税理士と何を分担するか(分担表テンプレ付き)
ソトCFOです。
前回、役員報酬の決め方を書いて、最後に「実際の金額は顧問税理士に確認してください」と置きました。ではその税理士に何をお願いして、何を自社で持つのか。そこが曖昧なまま走っている会社が本当に多いので、今回はその整理の話です。
数十社を見てきて、税理士との間で問題が起きるケースのほとんどは、先生の仕事が遅いとか雑だとかではありません。「どっちがやると思っていた」の隙間に業務が落ちているだけです。
■ 落ちるのは業務ではなく、受け渡し
よくあるのがこれです。社長は「記帳は先生にお願いしている」と思っている。先生は「いただいた資料のぶんは記帳している」と思っている。実際に起きるのは、渡していない口座の明細が一年ぶん丸ごと未処理のまま残っていて、決算の直前に発覚する、というやつです。
どちらも嘘をついていません。業務の名前だけで分担を決めていて、「何を、いつ、どっちからどっちに渡すか」を決めていないから、こうなります。
だから分担表は、業務名と担当の2列では足りません。最低でも「誰がやる/いつまでに/何を渡す」の3つが要ります。
■ 特に落ちやすい5つ
・入金消込。記帳の範囲外にしている事務所は多いです。ここが空白だと、回収済みの請求が売掛金にずっと残って、実際より資金が足りないように見えます
・納付書が届く系。源泉所得税や住民税の特別徴収は、計算は先生・実際に払うのは自社、という分かれ方をしがちで、期限の当日に「え、こっちでしたか」になります
・証憑の保管。誰がどこに置くかを決めていないと、先生の手元とクラウドと現場の紙に散ります
・給与計算と社会保険。給与計算は税理士、社会保険の手続きは社労士、という境目がここにあります。片方しか契約していないと、間の作業が無主地になります
・月次の期限。「何日までに資料を出したら、何日までに試算表が返るか」。これを握っていない会社は、だいたい月次が2ヶ月遅れます
■ 全部を先生に寄せなくていい
線を引くときの基準はひとつで、判断が要るか、作業か、です。
税務の判断と申告書の作成は税理士の領域で、ここは動かせません。一方で、決まった手順を回すだけの作業(請求書の発行、入金の確認、証憑の回収)は、自社で持ったほうが速いし安いことが多いです。外に出すと、資料を集めて渡して返ってくるのを待つぶんだけ、必ず遅くなるので。
そして、決めた分担は口頭ではなく1枚にして、先生と共有してください。契約書の業務範囲は「記帳代行」としか書かれていないのが普通で、その粒度では隙間が埋まりません。
なお、税務の判断・申告は税理士、社会保険や労働保険の手続きは社労士の領域です。ここに書いているのは運用の整理の話で、どこまで依頼できるかは契約内容によって変わります。実際の線引きは顧問の先生に確認してください。
■ 配布物:税理士との業務分担表
そのまま先生に見せて埋められるExcelを作りました。よければどうぞ。
・タブ1「業務分担表」=月次経理・債権・債務・給与労務・税務納付・決算・その他の7区分で40業務。各行に担当(プルダウン)、期限、自社が渡すもの、自社が受け取るもの、の欄があります。担当の初期値は全部「未定」にしてあるので、埋まらなかった行がそのまま話し合うべき論点になります
・タブ2「決める前の確認20問」=契約の範囲、受け渡し、落ちやすい業務、運用の4区分で20問。初回や契約更新のタイミングで使う想定です
期限の欄は一般的な目安を入れてあるだけなので、自社の事業年度に合わせて書き換えてください。
https://drive.google.com/file/d/1W7YKEBR8T_XlJHyDWHgjT8L9znrBEYtI/view?usp=sharing
月次決算の全体像(10営業日で締めるチェックリスト)は第1回の記事で無料配布しています。あわせてどうぞ。
https://note.com/sotocfodesu/n/naa24c66d8d0a
次回は「経費精算が回らない会社の共通点」を書きます。それでは。
