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ショートステイで自分を取り戻す | 公的介護サービスとつながる

母は月に1度、1泊2日のショートステイに行く。

きっかけは、父の泊まりがけの同窓会だった。母をひとりにしておけないものの、弟も私も都合がつかず、ケアマネージャーさんに相談すると、ショートステイを提案をいただいた。

母も、ケアマネージャーさんのことを信頼しているので、彼女のすすめならと、ショートステイに行くことを快諾した。新しいパジャマやバスタオルなどの用意をして、母もちょっとした旅行気分だ。

慣れない場所にひとりで泊まる、ということで、母が混乱したり、夜中に帰りたいと言い出したりするのでは?と心配をしたものの、ショートステイ先のスタッフの方がよくしてくれたようで、母はご機嫌で帰宅した。

父も久しぶりに友人との時間を楽しみ、母も気分転換ができた。父にとっても、母にとっても、ショートステイはいい体験となった。

その後、父が法事に呼ばれたりすると、母がショートステイに行く、という感じで、ケアマネージャーさんと相談しながら、ショートステイを利用させてもらっていた。

ある時、ケアマネージャーさんから、介護をしている家族を休ませるために、ショートステイを利用することもできますよ、というご案内をいただいた。父の様子をみてのアドバイスだったのだろう。1年ほど前からは、月に1度、特に理由がなくても、母はショートステイを利用させていただくようになった。

頻繁ではないものの、母がトイレの失敗をするようになったりと、少しずつ、父の負担が増えてきている。月に1度のショートステイを、1泊2日ではなく、2泊3日にするか、月に2度いれてもらうか、ケアマネージャーさんと相談するよう、父に伝えていた。が、父がそれを受け入れられないようだった。

父ががんばりすぎて体調を崩してしまえば、2人の暮らしが続けられなくなるからと、なんども、ていねいに父に話した。そのやりとりの中で、父が、母のショートステイを増やすことに抵抗するのは、母のためではなく、父自身の気持ちによるものだと理解した。

父は、母との2人の暮らしが、いつかは終わる、ということを考えている。母のショートステイを増やすのは、2人の暮らしが終わったあとのことを、リアルに感じてしまい、怖いのだ。

母は、認知症の診断を受けた当時、私も驚くくらいに荒れた。それが、デイサービスに通い始め、物忘れ外来に通い、数年かけて自分の病気に向きあってきた。そして、いつの日か、自身の病気を受け入れた。

快活だった母はいなくなったが、穏やかで、強い母が、今は、父を、メンタル面で支えている。

私自身、親のサポートをしているなかで、老いることの非情さに、苦しくなることもある。父と母を助けたい、けれど、自らの老いに向き合い、自分なりの答えをだしていくのは、父自身であり、母自身なのだ。老いに抗うことは虚しく、誰しも、老いることから助けだすことはできない。

ショートステイの間、父も、母も、自分だけの時間を生きる。静かに、自分と向かう時間を持つことができる。

公的介護サービスのおかげで、父も、母も、人間らしい時間を過ごすことができている。すばらしい制度だと思うし、感謝の気持ちでいっぱいだ。


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