脂肪吸引の広告を見るたびに、私が気になってしまうこと
SNSで脂肪吸引の広告を見かけると、つい見てしまうことがあります。「腰のここのお肉、なくなったらいいな」と思う気持ち、私にもあります。でも管理栄養士として長く患者さんの体を見てきた立場からすると、少し気になることがあります。
広告を見るたびに、ちょっと引っかかってしまう
スマホでSNSを見ていると、たまに脂肪吸引の広告が流れてきます。「一度の施術でリバウンドしにくい」「脂肪細胞ごと取り除くから、効果が持続」といった言葉を見るたびに、ちょっと心配になってしまうんですよね。
気になるのは、見た目がすっきりしたあと、体の中で何が起きているか、ということです。
皮下脂肪だけ取り除いたら、体の中はどうなるのか
脂肪吸引で減らせるのは、お腹周りにある「皮下脂肪」です。もし普段の食事でエネルギーや脂肪を摂りすぎている状態が変わらないまま、この皮下脂肪だけを取り除いたとしたら、どうなるでしょうか。
行き場を失った余分なエネルギーや脂肪は、内臓周りに溜まりやすくなります。脂肪吸引後に運動習慣がない場合、内臓脂肪が約10%増加したというデータがあります※1。さらに、肝臓や膵臓など臓器の中に脂肪が蓄積することもあり、これを「異所性脂肪」といいます。
異所性脂肪が蓄積すると、インスリンというホルモンが効きにくくなります。インスリンは血糖値をコントロールする大事なホルモンなので、効き目が悪くなると、動脈硬化や2型糖尿病のリスクが高まってしまうんです※2。外見はすっきりしているのに、体の中では脂肪が変なところに溜まっている。そう考えると、ちょっと心配になってしまうんです。とはいえ、この研究では脂肪吸引後に運動習慣をつけたグループでは内臓脂肪の増加が抑えられたことも報告されています。見た目が変わったタイミングを、食事や運動を見直すきっかけにできれば、体の内側にも良い変化が起きてくるかもしれません。
体の見た目より、まず土台から
健康な体型を長く維持するには、食事・運動・睡眠という毎日の土台が何より大事だと感じています。私も完璧ではないけど、その土台を少しずつ整えていくことを大切にするようにしています。
参考文献
※1 Benatti FB, et al. (2012) "Liposuction induces a compensatory increase of visceral fat which is effectively counteracted by physical activity: a randomized trial." Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22539589/
※2 Neeland IJ, et al. (2019) "Visceral and ectopic fat, atherosclerosis, and cardiometabolic disease: a position statement." The Lancet Diabetes & Endocrinology. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31301983/
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