初夏のヨーロッパ⑬コモからロカルノへ
Trenordのストの翌朝。国境を越えてスイスのロカルノに行く直通電車は、15分遅れでコモ駅を出発した。10分後、次のキアッソ駅を過ぎると、もうスイスだ(国境を越えた途端にドコモがSMSで「海外利用のお知らせ」を送ってくるから、すぐにわかる。

1時間15分で、ロカルノに着く。
クリーンな駅に併設されたインフォメーションデスクで一応地図をもらい、窓口のお姉さんに一応場所を確かめる。
駅からすぐのところにあるケーブルカーに乗り、ロープウェイに乗り継いで、マッジョーレ湖を見晴るかすCardadaを目指す。ロープウェイ切符売場のお姉さんに、Cimettaまで行かなくていいの?と念を押される。スキー場によくある2人乗りのリフトでさらに高いところまで行けるらしい。が、景色を見る時間が優先たいので、Cardada止まりにする。
ケーブルカーもロープウェイも乗車時間は5分程度だが、乗り換えや待ち時間を含めると片道45分。着いた。
まずは展望台へ。そして、息を飲むようなこの景色!!


息をのむ風景にしばらく見入った後、リフト乗り場のほうに向かう。赤いベンチが点々と置かれた緑の丘に出る。ティーンエイジャー男子が、巨大チェスで真剣勝負をしている。

リフト脇のオープンカフェのメニューを見ると、スパゲッティボロネーゼやカルボナーラが30スイスフラン。6,000円。…。

お腹はさほど空いていないので、ベンチに座って、行きのJALからお守りのように持ち歩いていた非常食(?)のおつまみパックの封を、ついに切る。スイスはアルプス山脈の麓で、柿の種とあられをポリポリと食する、この特別感(笑)。
ひなたのベンチでは、ジーンズ越しに足が焼かれるようだ。木陰に移り、リュブリャナから持ってきたシティマップをピクニックシート代わりに広げて座り、足を投げ出す。白樺の下でようやく落ち着いたところで、文庫本を開く。

鳥の声。
芝刈り機の音。
ぶーんという低重音は、おそらくリフトだ。
誰かが口笛を吹いている。
緑に吸い込まれるようなかすかな話し声は、ドイツ語?
正午を過ぎると、人が増えてきた。
さっきまでチェスをしていた男子たちは、駒を綺麗に並べ戻して去って行った。

少しひんやりしてきたので、日向に移る。一番ふかふかしてそうなところにまたマップを広げて、旅程表の入ったクリアフォルダーを頭の下に敷いて、寝転ぶ。顔を帽子で覆う。
結局Cardadaで3時間近く過ごし、名残惜しいけれど下山する。

Piazza Grande周りのお店のパスタやピザは、やはり30スイスフラン前後である。Cardadaのお店の値段は展望代ではなかった…。スイスでイタリアンを食べるのも癪なので、coopでクロワッサンとカフェラテを買ってベンチで食べる。

広場の近くの聖フランシスコ教会でしばらく過ごし、徒歩25分のカメリエ公園に向かう。

Cardadaから見下ろしたロカルノの街の真ん中を流れるマッジョ川の河口の砂州をこの目で見たかったのだ。延々歩いてたどり着いた。あいにく砂州は門で仕切られたキャンプ場からしかアクセスできないようだ。


幅広な河口では、ゆっくりとカヌーを漕ぐ人の姿があった。駅への帰り道は、途中からずっと湖沿いに続く。湖で泳いでいる人もいる。

この日も、日がな一日、湖三昧だった。見飽きないのはなぜだろう、と考えた。
私の目には、潔く真っすぐな水平線と、それを縁取る木々の緑の濃淡、さらにそれを包み込むような山並みの不定形、そして空と雲が、完璧なコンビネーションに映るのだと思う。


