見出し画像

読書メモ:八咫烏⑤玉依姫

一気読みした八咫烏シリーズの読み直し、第5巻「玉依姫」。舞台は現代日本、ついに異界「山内」と「山神」の秘密が明かされ、先代の金烏が禁門で亡くなった理由が判明する巻。

この巻で名前が明示される八咫烏は若宮と真赭の薄の2人だけなのだけど、山神の怒りにふれ八咫烏に死傷者が出てしまうくだりがあって、これは次巻で詳細が明らかになる。この巻はあくまでも人間と山神のやりとりが主体で、その立ち位置で見たとき、八咫烏の誰が死んだかというのは些末なこと、という考えだろう。

本題から逸れるけれど、阿部先生が「玉依姫」を最初に執筆されたのは高校2年生の時だそう…八咫烏の原点といえるお話なのだ。

ただ、残念ながら、どうしても苦手意識が拭えない。八咫烏シリーズのなかで唯一苦手な巻。因習村のどろどろ湿度高めなのが苦手なせいかもしれないし、志帆が途中から憑依されたような感じがするからかもしれないし、サヨに感じる気持ち悪さのせいかもしれないし、志帆と祖母のすれ違いに共感するせいかもしれない。

 いや、きっと悪い人ではないのだろうし、この人なりに、自分を愛してくれてはいるのだろう。だが同時に――もしかすると、本人さえも気付かない根っこのところで――志帆のことを、どうしようもない愚かな人間だと思っているのもまた、逃れようのない事実なのだ。
 仕方ない。きっと、それが普通だ。でもこの人は、肉親の情があって、愛してはくれても、永遠に、志帆の理解者になることはない人間だった。

『玉依姫』阿部智里 文春文庫より


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集