「迷惑かな」と、すぐ思う。
人に連絡しようとして、
手が止まる。
今、忙しいかな。
こんな時間に送ったら、
迷惑かな。
そう思って、
送るのをやめる。
何かをお願いしようとして、
口が止まる。
こんなこと頼んでいいのかな。
そう思って、
ひとりで抱える。
誰かと話していて、
帰り道にひとりで思う。
話しすぎたかな。
迷惑だったかな。
「迷惑かな」は、
心の中の口癖になっていた。
声には出さない。
ただ、
何かするたびに、
そこに戻ってくる。
ある夜、
友人からメッセージが来た。
「頼ってくれていいよ」
画面を見たまま、
しばらく動けなかった。
頼ることが、
迷惑じゃないのか。
そんな当たり前のことが、
すぐには信じられなかった。
「迷惑かな」と思うとき、
私は相手のことを想像している。
相手の時間を。
相手の気持ちを。
相手の負担を。
いつも先に、
相手のことを考えている。
でも気づいた。
相手の気持ちは、
何度も想像するのに。
自分の気持ちは、
聴こうとしていなかった。
迷惑をかけないために、
自分が我慢する。
それがいつの間にか、
当たり前になっていた。
「迷惑かな」と思う心は、
やさしさだと思う。
ただ、
そのやさしさの向く先に、
自分がいなかった。
「迷惑かな」と思う瞬間がきたとき
少しだけ、
自分にも聴いてみる。
本当は、どうしたい?
その声を、
聴かなかったことにしなくていい。

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