親のお金、口座凍結に注意しよう | 老後の暮らしを整える
母親のキャッシュカードを持ってきた娘がATMで現金を引き出している。が、もしかしたら、母親の目を盗んで、娘が勝手にやっているかもしれない。
母親は2万円おろして来て、とお願いしたのに、娘は勝手に3万円をおろして、1万円を自分の懐に入れてしまうかもしれない。
という可能性も踏まえて、銀行は、お母さん名義の口座は、お母さんご自身が手続きをして、お金を動かしてください、という。
銀行は、預金者からお金を預かるにあたって、預かったお金を、間違って無くしてしまったり、減らしてしまったり、が絶対に起きないよう責任を負っている、からだ。
支店の窓口で、娘が「母から頼まれてきたんです。母は具合が悪くて支店まで来れないんです。病院に行くのにお金が必要なんです。」と主張しても、窓口の担当者は「お母さんと一緒にいらしてください。」と言うしかない。
銀行にとって、口座名義本人のお金を守るということが最も大事な約束事なので、そこをなんとか、は通用しない。
金融機関に預けたお金というのは、たとえ家族であっても、口座名義本人以外が銀行でお金を動かす(現金を引き出す、振込をする、口座を解約する、など)ことはできない、というのが大原則なのだ。
とはいえ、ひとは年齢を重ねるにつれ、体力とともに判断力も落ちていく。銀行に行くのもたいへんになり、窓口での手続きも、気の重たいことになっていくのだ。
現在、65歳以上の約16%が認知症であると推計されていますが、80歳代の後半であれば男性の35%、女性の44%、95歳を過ぎると男性の51%、女性の84%が認知症であることが明らかにされています。
そして、銀行は、口座名義本人のお金を守ために、口座名義本人の判断能力が著しく低下していると判断すると、口座凍結を行う。
銀行が口座凍結を行うのは、
家族等から、口座名義本人が認知症であることを銀行に伝えたとき
銀行が口座名義本人の判断能力が著しく低下していると判断したとき
という。
1.については明確であるが、2. については銀行側の判断になるので、ちょっとイメージしずらい。
例えば、ATMでなんども暗証番号を間違えてしまい、窓口の担当者の対応への受け答えが難しいケース、などが挙げられる。
高齢でなくても、認知症でなくても、ATMの操作が思うようにいかず、慌ててしまったり、気持ちが動転してしまうこともあるだろう。が、高齢者の場合、窓口の担当者が 2. のケースが該当するのでは?と考えるのも理解できる。
実際のところ、銀行の支店に行くと、窓口に並んでいるのは年配の方が多く、窓口の担当者も年配の方とのコミュニケーションにかなり長けている印象を受ける。ちょっと受け答えにしどろもどろになってしまったところで、すぐに口座凍結、ということはないだろう。が、判断するのは、あくまで銀行側だ。
ちなみに、銀行が、ATMで口座名義本人ではないひとが現金の引き出し等しているのをみつけたら、これも口座凍結、とのこと。注意しよう。(ATMで親のお金を引き出すときは親も一緒に連れていくように)
口座凍結になったらどうなるのか?
資金の引き出しや振込等の取引ができなくなる。凍結されてしまった口座が、年金の受け取り口座だったら、年金が引き出せなくなる、ということだ。
口座名義本人が亡くなった際の口座凍結の場合は、口座振替(光熱費やクレジットカード等の自動引き落とし)等もすべて停止されるが、認知症や判断能力の著しい低下と判断された場合は、口座振替(自動引き落とし)は継続されるという。
つまり、年金の受け取り口座から、日々の生活費用がすべて口座振替(自動引き落とし)されるようになっていれば、すぐには困らない、ということ。(現金は引き出せないので、困らないわけではないが。)
逆に、年金の受け取り口座から現金を引き出して、光熱費を払ったり、生活費にあてる、というパターンだと、すぐに困ってしまう、ということだ。
よって、私の親のお金については、年金の受け取り口座から、水道光熱費や税金、介護サービスの自己負担分、食材・生活用品の宅配の支払い、クレジットーカード(ほとんど使わないが)の支払い、と可能な限り口座振替(自動引き落とし)にしてある。
また、父、母とそれぞれ本人の口座に年金が入金され、支払いについては、父母共通のものは父の口座から、個々のものはそれぞれの口座から口座振替(自動引き落とし)されている。
そして、父、母それぞれ、年金の受け取り口座の他にもう1口座を持ち、年金で足りないときの取り崩し、まとまったお金が必用なときに利用する口座としている。
もし、年金の受け取り口座が凍結されたら、こちらの口座から現金を引き出して生活する、という作戦だ。父、母あわせて4口座あるので、まぁなんとかなるだろう、と思っている。
年金の受け取り口座:生活費用口座
もう1つの口座:貯蓄用口座
というイメージだ。
ちなみに、あくまでもこのやり方は一例であって、父や母との意志確認が難しくなってくると、この運用はグレイゾーンに入ってしまう。原則通りに運用しようとすると、成年後見制度を利用することになる。これもなかなかにややこしそうで腰がひけてしまう。
過去には家族信託等も検討したものの、父も母も昭和のふつうのひとで「そんなおおげさなことをしなくても」と進めることができなかった、という経緯もある。
口座凍結されてしまった場合、どうすればいいのか?
認知症による口座凍結の場合、解除するためには成年後見制度を利用することになる。家庭裁判所へ申立を行い、成年後見人を選定。その後に銀行へ口座凍結の解除の手続きを行う、という手順になる。手続きには3ヶ月ほどかかるとされており、その間、凍結された口座のお金は動かせない。
まとめ:
親のお金の管理することになったら、とにかく口座凍結されないように注意すること。そして、もし口座凍結されても、すぐに困ることにならないよう、手立てをしておくこと。
事業をされていたお母様が認知症になり、体調も崩されて入院したものの、お母様のお金を全く動かせず、とても困った、という話を友人から聞き、
「本当にたいへんだからちゃんと手立てをしておいた方がいいよ」
と強く言われたのが、私が親のお金の管理について危機感を持ったきっかけだった。
実際に、認知症を理由とした口座凍結がどのくらい行われているのかはわからない。
親が元気なうちなら、その対策も親の意向にあわせて選択肢の中から選ぶこともできるが、果たして、親が元気なとき、お金の管理をこどもに任せることなんて考えるだろうか。
しかし、病気で入院することになったり、認知症の診断を受けてからでは、できることも限られてしまう。なかなかに悩ましい問題なのだ。
