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【日常×危機管理】登山は「TRPG」である。能力・ダイス・ロールの視点から紐解く、安全登山の行動学


1. はじめに:TRPGの「立ち回り」は、登山の危機管理そのものだった

こんにちは、シュガーです!

皆さんは「TRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)」をご存じでしょうか? 近年、YouTubeなどの「リプレイ動画」で爆発的な人気を集めているエンターテインメントで、私も観たり遊んだりするのが大好きな趣味の一つです。

TRPGとは、プレイヤーが自分のキャラクターを作成し、サイコロ(ダイス)の出目と、言葉による行動(ロール)によって、用意されたシナリオ(物語)のクリアを目指す会話型の心理ゲームです。

実はこのTRPGの世界観と仕組みを観察していると、ある面白い事実に気づきます。 それは、「TRPGにおけるクリアのための考え方は、山で事故を起こさずに無事帰ってくるための安全管理と、全く同じ構造をしている」ということです。

「体力や技術を鍛えること」「運任せの危険を避けること」「仲間と助け合うこと」——。 今回は、TRPGのシステムを切り口に、山で絶対に遭難しないための「賢い立ち回り」について論理的に紐解いていきます!


2. TRPGと登山を繋ぐ「4つの基本要素」

TRPGがなぜ登山の安全管理の役に立つのか。まずは、両者に共通する4つの要素を整理してみましょう。

① ステータス(キャラクターメイク=体力・技量・装備・知識)

TRPGでは、キャラ作成時に筋力や知力などの「ステータス」を設定します。 ステータスが高いキャラクターは、多少サイコロの出目が悪くても、高い基礎能力でトラブルをカバーできます。

登山も全く同じです。日頃から体力を鍛え、正確な歩行技術や適切な装備、気象の知識(=ステータス)を身につけている人は、急な悪天候やルートの荒れ(=悪い出目)に見舞われても、安全マージンを持って乗り越えることができます。 逆に、ステータスが低い状態で難しい山に挑むと、悪天候などのわずかなトラブルで一発アウトの厳しい条件判定を突きつけられることになります。

② ダイス(確率=大自然の不確定要素)

TRPGでは、行動の成否をサイコロ(ダイス)で決めます。 山におけるダイスとは、落石、突然の突風、土砂崩れ、急な体調不良といった「自然界の不確定要素(運)」です。

どれほど高レベルなベテランであっても、最悪の目(ファンブル=大失敗)を引き当ててしまえば、命に関わる事態に陥ります。 大自然というゲームマスターの前では、「100%安全なダイス」など存在しないのです。

③ パーティ(仲間との連携)

一人ではクリアが難しい高難易度のシナリオも、得意分野の異なる仲間と「パーティ」を組むことで、生存率は一気に跳ね上がります。

歩行ペースを維持するのが得意な人、観天望気やルーファイが得意な人、応急処置やロープワークに長けた人——。 お互いの苦手な技能を補い合い、パーティー全体の「総力」を引き上げることで、単独行では登れないような山でも安全にクリアできるようになります。

④ ロール(行動と選択=リスクコントロール)

TRPGにおいて最も重要とされるのが、サイコロを振る前の「ロール(プレイヤーの選択と発言)」です。 優秀なプレイヤーは、「いかに難しいダイスを振らずに済むか」「どうすれば有利な条件で判定に臨めるか」を、頭を使った行動で演出します。

山においても、最も大切なのはまさにこの「ロール(選択)」です。 「天候が怪しいから引き返す」「危険な岩場の手前でセルフビレイを取る」「前日に事故報告書を読んで危険箇所を把握しておく」「そもそも山に行くことをあえてやめる」——。 これらすべての適切なロールが、命を落とす危険なダイスを振り下ろす瞬間を、未然に消し去ってくれるのです。


3. なぜベテランでもファンブル(大事故)を起こすのか?

ここで、過去に私が直面した実例をお話しします。

かつて私の仲間が、クライミングのメジャーな岩場である「兜岩」で滑落し、腕を複雑骨折する大事故を起こしました。 事故を起こした本人は、非常に腕の立つ熟練のクライマーでした。ステータス(技術)は十分に高かったのです。

しかし、難易度の高くないルートの終了点間近で、「もう大丈夫だろう」と油断し、セーフティクリップをすぐ行うという「安全なロール」を省いてしまいました。 その結果、「足元の小さなスリップ」と「途中のカムがすべて外れる」という確率のダイスで最悪の目(ファンブル)が出たとき、グラウンドフォール(地面への激突)という最悪の結果を招いてしまったのです。

どんなにステータスが高いベテランでも、「運任せのダイスを振る回数」を増えてくれば、確率論としていつか必ずファンブルを引き当てます。

「自分は上手いから大丈夫」と過信せず、「いかにダイスを振らずに済む立ち回り(ロール)ができるか」に全力を注ぐことこそが、真の熟練者の証なのです。


4. 安全なロールを身につける唯一の方法:先人の「リプレイ」を真似る

では、どうすれば山の中で「命を守る正しいロール(選択)」ができるようになるのでしょうか?

TRPGの上達法の一つに、「上手いプレイヤーのプレイ動画(リプレイ動画)を見る」というものがあります。 巧みなプレイヤーがどのような場面でどういう判断をし、どうやって危機を回避したかを見ることで、自分の立ち回りの引き出し(ノウハウ)が増えていくのです。

登山も全く同じです。 自分一人の狭い経験だけで判断しようとすると、どうしても「自分の都合の良い思い込み(勘違い)」に頼ってしまいます。

そうではなく、

  • 先輩方の実際の立ち回りを見る

  • 登山書籍や専門書で安全技術を学ぶ

  • 過去の事故報告書や山行記録(=先人のリプレイ)を読み込み、「どこで選択を誤ったのか」をシミュレーションする

このように、「先人たちが血と汗で書き残してくれた安全なロール(行動の型)を徹底的に学び、真似すること」。 これこそが、大自然という広大なゲームの世界で、大切な相棒や自分自身の命を100%守り抜くための、最も確実で賢い攻略法なのです。


5. まとめ:あなたは今日、どんな「選択(ロール)」をしますか?

山歩きは、単なる体力の切り売りではありません。 自分の持てるステータスを把握し、天候や環境という不確定要素を読み解き、先人の知恵を借りて最適な「選択」を重ねていく、極めて知的でワクワクする冒険です。

次回の山行前、準備を整えるときにぜひ一度、自分の胸に問いかけてみてください。

「今の自分のステータスに合った山選びができているか?」 「不必要な危険のダイスを振ろうとしていないか?」 「先人たちの安全なロール(立ち回り)を、準備段階でイメージできているか?」

自分の「選択」一つで、山の危険はいくらでもコントロールできます。 最高に安全で、最高に楽しい冒険のクリアを目指して、賢い山を楽しんでいきましょう!


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