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【登山×栄養】「食べない登山」は筋肉を破壊する? 脂肪を燃やす着火剤「グリコーゲン」の仕組みと効率的な補給法



1. はじめに:ダイエット目的の「我慢」が引き起こす大きな落とし穴

こんにちは、シュガーです。

「登山は信じられないほどのカロリーを消費する。だから、行動食を我慢すれば一気に脂肪が燃えてダイエットになるはずだ!」

そう考えて、お腹が空いてもグッと我慢して山を登ったり、運動をつづけた経験はありませんか?

実は昔、私も同じことを考え、行動食を極限まで減らして過酷な山行や自転車のヒルクライムに挑んだことがあります。

結果はどうだったか。脂肪が落ちてスリムになるどころか、途中で足が鉛のように重くなって一歩も動けなくなる「ハンガーノック(極度のエネルギー切れ)」に陥ってしまいました。

私はこれまで、登山や自転車で「補給を怠ったがゆえに一歩も動けなくなる」という痛恨の失敗を幾度も経験してきました。

そのたびに、下山後には大切な「筋肉」だけがゲッソリと落ちて、ただひたすらに深い疲労感と数日にわたる筋肉痛だけが残りました。

この苦い経験から、今では「ダイエット目的で登山をする(=意図的に食べない)」ということは絶対にしません。

「食べるのを我慢すれば、勝手に脂肪が燃える」という考えは、人間の身体の仕組みを完全に誤解した大きな間違いです。

今回は、身体がエネルギーを作り出す仕組みを紐解き、筋肉を落とさずに脂肪を効率よく燃やすための「正しい補給のルール」をご紹介します。

2. 身体の仕組み:巨大な「脂肪」と、着火剤の「グリコーゲン」

人間の身体が運動するとき、メインとなるエネルギー源は大きく分けて2つあります。 「糖質(グリコーゲン)」と「脂質(脂肪)」です。

私たちの体には、数日歩き続けられるほどの莫大な「脂肪」が蓄えられています。

「じゃあ、その脂肪を燃やせばいいじゃないか」と思うかもしれませんが、身体の仕組みはそう単純ではありません。

脂肪というのは、いわば「太くて巨大な薪(まき)」です。莫大なエネルギーを持っていますが、それに直接火をつけても、なかなか燃え上がってくれません。 巨大な薪(脂肪)を勢いよく燃やすためには、最初に燃えやすい「着火剤」が必要です。

この着火剤の役割を果たすのが、ご飯やパンなどの糖質から作られる「グリコーゲン」なのです。

「脂肪がエネルギーに変わるには、グリコーゲンの働きが絶対に必要である」という化学的な法則が、人体には存在します。

3. 貯蔵の限界:すぐ空になる「着火剤」

ここで問題になるのが、体内に蓄えておけるエネルギーの量です。

巨大な薪である「脂肪」は体中に無尽蔵にストックできますが、着火剤である「グリコーゲン」は、筋肉と肝臓のわずかなスペースにしか貯蔵できません。

しかも、人の体は行動の際、このグリコーゲン自体を積極的にエネルギーとして消費します。

そのため、 激しい登山の登りなどでは、この着火剤は数時間であっという間に空っぽになってしまいます

4. 恐ろしい悪循環:着火剤が切れると、体は「筋肉」を分解する

「ダイエット目的だから」と行動食を我慢し、体内のグリコーゲンが完全に尽きたまま歩き続けるとどうなるか。

着火剤(グリコーゲン)がないため、体はメインのエネルギー源である「脂肪」を燃やすことができなくなります。

しかし、山を登るためにはどうしてもエネルギーが必要です。

追い詰められた身体は、究極のサバイバル状態に陥ります。

なんと、自分の身体を作っている「筋肉(タンパク質)」を自ら分解し、無理やり糖質に変えてエネルギーとして使い始めるのです
(これを『糖新生』と呼びます)

脂肪を落としたかったはずなのに、体脂肪はそのまま残り、身体を動かすための「筋肉」が削り取られていく。

筋肉が減れば基礎代謝が落ち、結果的に「以前より太りやすく、バテやすい身体」になってしまう。

これが、食べない登山が引き起こす最悪の悪循環の正体です。
(おまけに、断食ダイエットのリバウンドの正体もこいつです)

5. 新たな落とし穴:「ドカ食い」が引き起こす急激なバテ

「なるほど、筋肉の分解を防ぐために糖質を食べればいいんだな!」と理解したところで、絶対にやってはいけない間違った補給方法があります。

それは、休憩のたびにおにぎりやパンを一気に大量に詰め込む「ドカ食い(一括補給)」です。

一気に糖質を摂ることは、身体に以下の深刻なトラブルを引き起こします。

① 血糖値スパイクによる急激な疲労感
大量の糖質を一気に摂ると、血液中の糖分濃度が急上昇します。

すると身体は慌てて血糖値を下げるインスリンを大量に分泌し、今度は血糖値が急降下します。

この乱高下によって、食後に猛烈な眠気や倦怠感に襲われ、集中力の欠如や一歩も動けなくなるというトラブルが起きます。

② 「疲労=胃腸機能の低下」の無視
ここが最も見落とされがちなポイントです。

登山の後半、全身が疲労している時、実は「胃腸の働き(消化能力)」自体も極端に弱まっています。

疲れて弱った胃腸に大量の食べ物を放り込めば、当然ながら処理しきれずに消化不良や吐き気を招き、完全にバテてしまう。

つまり、エネルギーを摂取することで、かえって疲れ果ててしまうのです。

6. 理想の補給法:疲労を見越して「少しずつ」継ぎ足す

では、筋肉を壊さず、胃腸にも負担をかけずに、効率よく脂肪を燃やし続けるにはどうすればいいのでしょうか。

答えは非常にシンプルです。

胃腸が元気なうちから、着火剤(糖質)を「少しずつ」継ぎ足し続けることです。

「お腹が空いた」と感じてからドカ食いするのではなく、30分〜1時間ごとに、アメやジェル、ドライフルーツなどの少量の糖質を意識的に口に入れる「こまめな補給」を行います。

常に少量の着火剤を供給し続けることで、弱っていく胃腸に負担をかけることなく、「脂肪という巨大な薪」をボーボーと燃やし続ける最高の燃焼サイクルをゴールまで維持できるのです。

7. おわりに:行動食は「脂肪を燃やすための投資」である

「山で食べると太る」というのは大きな誤解です。

疲労による胃腸の働きの低下を見越し、正しく、こまめに糖質を補給することこそが、大切な筋肉を守り、不要な脂肪を最も効率よく燃焼させるための「必須条件」なのです。

行動食はただのおやつではなく、あなたの身体を元気に動かし続けるための「技術」です。

次回の山行では、ダイエットの我慢を捨てて、ポケットに美味しい糖質を忍ばせ、こまめに「着火」しながら歩いてみてください。驚くほど足が軽く、下山後の回復も早いはずですよ!


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今回の記事のように、私は登山の常識に潜む「トラブル」や「思い込み」を、仕組みや構造の視点から解決する工夫を日々発信しています。足の痛みに悩んでいる方は、ぜひ以下の記事も組み合わせて読んでみてください。

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