【音楽文】いかしたやつらの襲来〜THE KEBABS、ライブ盤という形式が僕らにもたらしたもの〜【再掲】
※この記事は2020年4月に音楽文に投稿した文を加筆・修正したものです。
I'm busy!Sha-la-la!!
最近気づけば口ずさんでしまうのがこのフレーズ。
THE KEBABSの1stアルバム「THE KEBABS」に収録されている「THE KEBABSは忙しい」の一節である。
2020年2月26日に発売されたこのアルバムは、ライブ中心に活動していたTHE KEBABSとって、ファンが待ち望んでいた全国リリースの音源化である。
同時に初の全国ツアー「THE KEBABS 旅行 2020」も企画され、この文を書いている3月に始まる予定であった。
けれどそれは少しだけ先の話になってしまった。
新型コロナウィルスが流行し、アーティストたちが軒並みライブの中止や延期を決定するなか、KEBABSも例に漏れず開催を見合わせることになってしまった。
幸いすぐに振替日程も決まったが、先行きが見えない現状のなかで、ライブができないという事実は僕らを不安にさせるには充分すぎる出来事であった。
特に関西圏には初めて来るライブだったので、大阪に住む僕もKEBABSに会えることを楽しみにしていた。
今回の音楽文も本来であればライブレポを予定していたので、その熱量を余りなく伝えられることを目指して書き上げるつもりであった。
だが、あくまで延期というかたちであるが、この時点では両方とも叶うことはなかった。
いっそこの文も見送ってしまおうか…そう考えたこともあった。
けれど、この状況で改めてアルバムを聴いてみたとき、今までとはまた違った景色が見えてきた。
今回はそれを拙いながらも文章にしてみた。
まず、この「THE KEBABS」というアルバムの最大の特徴はレコーディングがライブで行われていることである。
年が明けたばかりの1月6日に、東京の下北沢で「THE KEBABS 録音」と銘打って開催されたライブで収録された音源を主として構成されている。
一般的にライブ音源といえば、シングルのボーナストラック的な立ち位置であったり、アルバムの特典であったり、いわゆるおまけのような扱いを受けることが多い。
それを作品の主軸に置き、あまつさえレコーディングのためのライブを行う。
現在のロックシーンの最前線としては、ありそうでなかった革新的なやり方は、結果として僕らにとても大きなものを残してくれた。
曲の前後のMCを含めて収録された音源たちは、否が応でもライブの熱量を感じさせるものになっており、一回きりしか出せないであろう歌声や演奏は唯一無二の輝きを放っていた。
それはまさしく、今僕らが求めてやまない非日常の特別な空間であった。
「恐竜あらわる」の唐突で最高な始まりも、「ホラー映画を観よう」のおどろおどろしい歌い方も、ライブ音源だからこそ成立できたものだと思う。
それに気づくと、ライブがないことに思いを馳せて、寂しさを感じてしまうけれど。
それ以上に熱量に触れられることへの嬉しさが上回ってしまうのだ。
「メリージェーン知らない」の熱い熱いシャウトも、謎のメリージェーンじゃない人のお茶目な声も、実際に会場ではどんな風だったのか…と想像するだけでワクワクしてしまう。
それは佐々木亮介(Vo.&Gt.)の裏打ちされた確かな実力と圧倒的なパフォーマンスがあってこそ成立している。
だが、熱量という部分に焦点を当てるとすれば、田淵智也(Ba.)の力も大きいように思える。
佐々木の負担を減らすため、普段やらないボーカルを田淵が担当していることも、大きな特徴であるTHE KEBABS。
ライブ音源で聴く歌声は、普段のパフォーマンス同様に熱く激しいものになっていた。
技術や魅せ方以上に、自分自身の気持ちを全身全霊に込めた歌は、僕らの心を自然に震わせた。
冒頭で触れた「THE KEBABSは忙しい」では、おそらく音源よりも3割増で激しくなったであろうベース音での幕開けとともに、全力で絞り出した田淵の叫びにも似た歌声が響きわたる。
特に"関係ないことなんて 気にできない"の部分では、彼の心情に通ずる部分もあったのか、より鮮明に耳へ伝わってくるような歌声であった。
本来はライブで余すことなく感じ取るものではあるが、その一端を音源から触れることができるのは、今は何より喜ばしいことだと思う。
このアルバムのジャケットも、レコーディングのライブで撮られたものである。
現状、THE KEBABSで最後に行われたワンマンライブだ。
演者の熱量、観客の熱量、そしてスタッフの熱量が伝わってくるこのジャケットは、彼らと会える日を待ちわびている人たちの心を逸らせる。
けれど何も未来が見えないこの現状で、その熱量だけが今の僕らの心を照らしてくれる灯火になると信じている。
"いかしたやつら"がこの地に襲来することはまだ叶わないが、音楽という別のカタチになって、確かに僕のなかに足を踏み入れてきた。
「THE KEBABSは暇だった」なんてデモCDを作ってしまうぐらいに、時間を持て余している彼らではあるが。
待ってるだけで終わらないその"熱量"は、少しずつ…だけど確かに、僕らのもとへ向かってきている。
見えないゴールにいつかはたどり着く。
この日々を生きていくことが、僕らに今できる最善だと信じて、歩みを止めないことが大切なんだろう。
いつか出会えたときに、ライブの熱さを全て受け止められる準備だけはしておこう。
きっとその先には、途方もない幸せが待っているはずだから。
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というわけで、音楽文の再掲企画です。
今回はTHE KEBABSについての記事となりました。
ちょうどここら辺からコロナが猛威を奮ってた時期ですね。
これまで関東でのライブがメインで活動していたTHE KEBABSが、初の全国リリースの作品を発売し、そのまま各地でライブをするということで、当時の僕も楽しみにしていた記憶があります。
しかし、前述の通り、新型コロナウィルスの流行によってライブは延期となり、そのまま目処が立たずに中止となってしまいました。
僕にとっても、初のケバブスだったので、楽しみにしていたのですが、結局リベンジできたのは冬ごろだったかのように記憶しています。
ただ、このライブを音源にするという試みのおかげで、不思議と残念さは少しだけ和らいだようにも思えました。
そんな懐かしい出来事も思いを馳せながら、次回以降のしばらくは社会全体の情勢も鑑みた内容が増えていくと思います。
とはいえ、そこまで陰鬱な内容ではなかったはずなので、気負わずに読んでいただけると嬉しいです。
では、今回はここまで!
次回もご期待ください。
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