【聖なる経済学】 贈与文化とP2P経済
訳者コメント:
従来の社会は根深いところで中央集権型の管理構造を当然と見なしています。勝手にやらせてはいけない、中央が全てを把握して管理しなければいけない、さもなければ不正と犯罪がはびこってしまう。官僚組織のメンタリティは性悪説です。インターネット技術によって可能になったのがP2P(ピア・トゥ・ピア:peer-to-peer)、つまり仲介を排した直接取引で、ボトムアップで創発的な変化を起こしていく可能性を秘めていますが、インターネットという公共インフラを社会で支える仕組みがないため、その実現のために働いた人を報いるには「有料の壁」や広告だらけになってしまうのです。
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8.贈与文化とP2P経済
動機:貨幣経済の拡大は、他の形態の経済循環、特に贈与を犠牲にして実現してきました。あらゆる経済関係が有償サービスになると、私たちは身近な人々との繋がりを失い、お金を通して遠く離れた匿名のサービス提供者に依存するようになります。これが、現代社会におけるコミュニティ衰退の主な原因であり、そこには疎外感、孤独感、そして精神的な苦痛が伴います。さらに、貨幣は数値化できないものの循環と発展を促すには不向きなのですが、そのようなものこそが本当に人生を豊かにするのです。
移行と政策:幸いなことに、貨幣経済はすでに縮小し始めており、その脱成長によって贈与経済のための新たな空間ができます。インターネットは重要な点において贈与ネットワークであり、かつては制作に非常にコストがかかった情報を簡単に無償で提供できるようになりました。これは様々な形で、広告(クレイグスリストなど)、旅行代理店、ジャーナリズム、出版、音楽など、多くのサービスを贈与の領域へと押しやりました。また、贈与に基づくオープンソース制作の形も促進しました。かつては有料の仲介者や中央集権的な管理構造が必要だったものが、今では直接行われるようになりました。人々や企業は銀行の仲介なしに相互信用システムを通じて信用さえも生み出しています。一方、地域レベルでは、つながり合う自己という理想、コミュニティへの憧れ、そして全くの経済的な緊急性から、人々は贈与に基づくコミュニティ構造を復活させようとしています。
政府は税制や銀行規制を緩和することで、今日出現しつつある新たな経済循環システムに自由な活動を促すことができます。これらのシステムが存在するコモンズ、特にインターネットは、公共のものとして維持されなければなりません。政府はまた、企業や産業のための相互信用制度を確立・促進することで、国内経済や地域経済を国際資本による略奪から守ることができます。デジタル商品については、政府は独占を解体し、P2Pソーシャルメディアのプラットフォームと分散型インターネットの開発を促進することができます。
経済生活への影響:商品、サービス、あるいはお金そのものといったニーズを、実に多様な方法で満たすようになるでしょう。対面でのギフトサークルや、オンラインでの贈与とニーズの調整によって、多くのニーズをお金を使わずに満たすことが可能になります。人々は、頼りにしているコミュニティの一員であるという感覚をより強く持つようになるでしょう。補完的なユーザー主導の信用システムとインターネットベースのP2P融資によって、従来の銀行の必要性の一部がなくなるでしょう。地域レベルだけでなく、グローバルなネットワークを介して、数値化しない新たな「承認と感謝の通貨」が出現し、社会と地球への質的な貢献を結びつけ、報いるでしょう。
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ご覧のとおり、私が説明した8つの要素はすべて密接に相乗効果を発揮します。実際、どれも単独では成り立ちません。例えばマイナス金利通貨は、他の経済レントの源が存在し、そこに投資可能である限り機能しません。経済の地域化は、グローバル貿易を経済的に成り立たせている隠れた補助金の撤廃に大きく依存しています。贈与経済は、たとえ経済が縮小しても生活の質を向上させることを可能にします。
本書の第2部で述べた神聖な経済の様々な要素は、一体となってタペストリーを織り成し、今日、その出現を目の当たりにできる有機的な基盤を形成します。新しい経済は、新たな出発点から、古いものの一掃と再出発から生まれるのではなく、むしろ相転移、つまり変容なのです。
どの神聖な経済の要素も単独では成り立たないのと同じように、それぞれの要素は互いに自然に影響し合います。しかし、もし要となる要素があるとすれば、それは成長の終焉であり、人類が地球との新たな関係、すなわち新たな「人々の物語」へと移行することです。究極的には、地球のパートナーでありたいという私たちの新たな願望、そしてすべての存在の唯一性と繋がりに対する、私たちが新たに見出したスピリチュアルな認識こそが、「聖なる経済学」と私が呼ぶものの根底にあるのです。
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原文リンク:https://sacred-economics.com/sacred-economics-chapter-17-summary-and-roadmap/
