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【登山×岩場】槍ヶ岳の前にクライミングジムに行くべきか?「1〜2回の体験」で十分な理由と、安全な環境で得る3つの絶対感覚




1. はじめに:憧れの岩峰を前にした「恐怖心」

こんにちは、シュガーです。

長く登山を続けていると、いつかは槍ヶ岳や剱岳といった、岩が連続する険しい山(岩稜帯)に挑戦してみたいと思うようになりますよね。

しかし同時に、「自分にあの険しい岩場が登れるだろうか」「滑落したらどうしよう」という強い不安を抱く方も多いはずです。

その結果、私のところにもよくこんな相談が寄せられます。

「岩場の練習のために、近所のクライミングジム(ボルダリングジム)に通った方がいいですか?」

結論から言いましょう。

もしあなたが「登山の岩場を安全に通過するため」にジムを検討しているなら、何ヶ月も通い詰めて難しいコースを登れるようになる必要は全くありません。

しかし、「たった1〜2回だけ、体験としてジムに行ってみること」は、岩場での安全性を劇的に高めるために強く推奨します。

今回は、登山の岩場とジムの壁の決定的な違いと、たった数回のジム体験で得られる「3つの劇的な効果」について解説します。

2. 現実:登山の岩場は、ジムの「一番簡単なコース」よりも低い

「クライミングジムに行けば、山の岩場なんて楽勝になるはずだ」 そう思ってジムの扉を叩く人は多いですが、ここで一つ、安心できる事実(現実)をお伝えします。

実は、槍ヶ岳や剱岳の一般登山道に出てくる岩場の難易度は、クライミングジムに設定されている「一番初心者向けの簡単なコース(ガバガバの持ちやすい石が並んだコース)」よりも、同等、もしくはレベルが低い(簡単)のです。

クライミングレベルの参考 劔岳や槍でも5.4~5.6くらい


ジムの壁は、意図的に登りにくく作られたスポーツの環境です。一方、山の一般登山道は、あくまで「歩いて通過できる」ように鎖やハシゴが整備された道です。

例えるなら、ジムは「SASUKEのようなアスレチック」であり、山の岩場は「手すりのついた急な階段」くらいの違いがあります。

だからこそ、ジムで指の力を鍛えたり、逆さまにぶら下がるようなアクロバティックな技術を身につけたりする必要はありません。

一般登山道の練習にジムに行く本当の目的は、筋力アップではなく、「岩場を安全に登るための『身体の使い方』を体験すること」にあります。

3. ジム体験で得られる「3つの絶対感覚」

たった1〜2回ジムに行くだけで、本番の山であなたの命を守る「3つの身体の感覚」を確実に掴むことができます。

効果①:つま先で「乗る」という感覚の体験
普通の山道では、足の裏全体を地面につけて(ベタ足で)歩きますが、急な岩場では、わずかな岩の出っ張りに足を乗せなければなりません。

ジムに行くと、専用のクライミングシューズをレンタルして登ります。この時、「足の親指の付け根(つま先)」の1点に体重を乗せて立ち上がる感覚を、壁の上で嫌というほど体験できます。

この「つま先で乗る」という感覚を一度でも身体で覚えておけば、本番の山で小さな岩の足場を見つけた時、靴のどこをどう当てれば滑らないかが直感的にわかるようになります。

効果②:「3点支持(3点確保)」の実践
登山の教科書に必ず書いてある「3点支持(手足4本のうち、3本は常に岩につけた状態で、1本だけを動かす基本姿勢)」。

これは頭で理解していても、実際にやってみると手と足が同時に動いてしまうものです。

ジムの壁では、この3点支持を意識しないとすぐにバランスを崩してしまいます。頭の理解ではなく「身体の記憶」として、確実な3点支持を強制的に学べるのが、ジムの最大のメリットです。

効果③:落ちても安全な環境での「登る体験」
これが最も重要です。 実際の槍ヶ岳の岩場や鎖場で「ちょっと登り方を練習してみよう」と思っても、下を見れば断崖絶壁です。

「滑ったら死ぬ」という恐怖の中で、冷静に身体の動かし方を練習することなど絶対に不可能です。

しかしジムには、下に分厚いマットが敷き詰められた「落ちても安全な環境」があります。

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恐怖心のない安全な場所で、手足をどう動かせば身体が上に持ち上がるのかを落ち着いて確認できる。

この経験が、本番の岩場での心のゆとりを生み出します。

4. おわりに:ジムは「予行演習」の場である

クライミングジムは、登山のための筋トレ施設ではなく、「安全なマットの上で行う、岩場の予行演習」です。

何ヶ月も通い詰めて上級コースを登る必要はありません。

週末に1〜2回、1時間ほど壁に取り付いて「つま先で乗る感覚」と「3点支持」を身体に覚え込ませるだけで十分です。

それだけで、槍ヶ岳の岩場に取り付いた時の「どう動けばいいかわからない」という不安は消え去ります。

憧れの岩峰へ行く計画を立てたら、ぜひその数週間前に、近くのクライミングジムで「予行演習」を行ってみてください。

きっと、本番の岩場が「怖いもの」から「楽しいアスレチック」へと変わるはずですよ。

5. 次の課題:岩場でシステムをフリーズさせる「恐怖」への対策

さて、ジムでの予行演習を終え、身体の使い方はバッチリ身につきました。 いよいよ本番、槍ヶ岳の岩場に差し掛かります。

足の置き方も手の使い方も完璧にわかっているはずなのに。

高度感のある断崖絶壁を見下ろした瞬間、あなたは急に身体がガチガチにこわばり、次の一手が出せなくなってしまいます。

「ジムでは簡単にできたのに、なぜ?」

実は、極限の高度感や恐怖を前にした時、人間は無意識に「呼吸を止めてしまう」という致命的な身体のクセを持っています。

息を止めて力むと、筋肉は一瞬で硬直し、せっかくジムで覚えたしなやかな動きができなくなってしまいます。

恐怖による「呼吸停止」こそが、岩場での滑落を招く最大の原因なのです。

以下の記事では、鎖場やクライミングなどの恐怖を感じるシチュエーションで、パニックを防ぎ、身体を冷静に動かし続けるための「呼吸のコントロール術」について詳しく解説しています。

岩場に行く前に、技術と一緒にこの「呼吸法」も必ずインストールしておいてくださいね。

▼ 恐怖による身体のフリーズを防ぐ、シチュエーション別呼吸法はこちら

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