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第2回取引前に見るデータの読み方:業種別騰落率と売買代金 ─ 買う前に確認する3つのデータ【株式投資】

全5回シリーズの第1回はこちらへアクセス:

日経平均が上がった日に、自分の持ち株だけが下がっている。

投資を始めて半年もすれば、たいていの人が一度は経験します。ニュースは「日経平均が273円高」と伝えているのに、証券口座を開くと評価額が減っている。何かを見落としている気がするけれど、何を見ればいいのかが分からない。

この記事を読む前:指数を見て一喜一憂している状態です。日経平均が上がったのに
自分の株が下がっていると、理由が分からないまま不安になる。株価が上がった銘柄を
見つけても、それが続くのかどうか判断がつかない。買ってから「どこで売ろうか」
と考え始めて、決められないまま含み損を抱える。
この記事を読んだ後:指数を開いて中身を見られるようになります。上がった株を見たときに
「その上昇は本物か」を判定でき、「上値に何が待っているか」を先に知れる。
そして買う前に降りる場所を決めているので、下げたときに動けます。

前回は、どの投資商品を扱うにも共通して見る数字を扱いました。
日経VI、先物と現物の差、金利。市場全体の温度を測る数字でした。

今回は、その温度計から一歩中に入ります。指数という一本の数字を開くと、中身はまったく均一ではありません。同じ日に、上がった業種と下がった業種が同居しています。自分の持ち株がどちら側にいたのかは、指数を見ているかぎり分かりません。

個別の株を買う前に見る数字を、三つに絞ってお伝えします。
業種別騰落率、売買代金、信用残です。

この記事であなたの投資判断はどう変わるのか?
指数だけを見ていると、自分の株がなぜ動いたか分かりません。買われた業種、入ってきたお金の量、そして上値で待っている売り。この三つを見る習慣がつくと、買う前と後の判断が変わります。
この記事は、その具体的な見方を示しています。

なお、この記事では特定の銘柄名は出しません。業種と規模で語ります。個別の推奨が目的ではなく、読み方を身につけていただくことが目的だからです。

この日の数字

2026年8月28日(金)の東証プライム市場です。

業種別の騰落率は、直近1週間ベースで次の通りです。

この日、日経平均は0.41%、TOPIXは0.72%上がりました。指数だけを見れば、穏やかに上げた一日です。

しかし、業種の並びを見ると、まったく穏やかではありません。

① 業種別騰落率 ─ 指数の中身を開く

なぜ指数だけでは足りないのか

日経平均は日本を代表する225銘柄の株価を平均する仕組みです。株価そのものが高い銘柄、いわゆる値がさ株の影響を強く受けます。ある一銘柄が10%動くだけで、指数が100円以上動くこともあります。

TOPIXはプライム市場のほぼ全銘柄を、時価総額で重みづけして計算します。銘柄数が多いぶん、市場全体の平均的な姿に近くなります。

つまりこの二つは、同じ市場を違う角度から撮った写真です。写り方が違うのは当たり前で、違いが大きい日ほど、市場の中身が偏っていたことを意味します。

ただ、二つを比べても「たぶんこうだろう」までしか行けません。それを事実にするのが、業種別騰落率です。

上位と下位の、両端だけ見る

東証は33の業種分類を公表しています。証券会社のアプリでも、たいてい見られます。

見るときのコツは、上位5業種と下位5業種だけを見ることです。33全部を眺めても頭に残りません。両端だけで、その週に市場が何を買って何を売ったかは十分に分かります。

この週の上位を、もう一度見てください。

サービス業、証券・商品先物、銀行業、保険業、非鉄金属。

証券、銀行、保険。金融の三業種が、揃って上位に入っています。

これは偶然の並びではありません。金融業は、金利が上がると収益が改善しやすい構造を持っています。銀行は預金と貸出の利ざやが広がり、保険は運用資産の利回りが上がります。米国の10年金利が4.72%という高い水準にあることと、この並びは筋が通っています。

前回お話しした「金利が上がると将来の利益が割り引かれる」という話の、ちょうど裏側です。割り引かれて損をする業種がある一方で、金利上昇そのものが収益になる業種がある。同じ一つの材料が、業種によって正反対の意味を持つ。これが業種別に見る最大の理由です。

立てた仮説を、データで確かめる

ここで、正直に一つ申し上げます。

前回、この日のSOX指数が3.47%下げていることから、「半導体関連が日経平均の足を引っ張ったのではないか」という見立てを立てました。日経平均には半導体関連の値がさ株が多く含まれるため、自然な推測に思えました。

ところが業種別の並びを見ると、電気機器は下位5業種に入っていません。下位に入っているのは精密機器で、しかも下げ幅は0.89%と小さい。

つまり、米国の半導体安が東京の電気機器を大きく押し下げた、という見立ては、少なくともこの週のデータでは裏付けられませんでした。

これは失敗ではなく、手順が正しく働いた例です。指数だけを見て推測を立て、業種別のデータで確かめる。確かめた結果、推測が外れることは普通にあります。外れたと分かることに価値があります。外れたまま気づかずに、その推測を前提に売買してしまうことの方が危険だからです。

なお、業種別のこのデータは1週間ベースで、指数の数字は1日分です。**期間が違うものを並べるときは、そこを意識してください。**1日の動きは週の中に埋もれます。両方を見るなら、日次で確認したうえで、週次で流れをつかむ、という使い分けになります。

上下の「幅」を見る

上位と下位の中身に加えて、どれくらい離れているかも見てください。

この週は、上位1位が+7.01%、下位1位が−1.67%です。差は8.7ポイント近くあります。かなり大きい。

ただし、ここには注目すべき偏りがあります。

上は大きく、下は浅い。上位5業種は+2.65%から+7.01%まで幅広く上げています。ところが下位5業種は、最も下げたものでも−1.67%です。33業種のうち、はっきり下げたと言えるものがほとんどありません。

これが何を意味するか。
もし市場の中でお金が移動しただけなら、買われた業種の分だけ、売られた業種があるはずです。ある場所から抜けたお金が別の場所に入るのですから、下にも同じくらいの穴が空きます。

しかし、この週は上だけが伸びて、下はほとんど凹んでいません。外から新しいお金が入ってきた形です。

指数がわずか0.41%しか上がっていない日に、この構図が隠れています。指数を見ているだけでは、絶対に見えません。


ここまでで、指数を開いて中身を見る方法をお伝えしました。金融三業種が揃って上位にいること、下がった業種がほとんどないこと。

データはどれも、市場に力が戻ってきていることを示しています。

ところが、です。

残る二つのデータのうち、三つ目だけが、はっきりと逆を向いています。
この日の買いの勢いが本物であることを裏づけるデータと、その勢いの先に何が待っているかを警告するデータが、同じ市場から同時に出ています。

ここから先は、その二つを扱います。

この続きは有料です(単品1,000円)。 第2回から第5回まで有料4本を単品で購入すると4,000円、メンバーシップβプラン(月1,000円)ならすべてお読みいただけます。


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