読書メモ:八咫烏外伝②すみのさくら
一気読みした八咫烏シリーズの読み直し、外伝の「烏百花 蛍の章」から2話目「すみのさくら」は浜木綿の子ども時代のお話で、若宮との出会いが描かれている。
南家当主の姫君という身分をはく奪され、墨丸と名を変え、山寺で過ごすことになった幼き頃の浜木綿。反逆者とされる両親の墓には花ひとつ手向けられないなか、若宮が拾った枯れ枝に花を咲かせ、そっと墓前に供えるのを目撃する。
それは、季節はずれの桜だった。
冷たく暗い墓に、こぼれるように咲き誇る桜の華やかさは、息を吞むほどに鮮やかだ。
満足げに、満開の桜の枝を見つめた弟宮は、それをそっと墓前に供え、手をあわせる。
それだけで、灰色の水底に沈んだように、全く色味のなかったそこが、一気に明るくなったように感じられた。
月光を弾いた花びらが、春の息吹を冬の墓にもたらしたのだ。
桜って儚く華やかで、どうしてこんなにも自然の移ろいを感じさせ、尊く思わせるのだろう。
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