こんな税理士コンサルは要らない~決算書だけ見て会社を潰すアドバイス~
税理士さんが、税務申告だけでは食べていけない時代になりました。
最近は、
「社外CFOになりましょう」
という広告もよく見かけます。
経営者を支援したいという考え方自体は、とても素晴らしいことだと思います。
でも、私は少し心配しています。
先日、社員5人を雇っている経営者の知り合いから相談を受けました。
顧問税理士さんが決算書を見ながら、
「利益率を上げるために、労働分配率を下げましょう。」
とアドバイスしたそうです。
私は思わず、
「えっ?」
となりました。
教科書としては、間違っていません。
人件費が下がれば利益率は上がる。
数字だけ見れば、その通りです。
でも、その会社の現場を知っているのでしょうか。
その会社は、人手不足に悩みながら事業を続けています。
社員一人ひとりが重要な戦力です。
そんな会社で人件費を削ればどうなるでしょう。
社員のモチベーションは下がるかもしれません。
待遇が悪くなれば、退職する人も出てくるでしょう。
採用もしにくくなります。
社員が辞めれば、残った社員の負担はさらに増えます。
サービスの品質が落ち、売上にも影響するかもしれません。
結果として、利益率どころか会社そのものが苦しくなってしまいます。
経営は、決算書だけではできません。
数字は「結果」です。
その数字が生まれた背景には、
人がいて、
組織があり、
お客様がいて、
競合がいて、
社長の想いがあります。
そこを見ないまま数字だけを改善しようとしても、本当の経営支援にはなりません。
私は28年間、パナソニックでプロジェクトマネジメントに携わってきました。
松下幸之助の直轄部隊で、多くのプロジェクトを経験しました。
そして独立後は、8,000人以上の性格分析と、5,500人以上の経営者との1to1を通じて、多くの会社を見てきました。
会社は、人で決まります。
数字はもちろん大切です。
でも、その数字をつくっているのは人です。
だから私は、数字を見る前に、人を見ます。
AI時代になれば、財務分析はますます簡単になります。
利益率。
粗利率。
労働分配率。
損益分岐点。
こうした数字は、AIが瞬時に分析してくれるでしょう。
だからこそ、人を見て判断する力が、これまで以上に重要になります。
現場を理解する。
社長の考えを理解する。
社員の状況を理解する。
その上で数字をどう改善するかを考える。
そこに、本当のコンサルティングの価値があります。
私はこれから、「なんちゃってコンサル」が増えるのではないかと感じています。
資格を持っていることと、経営を支援できることは別です。
知識があることと、現場で成果を出せることも別です。
だから経営者には、
「何を教えてくれる人か」ではなく、
「自社を理解した上でアドバイスしてくれる人か」
という視点で、相談相手を選んでいただきたいと思います。
経営は、数字だけではありません。
会社を成長させるのは、数字の向こう側にいる「人」です。
