意見に「相手のため」を添える|言う場面と引く場面の見極め方
※この記事は、音声配信「余談ですが、聴いてください。」第2回を読みやすく記事にまとめ直したものです。音声で聴きたい方は下記の番組欄へどうぞ。
自分の意見を伝えた方がいいと分かっていても、実際の仕事では迷う事があります。
ここで違う意見を出したら、それまで順調に進んでいた話をひっくり返してしまうかもしれない。周りから面倒な人だと思われるかもしれない。
そんな風に考えて、言葉を飲み込んでしまうんですよね。
「答えは一つじゃない相談室」の第1回では、空気を読みすぎて自分の意見が言えない時には、小さな発信を重ねて自信をつけていこうという話をしました。
収録を終えてから、もう一つ大事な事に気づきました。意見を伝える時には、自分がそうしたい理由だけでなく、「相手のために」「会社のために」という思いも一緒に伝える事です。
意見を言うと、話をひっくり返しそうで怖い

自分の中に意見がある。それでも、どんな場面でも言葉にできるとは限りません。
会議が一つの方向へ進んでいる時に別の意見を出せば、話が振り出しへ戻る可能性があります。自分の一言で仕事が増えたり、周りの人から変な風に思われたりする事もあるでしょう。
一方で、ここで言わなければ、後から自分が仕事を進めにくくなる事もあります。
言いたい。でも、今までの流れを止めるのは怖い。その二つの気持ちの間で迷うのは、自然な事だと思います。
大切なのは、怖さを無理になくそうとする事ではありません。なぜこの意見を伝えたいのかを、自分の中で整理する事です。
「相手のために」という理由を添える

「私はこう思います」と伝える時には、そう考える理由もはっきりさせます。
その理由が、自分の仕事をしやすくするためだけではなく、相手や会社にとっても意味があるなら、そこまで言葉にして伝える事が大切です。
「この方法の方が、皆さんの負担も減ると思います」
「お客様のためには、ここを先に確認した方がいいと思います」
「会社として同じ問題を繰り返さないために、今話しておきたいです」
同じ反対意見でも、その背景にある思いが分かれば、相手の受け取り方は変わります。
自分の主張だけでなく、誰のために伝えるのかまで言葉にする。
こちらが心から相手や組織の事を考えていると分かれば、「話を邪魔したいわけではないんだな」「良くするために言っているんだな」と理解してもらいやすくなります。
もちろん、「相手のため」という言葉を形だけ付ければいいわけではありません。本当に何を良くしたいのかを考え、その気持ちを込めるからこそ、言葉が届くのだと思います。
「おかしい」だけでは、思いは届かなかった

私が新入社員だった頃、納得できない事があると、上司や少し先輩の社員へ意見を伝える事がありました。
ただ、その頃は「私はそうは思いません」「それはおかしいんじゃないですか」と、自分の違和感だけを口にしていたんです。
その仕事を変えると組織へどんな良い影響があるのか。仕事の効率や周りの人にとって、なぜその方が良いのか。そこまでの分析が抜けていました。
受け取る側からすれば、ただ不満をぶつけられたように感じた事もあったと思います。
その経験から、意見を伝える時には、その意見によって会社や組織がどう良くなるのかを考えるようになりました。そして、結論だけでなく、その前提も先に伝えるようにしています。
相手の背景や理由まで見ようとする事については、こちらの記事でも書いています。
▶ その人なりの理由が絶対ある!「視点の持ち方」を変えれば仕事はうまくいく
自分の意見を通す事が目的になると、相手の事情が見えにくくなります。何を良くしたくて話しているのかへ戻ると、伝え方も少しずつ変わっていくんですよね。
言う場面と引く場面を、俯瞰して見極める
すべての場面で、自分の意見を言い切る必要はありません。
相手や会社の意見に従い、そのまま進める方が良い時もあります。大切なのは、今言わなければ話がそのまま決まってしまうのか、それとも後で話し合える機会があるのかを見極める事です。
その為には、話を聞きながら全体を俯瞰します。
今の話の要点は何か。決めるために足りていない情報は何か。このまま進めても、後で確認できるのか。次の打ち合わせはあるのか。
まだ話せる機会があるなら、今回は引いてもいいかもしれません。今日で結論が決まり、後から戻れないなら、今伝えた方がいいかもしれません。
自分が話したい内容を理解する事と同じくらい、その場で何が抜けていて、何が大切にされているのかを押さえる事が必要です。
意見を言う勇気は、何でも口にする事ではありません。
相手や組織を思う理由を添え、必要な局面で言葉にする。そして、後でも話せる場面では一度引く。
その判断を一つずつ重ねる事で、自分の意見は少しずつ伝わりやすくなっていくのだと思います。
田村陽太(社会保険労務士/株式会社サンキャリア 代表)
「働くをもっと自由で楽しく」をテーマに、国内人事労務管理を中心に、海外人事・労務を専門とする社労士として活動しています。 労務顧問・ポッドキャスト配信支援・経営や人生相談など、お気軽にご相談ください。
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