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生まれる権利と生まない権利。どちらが優先されるべきなのだろう。

人種差別や社会格差を扱うことが多い『COLD CASE』ですが、今回は「人工中絶」という重いテーマを扱ったエピソードになります。サブタイトルの「ボランティア」とは、劇中に登場する"当時違法とされていた人工中絶"をサポートするボランティアのことを指しています。

▼前回のエピソードはこちら


【REVIEW】女性に選択肢が無かったアメリカ

若い黒人男性と白人女性の遺体が、解体された古いビルの基礎から発見された。遺体が身に付けていた服装などから、彼らは1969年に行方不明になったジュリアとジェラルドだと判明する。彼らを殺害し建築中だったビルの現場に遺棄したのは誰だったのか? リリーたちはやがて、彼らが当時違法とされていた人工中絶を支援する活動に関わっていたことを知る。

S1-Ep16「ボランティア」(原題「Volunteers」)初回放送日:2004年3月7日

このエピソードに関して調べる中で、1973年の「ロー対ウェイド(Roe v. Wade)」といわれるアメリカ合衆国最高裁判所の判決の存在を知りました。わかりやすく言えば「女性が自身の妊娠状態を継続するか否かは、憲法上、個人の権利に含まれている」として、人工妊娠中絶を規制するアメリカ国内法は違憲であり無効だと、初めて示した判例のことです。

1820年代以降、アメリカでは母体に危険を及ぼすという理由から、1950年代までには殆どの州で人工中絶が禁止されていきました(堕胎しないと母体が危ない場合を除いて)。宗教的な背景も相まって、倫理的にもそういう考えが受け入れられやすいという土壌もあったのでしょう。

同裁判の原告の未婚女性ノーマ・マコービーは、実名を伏せて「ジェーン・ロー」という名前で裁判を起こしました。今回、劇中に登場するアンダーグラウンドの中絶支援組織の名前「ジェーン」はここから来ているようです(1969年から1973年の間「ジェーン・コレクティブ」として中絶サービスを提供する組織が実在していたそうです)。

1973年のこの判例以降、じわじわと人工中絶に対する理解は広がっているようですが、州によっては当時のままという地域もまだまだあり、この判決に対する議論はいまだ決着を見ていません。それどころか原告だったマコービー自身が「あの裁判は間違っていた」と翻ってしまっていたりします。

現代の日本でも同じような議論が長い間、社会の中に横たわっています。もちろん医療技術の進歩もあるし、最近ではピルなどで比較的低負荷で中絶することも出来るようになっているみたいで、60年代とは事情は異なっていると思いますが、女性たちにとって"望まない妊娠"が存在するのは変わりません。命の尊さ、少子化問題、ジェンダーや性にまつわる課題、そして女性が活躍するための社会構造など、さまざまな問題が複雑に絡み合ってきます。

僕などは劇中に登場した<ジェーン>のような組織の活動のおかげで、自分らしい人生を諦めなくて良かったと思える女性たちの姿を見ると、生まれる権利より、生まない権利のほうが大切な気がします。どちらが正解という話ではないし、ましてやこの議論を、欲しくても子供が授かれない人たちの苦しみと並べて語るのは違うと思っています。一番大切なのは、望まない妊娠をさせないこと、しないことなのは間違いないですけどね。

僕の頭の中では永遠に正解など出ない気もします。当事者にしか語れない問題に思います

【MUSIC】🎵 Get Together
🎤 ザ・ヤングブラッズ

1969年のアメリカは、音楽と社会運動が密接につながった年だったかもしれません。象徴的な出来事は、やはり「ウッドストック・フェスティバル」ではないでしょうか。40~50万人がニューヨークの会場に集まったといわれている伝説の野外フェス。3日間で約30組のアーティストが432曲以上を披露したそうです💦 

今回の劇中曲は、当時の匂いを色濃く反映したラインナップのような気がします。その中から1つ選ぶとしたら、エンディングのこの曲でしょうか。

『The Youngbloods』(1967年発売アルバム収録)

◉その他の劇中挿入歌

🎵 Volunteers 🎤 ジェファーソン・エアプレーン(1969年)
🎵 Somebody to Love 🎤 ジェファーソン・エアプレーン(1967年)
🎵 Mercy Mercy Me (The Ecology) 🎤 マービン・ゲイ(1978年)
🎵 A Whiter Shade of Pale 🎤 プロコル・ハラム(1978年)
🎵 love Is All Around 🎤ザ・トロッグス(1978年)
🎵 White Rabbit 🎤 ジェファーソン・エアプレーン(1977年)
🎵 I Shall Be Released 🎤 ジョー・コッカー(1978年)

「ウッドストック」がどんな場だったのかをざっくり解説してくれている動画を以下に貼っておきます。ただの野外フェスではなく、その場所で、当時の若者たちが社会に対して何を思い、どんな声を上げていたのかを感じることができます。個人的には、どこか昨今の若い世代に漂う空気感に似ているものを感じたりしています。 


【LOOK BACK JAPAN】1969年(昭和44年)

最後に、同じ年に日本で起きた出来事などを、僕の関心度の高いものを各月からひとつに絞ってピックアップ。その年にヒットした邦楽も紹介します!

◉メニホビ的トピックス

<1月>クイズ番組『クイズタイムショック』放送開始
<2月>新宿駅西口地下広場で反戦フォーク集会が実施される
<3月>『東映まんがまつり』がスタート
<4月>UCCが世界初の缶コーヒーを販売開始
<5月>東名高速道路が全線開通
<6月>日本初の原子力船「むつ」が進水式
<7月>アポロ11号の人類初有人月面着陸が日本でもTV中継される
<8月>映画『男はつらいよ』第1作が公開
<9月>「新東京国際空港(現・成田空港)」の建設が正式にスタート
<10月>『タイガーマスク』や『8時だョ!全員集合』が放送開始
<11月>日産自動車が「フェアレディZ」を発売
<12月>住友銀行(当時)が日本初の現金自動支払機を東京と大阪に設置

アポロの月面着陸以外では大きなニュースが見当たらない年。もちろん、ドラマの中でも触れられたようにベトナム戦争真っ只中で、日本でも若者たちの反戦運動に火が付いたりしてはいましたが、アメリカのように徴兵されるわけでもなく、伝説的なバラエティー番組やアニメが放送されたり、エポックメイキングな商品が生まれたりと、日本は良くも悪くもガラパゴス的に発展をしていってる感じですね。

◉メニホビ的ベストヒット邦楽

この年最大のヒットは由紀さおりさんの『夜明けのスキャット』(売上枚数約109万枚)で、他にも僕の好きないしだあゆみさんの『ブルーライト・ヨコハマ』(約100万枚)や、青江三奈さんなど女性シンガーたちが人気を博していたようです。そんな中で、大ヒットというわけではないですが、個人的にピックアップしたいのは、この年放送が始まったアニメ『タイガーマスク』の主題歌ですね。50年以上経った今聴いてもアドレナリンが溢れてくる、日本が誇るヒーローソングですよね。そろそろ実写化してもいいんじゃないでしょうか?

と持ったら、2013年にウエンツくん主役で実写化されてるんですね・・・知らなかった。というか僕の思ってるタイガーマスクと違うけどw


リリーの喫煙シーン。といってもハーブ煙草だそうで、真犯人特定のための喫煙でした

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