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【日常×DIY】「安上がりだから」は勘違い。コスパの悪くても【自作】をあえて続ける、本当の理由




1. はじめに:「手作り=節約」だと思っていませんか?

こんにちは、シュガーです。

キャンプ用のタープを縫ったり、木材で収納棚を作ったり。私がこうした手作り(DIY)の記事を投稿すると、よくこんな声をいただきます。 「お店で買うより安く済んで、節約になりますね!」

確かに、一見すると材料費だけで済むので安上がりに思えるかもしれません。しかし、もしあなたが「安く済ませるため」だけにDIYを始めようとしているなら、私は全力で止めるでしょう。

なぜなら、節約を目的にしたDIYは、まったく割に合わないからです。

今回は、安くて質の良いものがいくらでも買える現代において、なぜ私が時間と手間をかけてまで「道具の自作」や「工夫」を続けるのか。その本当の理由と、手を動かすことで見えるようになる「新しい世界」についてお話しします。

2. 正直な話、手作り(DIY)はコスパが最悪である

現代は、完成品が安く溢れている時代です。100円ショップに行けばそこそこの道具が手に入り、ネットを探せば質の良い中古品がいくらでも転がっています。

対して、一つの道具を自作しようとすると、どうなるか。 材料を集めるためにホームセンターを歩き回り、専用の工具を買い揃え、慣れない加工に四苦八苦する。失敗して材料を無駄にすることもあります。

自分の時給(労働時間)や準備の手間を計算に入れたら、「Amazonや海外通販で安い完成品をポチッと買ったほうが、圧倒的に安くて楽」なのが現実です。

では、なぜわざわざ自分で作るのか。 それは、完成された道具を自分の手で「因数分解する」という過程そのものに、とてつもない価値があるからです。

3. 完成品を「因数分解」する:命を預けるギアの自作

お店で売られている「完成品」は、きれいな箱に入った魔法の道具のように見えます。しかし、自分で作ろうとすると、その魔法の箱を開けて、中身の仕組みを一つ一つ解き明かしていくことになります。

例えば、私が沢登りやクライミングで愛用している「自分を岩壁に繋いでおくための命綱(セルフビレイコード)」があります。この分野では、ペツルというメーカーの「コネクトアジャスト」という素晴らしい名作道具があります。

この高価な完成品をじっくり観察し、構造を分解していくと、実は非常にシンプルな物理法則の組み合わせでできていることに気づきます。

  1. 落下衝撃を吸収する「ロープ」

  2. 摩擦を利用して長さを調整する「金属パーツ」

必要な要素は、たったこれだけです。 この仕組みさえ分かってしまえば、別のメーカーの金属パーツと切り売りのロープを用意し、自分で頑丈な結び目(エイトノット)を作るだけで、メーカー品と同じ仕組みの道具を自作できてしまいます。

「この部分はなぜこの形なのか?」「どうやって力を逃がしているのか?」。 この「調べる・集める・作る」という過程を経験すると、自分の中で何かが劇的に変わります。

4. DIYだけじゃない。メンテナンスや料理でも「解像度」は上がる

実は、この「因数分解」は、ゼロから道具を作る時だけに起こるものではありません。

例えば、泥だらけになった登山靴やレインウェアを、洗剤の成分や生地の特性を調べて「自分でメンテナンス(手入れ)」してみる。 あるいは、毎日の「料理」で、なぜこの順番で炒めるのか、なぜこの温度で焼くのかを考えてみる。

これらもすべて、完成されたものの裏側にある「仕組み」や「構造」を紐解く行為です。 一度でも自分の手で仕組みを解き明かしてみると、それ以降、街を歩いていても、お店で商品を見ていても、見え方が全く変わってきます。

これまではただの「便利な物」や「美味しいご飯」として見過ごしていた完成品に対して、素材、加工法、機能といった裏側の工夫が透けて見えるようになります。気になることが増え、考え、学ぶことが日常の至る所に転がっていることに気づくのです。

これが「世界の解像度が上がった」状態です。

5. 解像度が生む3つの大きな恩恵

この解像度の高さは、単なる知識欲を満たすだけでなく、アウトドアや日常において非常に実用的な恩恵をもたらします。

① 限界を知り、安全を管理する能力
道具の構造や仕組みを理解している人間は、「どこに力が集中するのか」「どこが擦り減ったら危険なのか」が手に取るようにわかります。 「メーカーが保証しているから絶対に安全」と盲信するのではなく、「どのような条件が重なったらこの道具は壊れるのか」という限界値を自覚できるようになります。これが、自然の中で自分の命を守る最大の安全装置になります。

② 「ブランドの正体」と、お金を払う本当の理由がわかる 
自分で苦労して作ったり手入れしたりするからこそ、市販品の凄さが身に染みてわかります。と同時に、「ブランド」というものの正体がはっきりと見えるようになります。

ブランドとは、単なる名前の響きや高級感ではありません。 「洗練されたデザイン」「過酷な環境でも壊れない耐久性」、そして何より「いつ、どこで買っても同じ品質であるという、ばらつきのなさに対する『信用』」です。

仕組みがわかると、買い物をする時の基準が変わります。 「自分は今、このブランドが約束してくれる『確実な信用』に対してお金(価値)を払っているのか? それとも、信用以外の部分(単なる機能や見た目)にお金を払っているのか?」

命を預ける道具や、絶対に失敗できない場面では、その「信用」に高いお金を払う価値があります。逆に、少しの工夫で代替できる日常の道具なら、自分で作ればいい。この冷静な切り分けができるようになることこそが、最大の恩恵です。

③不具合や不満の原因と、対策がわかる 
様々な道具の構造や現象に対しての理解が積みあがると、その良い点や悪い点への理解も深まっていきます。

いざ、自分の道具に不具合や不満が出た時、何もわからなければ「道具が悪い」で終わるかもしれません。
しかし、積みあがった知見を通して不具合を見れば、本当の原因と効果的な対応が自ずと見えてきます。

この視点を得る最短の方法が、自作なのです。


6. おわりに:不便さを楽しむという最高の贅沢

お金を出せば何でも手に入る時代だからこそ、あえて時間をかけて不格好な道具を手作りしたり、自分で手入れをしたりする。 それは「コストダウン」ではなく、「知識と経験という一生の資産」を手に入れるための最高の投資であり、大人の贅沢な遊びです。

「ここが少し使いにくいな」と思う道具があれば、最初は簡単なもので構いません。ホームセンターや100円ショップの端材を使って、自分の手で工夫を凝らしてみてください。 手を動かした後に見る世界は、きっと今までよりもずっと面白くて、ワクワクするものに変わっているはずですよ!


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