵士"に守らせる話だ。
よかったら
もし、この記事が、面白かったり、お役に立ちましたら、「スキ」「フォロー」をいただけると、嬉しいです!
最後まで、読んでいただき、ありがとうございました。🙇
