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「誰が悪い」を先に決めると、原因は見つからない ― 現場で覚えた切り分けを、AIへの指示に使う

まだ飲食店で新人の頃、レジ締めの数字がどうしても合わなくて、最後に原因が自分の入力ミスだと分かった夜があります。細かい経緯はもう思い出せませんが、「人を疑う前に、まず過程を戻る」という感覚は、このあたりから始まった気がしています。

今日は、その「原因を切り分ける」という現場の動きが、AIに指示を出すときにもほぼそのまま使える、という話です。


「誰が悪い」から入ると、人は口を閉じる

店長になってから、スタッフのミスへの向き合い方を一度変えたことがあります。叱ることをやめて、「何が起きたか」と「次どうするか」だけを聞くようにしました。

すると、ミスの報告はむしろ増えました。減ったのではなく、増えたんです。隠す理由がなくなったからだと思っています。

ここで分かったのは、犯人を探す動きは、原因を知る動きと逆を向いている、ということでした。人は責められそうだと感じた瞬間に、情報を出さなくなる。原因を握っているのはたいてい現場の人なのに、その人が黙ってしまう。

切り分けるとは、「どこまでが正常か」を戻って特定すること

「誰が」ではなく「どこで・なぜ」から入るとは、具体的には何をすることか。

レジの現金が合わないような場面では、私は店長として、そういうときに調べる手順を持っていました。中身をここで細かく再現はしませんが、やっていたことを今の言葉でまとめるなら、「どこまでは合っていて、どこから合わないのか」を、過程を区切りながら戻して特定する、という作業です。犯人を先に決めないので、事実だけが手元に残っていきます。

数字だけでは原因が見えないこともありました。
ある店舗で売上が落ち込んだとき、原因を突き止めるきっかけになったのは、常連のお客さんへの聞き込みでした。
原因を探すときは、手元にある数字だけを見るのではなく、必要なら現場の外側まで確かめる。そんな経験も、今の「切り分けて考える」という感覚につながっています。

この戻り方は、AIへの指示がうまくいかないときにも使える

AIに仕事を頼んで、思っていたものと違う結果が返ってくる。ここで「AIは使えない」と言って止まるのは、「誰が悪い」から入るのと同じ形です。そこで止まると、次に何を直せばいいのかが分かりません。

かわりに、返ってきたものを見て「どこまでは意図どおりで、どこから外れたか」を戻ってみる。戻る場所を分けておくと、探しやすくなります。

たとえば
前提(何を知っている前提で書いたか)、条件(対象や分量、やってほしくないこと)、例(望む形の見本を渡したか)、順序(頼む順番と、区切りの大きさ)。

全部を書き直すのではなく、ズレた場所だけを直す。人ではなく過程を見る、という点で、レジのときと同じです。

原因を切り分ける力は、資格でも勉強でもない

この力は、どこかで習ってくるものではありません。現場で問題対応を何度も繰り返してきた人は、もう持っています。ただ、名前がついていないだけです。

もし次に、仕事でも家のことでも何かがうまくいかなかったら、「誰が悪い」「何が悪い」と言う前に、「どこまでは合っていたか」を一行だけ書き出してみてください。そこから戻るだけで、見え方が変わることがあります。


自分が現場で当たり前にやってきたことの中に、こういう「名前のついていない力」がないか整理してみたい方は、公式LINEで「経験武器化15分診断」をやっています。よろしければどうぞ。

前回の記事(「AIへの指示がうまくいかない人ほど、最初に『何からやるか』を決めた方がいい」)も、同じ「現場の段取りをAIに使う」話です。あわせてどうぞ。


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