見出し画像

朝倉海は本当に「手を骨折しやすい」のか? 右親指の負傷から考える格闘家の拳

朝倉海は「手の骨折」が多い? 右親指骨折から考える、壊れやすい拳の理由

朝倉海選手が、2026年8月29日の試合後、右手の親指について「折れてるかも」と明かしました。

中国・上海で行われたUFCの試合では、アオリ・チロン選手に2RでTKO勝利。

ところが試合から一夜明け、自身のYouTubeで右手を痛めたことを報告。

右親指について「折れてるかも」と話し、腫れた右手も公開しました。

ここで気になるのが、「朝倉海は、そもそも手の骨を折りやすい選手なのでは?」ということです。

結論から言えば、「手の骨折が繰り返されているのは事実。ただし、それだけで“骨が弱い”とは言えない」という見方が妥当です。

過去にも右手を何度も負傷している

朝倉海選手の手の怪我を振り返ると、かなり印象的です。

2021年9月のRIZINでは、アラン・ヒロ・ヤマニハ戦の試合中に右拳を負傷。

病院で検査した結果、

・右親指の付け根を骨折

・その周辺にもヒビ

が確認されました。

本人によれば、最初に拳を痛め、その痛みをかばいながらパンチを打ったことで親指の付け根に負担がかかったと説明しています。

さらに、その後の2021年大みそか。

今度は右手の人差し指側の中手骨を骨折。

しかも、これは9月に負傷した親指付近とは別の場所でした。

本人の説明では、以前にも右手の中手骨を骨折しており、金属プレートが入っていた部分の下で再び骨折したとされています。

そして2022年にも右拳の故障が再発し、手術を受けています。

つまり、「一度だけ手を骨折した選手」ではありません。

右手については、かなり長い期間にわたって負傷歴があります。

では、本当に「骨が弱い」のか?

ここが一番重要です。

骨折が何度も起きているからといって、「朝倉海は骨が弱い」と判断することはできません。

なぜなら、朝倉選手は一般の人とは手にかかる衝撃がまったく違うからです。

MMA選手は、練習でも試合でも、

・パンチを打つ

・相手の頭部を殴る

・相手の肘や肩など硬い部分に当たる

・パンチをブロックされる

・組み技で手をひねられる

・転倒して手をつく

といった動作を繰り返します。

つまり、「骨折する可能性のある衝撃を、普通の人より何倍も受け続ける」環境にいるわけです。

特に「拳」は壊れやすい

パンチは、単純に考えると、「腕を振って相手を殴る」だけに見えます。

しかし実際には、手にはかなり大きな負荷が集中します。

拳を握った状態で相手に衝突すると、

手首

手の甲

中手骨

という形で衝撃が伝わります。

そして問題になるのが、「相手のどこに当たったのか」です。

理想的に拳が当たればいい。

しかし、試合では相手も動きます。

頭が動く。

身体が動く。

腕で防御する。

肘が出てくる。

その瞬間に拳の角度が少しズレるだけでも、手にかかる負荷は変わります。

「強く殴れる人」ほど手を壊すことがある

ここも格闘技の面白いところです。

パンチ力が強い選手だから、「手も強い」とは限りません。

むしろ、パンチの威力が大きいほど、当たり方を間違えたときに自分の手にも大きな負荷が返ってくるという側面があります。

たとえば、ハンマーを想像してください。

ハンマーで硬いものを叩けば、当然、叩かれた側だけでなくハンマー側にも衝撃が返ってきます。

パンチも同じ。

拳が「武器」である一方、拳そのものも衝撃を受ける「身体の一部」です。

朝倉海の場合、さらに難しい問題がある

朝倉選手の過去の怪我を見ると、「同じ場所を何度も簡単に骨折している」だけではありません。

親指付近。

人差し指側の中手骨。

過去に骨折してプレートが入っていた部分。

など、複数の場所に問題が起きています。

ここから考えられるのは、「右手そのものに長期間のダメージが蓄積している可能性」です。

もちろん、外部から骨密度や現在の骨の状態を確認できるわけではありません。

したがって、

「骨が弱い」

「骨密度が低い」

と断定することはできません。

もう一つ重要なのが「古傷」

格闘家にとって、一度大きく壊した部位は完全に元通りとは限りません。

骨折そのものが治っても、

・関節の動き

・筋肉や腱の状態

・握力

・パンチのフォーム

・衝撃の逃がし方

などに影響が残ることがあります。

特に手は非常に細かい骨と関節で構成されています。

だから、「レントゲン上は治った=以前とまったく同じ状態」とは必ずしも言えません。

朝倉選手の場合、以前の右手の骨折歴があるため、今回の怪我を考えるうえでも無視できないポイントです。

「拳を壊してでも殴る」スタイルの代償

朝倉海選手の魅力の一つは、強烈な打撃です。

相手を一気に倒しにいくパンチ。

そこには当然、大きなリスクもあります。

パンチを当てる瞬間、「自分の拳を絶対に壊さない」ということだけを考えていたら、そもそも強烈な攻撃を出せない場面もあります。

もちろんトップ選手は、

・拳の握り方

・手首の角度

・当てる位置

・距離

・タイミング

・グローブ

・テーピング

などを徹底的に管理しています。

それでも、試合中の一瞬のズレまでは完全にはコントロールできません。

だからMMAでは、強い打撃を持つ選手ほど手の怪我が問題になることがあります。

今回の右親指骨折は「また手か」という意味では重い

今回、試合には勝っています。

しかもTKO勝利。

しかし、その代償として右親指を痛めた可能性が出てきました。

これは朝倉選手にとって決して小さな問題ではありません。

なぜなら、親指は拳を握るときにも、手を支えるときにも重要だからです。

親指が痛ければ、「強く握る」という基本動作そのものに影響します。

パンチだけではありません。

組み技。

相手の身体をつかむ動作。

グローブをつけた状態での手の固定。

日常生活。

こうした部分にも影響します。

ただし、今の段階で「また骨折した」と断定するのは早い

ここは注意したいところです。

現時点で報道されているのは、朝倉選手本人が「折れてるかも」と話している段階です。

つまり、正式な検査結果が出るまでは「骨折確定」とは言えません。

腫れている。

痛みがある。

動かしにくい。

これだけでは、骨折以外にも打撲や靭帯・腱などの損傷の可能性があります。

そのため今後、

「右親指のどの骨なのか」

「骨折なのかヒビなのか」

「ズレがあるのか」

「手術が必要なのか」

が重要になります。

朝倉海は「手が弱い」のではなく「手を酷使する選手」

ここまでを整理すると、朝倉海選手について、

「骨が弱い選手」

と単純に考えるのは適切ではありません。

むしろ、「非常に強い打撃を武器にしてきた結果、右手に何度も大きな負荷がかかっている選手」と考えたほうが自然です。

過去にも右拳の骨折を経験し、その後も右手の中手骨を骨折するなど、手の怪我が繰り返されてきたことは事実です。

だから今回の親指の負傷も、「また手を壊した」

という一言だけでは片付けられません。

むしろ注目したいのは「今後どう戦うのか」

朝倉海選手にとって重要なのは、「手を怪我したこと」より「怪我を抱えた状態で今後どう打撃を組み立てるか」かもしれません。

パンチの打ち方を変えるのか。

拳への負担を減らすのか。

蹴りを増やすのか。

組み技を増やすのか。

距離を変えるのか。

あるいは、今まで通り強烈な右を武器にし続けるのか。

ここには選手としての大きな判断があります。

まとめ

朝倉海選手は、過去に右手の骨折を複数回経験しています。

2021年には右親指の付け根を骨折。

その後、人差し指側の中手骨も骨折。

さらに右拳の故障が再発し、手術に至った経緯もあります。

そして2026年8月、再び右親指の負傷を本人が明かしました。

ただ、「だから朝倉海は骨が弱い」とは言えません。

むしろ、「強烈なパンチを武器に、長年にわたって右手へ非常に大きな負荷をかけ続けてきた」と考えるべきでしょう。

格闘家にとって拳は最大の武器。

しかし同時に、一番壊してはいけない武器でもあります。

朝倉海選手の場合、今回の右親指の状態がどうなのか。

そして、過去に何度も負傷してきた右手をどう守りながら、あの強烈な打撃を維持するのか。

そこが、今後のキャリアを見るうえで非常に重要なポイントになりそうです。

最後まで読んで下さりありがとうございます。
            武マーシャルアーツ


いいなと思ったら応援しよう!