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第3回取引前に見るデータの読み方:ETFや投資信託と信託報酬、為替ヘッジ ─ 同じ「株式ファンド」でも、中身は別物【株式投資】

全5回シリーズの第2回はこちらへアクセス:

「株式ファンドを積み立てています」という一文は、実のところ、ほとんど何も説明していません。

同じ日本株の投資信託でも、連動する指数が違えば、同じ日に片方が上がって片方が下がります。同じ米国株の投資信託でも、基準価額が動くのは、あなたがニュースで米国株の上昇を知った日ではありません。そして円で持っているかぎり、米国の指数が下げた日に自分の資産が増えることも、その逆も起きます。

前回までは、株を一銘柄ずつ買う人のための数字を扱いました。今回は、まとめて買っている人の話です。ETFと投資信託は、初心者が始めやすい商品だと言われます。それは本当です。ただ、始めやすいことと、中身が分かりやすいことは、別のことです。

この回は、三つの分岐で構成します。
日本株の分岐、米国株の分岐、そして円建て評価の分岐です。


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この日の数字

2026年8月28日(金)の終値です。
日経平均 66,405.56(+273.59/+0.41%)
TOPIX 4,146.71(+29.49/+0.72%)
SOX(米・半導体) 11,469.66(−412.51/−3.47%)
米国債10年 4.72%(+0.048)
ドル円 160.085(+0.01)
日経VI 23.25(−17.05%)

8月27日(木)の日経平均・TOPIXの終値と前日比。この日、日経平均とTOPIXは逆方向に動きました

ここが今回の出発点です。8月27日、日経平均とTOPIXは反対方向に動きました。翌28日は両方上がりましたが、上げ幅はTOPIXの方が大きい。

つまり「日本株ファンド」を持っている人の成績は、この二日間だけでも、持っている商品によって違う結果になっています。


① 日本株の分岐 ── 「日本株ファンド」は一種類ではない

同じ市場の、違う写真

前回、日経平均とTOPIXを「同じ市場を違う角度から撮った写真」と書きました。日経平均は225銘柄の株価を平均するので、株価の高い銘柄の影響を強く受けます。TOPIXはプライム市場のほぼ全銘柄を時価総額で重みづけするので、市場全体の平均に近くなります。

写真が違うということは、その写真を買う商品も違うということです。

8月27日はそれが結果として表に出た日でした。日経225連動の投信を積み立てていた人と、TOPIX連動の投信を積み立てていた人で、その日の増減の符号が逆になっています。

一日なら誤差です。ただ、この差は積み上がります。値がさの半導体関連が牽引する相場では日経225連動が伸び、金融や内需に資金が回る相場ではTOPIX連動が伸びる。前回見た業種別騰落率の並びは、そのままどちらのファンドが勝つ相場かを示しているとも言えます。

【図1:「日本株ファンド」が連動指数で分岐する構造】

名前では分かりません

問題は、多くの人が自分の商品がどちらか分かっていないことです。

商品名に「日本株式インデックス」としか書かれていない場合、名前からは判断できません。確認する場所は決まっています。目論見書の「ベンチマーク」または「対象指数」の欄です。証券会社のアプリなら、商品ページの基本情報にたいてい一行で書いてあります。

見ると、日経225とTOPIX以外にも出てきます。JPX日経400、TOPIX Core30、東証グロース市場250指数。それぞれ中身が違います。

「配当込み」かどうか

もう一つ、あまり知られていない分岐があります。

ニュースで流れる日経平均やTOPIXは、配当を含まない指数です。一方、投資信託が連動先にしているのは配当込み指数(トータルリターン指数)であることが多い。株式の配当は年に1〜2%程度あるので、長い目で見ると、この二つは開いていきます。

「指数は10年で1.8倍なのに、自分の投信は2倍を超えている」という現象は、たいていこれです。喜ばしい方向のズレですが、ズレの理由を知らないまま持っているという点では、次に出てくる話と同じ構造をしています。


② 米国株の分岐 ── その基準価額は、いつの数字か

一日、ずれています

S&P500やNASDAQ100に連動する投資信託を持っている人の多くが、一度は同じところでつまずきます。

日本で買える米国指数連動の投資信託は、日本時間の午後に注文を締め切り、その日の基準価額を計算します。しかし米国市場が閉まるのは、日本時間の早朝です。したがって、その基準価額に反映されているのは、その日の朝までに終わった米国市場の終値です。

具体的に並べてみます。

  • 8月27日(木)の米国市場の終値 → 8月28日(金)に算出される基準価額に反映

  • 8月28日(金)の米国市場の終値 → 週末をはさんで、8月31日(月)に算出される基準価額に反映

【図2:米国指数連動の投資信託における反映のタイミング】

つまり、金曜の朝に「昨夜の米国株が大きく上がった」というニュースを見て、その日に買い注文を出しても、その上昇分はすでに価格に入っています。安く買えたわけではありません。

逆に、米国株が下げた翌営業日に「今日は下がるだろう」と思って基準価額を見ると、実際に下がっている。これは予想が当たったのではなく、単に一日前の結果を見ているだけです。

東証上場のETFは、また別です

同じ米国指数に連動していても、東証に上場しているETFは日本時間にリアルタイムで値がつきます

こちらは前の晩の米国終値をそのまま持ち込むのではなく、日本時間の間に動いている米国株先物や為替を織り込みながら動きます。だから同じS&P500を追う商品でも、投資信託とETFで、同じ日の騰落率は一致しません。

ここまでが、多くの解説記事が触れる範囲です。

ところが、時差を直しても合いません

問題はここからです。

前夜の米国指数と今日の基準価額を、時差を補正して正しく並べても、符号が逆になる日があります。米国の指数が下げたのに、日本の基準価額は上がっている。あるいはその逆。

これは計算ミスでも、ファンドの運用が下手なわけでもありません。三つ目の分岐が入っているからです。

そして、この三つ目こそが、「指数を見ていたのに自分の資産の増減が合わない」という戸惑いの、本当の正体です。


この続きは有料です(単品1,000円)。 第2回から第5回まで4本を単品で購入すると4,000円、メンバーシップβプラン(月1,000円)ならすべてお読みいただけます。同じ4本を読むなら、メンバーシップの方がずっと安く、さらに今後の回もすべて含まれます。

この先で扱う内容:
🔸
円建て評価がずれる仕組みと計算式
🔸為替ヘッジありを選ぶと何が消えて何が残るのか
🔸同じ指数でも手元に残る額が変わる三つの理由
🔸レバレッジ型が往復で削られる算数
🔸積立における「配分を見直す条件」の決め方


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