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花見の穴場スポット「震生湖」で桜を見て、「渋沢丘陵」でカントリー・ロードを歌う旅【神奈川県・秦野|自然探訪記】

なんだかんだで近年、少しだけ足を伸ばして桜を見に行く。
ほかの植物に比べて特別桜が好きなわけではないけれど、行ったら行ったで「ああ、きれいだな」と毎回思う。

今年もそれを、やってきた。
場所は、神奈川県の秦野市に位置する「震生湖しんせいこ渋沢丘陵しぶさわきゅうりょう」。


自然探訪仲間とは、横浜駅の相鉄線ホームで合流する予定“だった”。
彼とは地元が一緒なので、ほんとうはもっと家から近い駅で合流することもできる。
ただ、それをやらないのは、JR側に住んでいる彼と、京急側に住んでいる自分がどちらかの駅に行く(歩いて3分の距離)のを省いたからだ。

長い付き合いになると、たった3分でも心置きなく効率性を優先できてしまう。おそろしい。


朝の8時すぎ。横浜駅の相鉄線改札付近は人であふれかえっていた。電車の到着とタイミングがかぶってしまうと、毎回こうなってしまう。
前から押し寄せる人の波をかきわけて、なんとかホームにたどりつく。

先ほど「合流する予定“だった”」と書いたのは、結局のところ横浜駅では合流できなかったためだ。
元々乗る予定だった電車の次の次の次くらいの電車にギリギリ飛び乗った彼から「乗った」という報告を受け、急いで自分も乗車した。

正確には、合流“できなかった”というよりも、“しなかった”というほうが正しいかもしれない。同じ電車には乗っているのだから、車内を少し移動すれば簡単に合流できる。

それでもそうしようとは思わないところに、待ち合わせ場所の決め方と同じような「長い付き合い感」が滲み出ている。

30年来の男友達ともなれば、付き合いたてのカップルのような「1秒でも早く会いたい!」みたいな感情は、1mmも持ち合わせていないのだ。

彼に「乗り換えの海老名駅で合流しよう」とLINEを送ったあと、心置きなく読書に耽った。


震生湖に電車で行く場合の最寄駅は、小田急線の「秦野駅」。
前回(去年)この駅を利用したときの目的も「弘法山で桜を見る」だったので、2年連続で秦野の桜を見にいくことになる。


秦野には桜スポットがたくさんあるので、町としてもそれを推している。
興味がある人はぜひ、「はだの桜🌸マップ」をチェックしてみてほしい。

秦野市観光情報


海老名駅で無事に合流を果たしたおじさん2人は、そこから小田急線に乗り換えて秦野駅に向かった。
秦野駅に着いたのは、午前10時頃。横浜駅から秦野駅までは、だいたい1時間くらい。

「遅くとも10時頃までにはスタート地点に着きたい」となんとなく思っている身としては、まあ、ギリセーフといったところだろう。


改札を出てすぐ目の前にある小田急ストアで朝ごはんと昼ごはんを調達し、去年とは逆の南口から外へ出る。北口と比べると、南口はちょっとさみしい。
秦野駅には多くの登山・ハイキング客がいるのだが、北口からバスに乗ったり、歩いたりで山に向かう人が多い。


とんかつ まい泉のミニフィッシュバーガー

南口のロータリー付近にあった椅子にできそうなオブジェ?に腰をかけ、先ほど買った朝ごはんをさっそくいただいた。

この日の朝ごはんは、とんかつ まい泉のミニフィッシュバーガーとミニヒレカツバーガー。

かわいい見た目とサイズ感に惹かれて買ってみたのだが、そこはやっぱりまい泉さん。味もバッチリしっかりおいしい。

戦の前に外でサクッと食べる朝ごはんのおいしさったら、それはそれはいつだって最高だ。


ミニバーガーでお腹を満たしたら、いざ出発進行。
自宅でコピーしてきた頼りない地図を片手に、なんとなくで進む。

駅から10分ほど歩くと、たまたま通りがかった公園の桜が満開だった。
あまりに見事だったので、公園に寄ろうかとも思ったのだが、桜は“後のお楽しみ”ということで先を急いだ。(寄ってもよかったね)

【今泉名水桜公園】
公園内には全国名水百選「秦野盆地湧水群」の中でも最大級の湧水量を誇る「今泉湧水池」があります。この湧水は古くから太岳院池とよばれ地域の人々に親しまれてきました。
ほぼ一年を通して桜を楽しめるように開花時期の異なる18種類もの桜が植えられています。

今泉名水桜公園|秦野の“旬”な観光情報


頼りない地図で何となく進んでいるもんだから、ちょこちょこ道を間違える。それでも、着実に目的地には近づいていた。

山並みがだいぶ近くになってきたころ、県道62号線「はだの桜みち」という名の道路に突き当たった。
道を挟んで両脇に、ズラッと桜が続いている。どうやら、約6.2km(神奈川県内で一番長い)にわたって桜並木が続いているらしい。

秦野市観光協会


あのときは、「どこまで続いてるんだろうね〜」なんて言ってたのだが、6.2kmはマジですごい。
桜の季節にこの辺を通るような機会があれば、ぜひともこの道路を利用してみてほしい。


はだの桜みちの信号を渡ると、いよいよ丘の坂道歩きが始まる。
たまに吹くやさしい風のサポートを受けながら、ゆるやかな傾斜をのんびりと歩いた。

小高い丘から見渡す秦野の町とかわいい畑


標高が上がるにつれ、少しずつ顔を見せ始める秦野の町。
つい先ほど通った「はだの桜みち」の桜がどこまでも続いている様子も、ここからならよく見える。

気持ちいい。心身のいたるところが気持ちいい。


震生湖


そんなこんなで、無事に目的地の震生湖に着いた。

「震生湖」という名前は、この湖が関東大震災による地滑りによって誕生したことに由来する。
「地によってじた」ということ。


秦野駅からここまで、だいたい1時間くらい歩いたと思う。
AIに聞いてみると「徒歩で40〜50分くらい」と言うので、小さな道迷いの時間を加味するとやっぱり1時間くらいはかかったと思う。


震生湖はなんだかとても、しんとしていた。

とりあえず、湖の周りを回れる道を歩いてみる。(このときは橋の工事で一部通行止めだった)

すると、すぐ近くに桜がたくさん咲いている広場を発見した。ベンチもあるし、テーブルもある。(写真には写っていないけれど、4人掛けくらいのベンチ&テーブルがひとつあった)
それでいて、人っこ一人いない。

震生湖のすぐそばにある広場
花壇に咲いていたチューリップ


この桜が満開の時期に、こんなにいい場所に、人が一人もいないなんてことある?
最高最高。余は満足じゃ。

さっそくテーブルに広げますのは、秦野駅の小田急ストアで買ってきたお弁当。
今回チョイスしたのは、駅弁の「こゆるぎ」さん。
海老天やら、しゃけの塩焼きやら、唐揚げやら、なんだかいろいろなものが入っていた。

小田原の東華軒というところのお弁当らしい
ジャジャン!


うん、うまい!

普段から好き嫌いなく、たいがいのものを「うまい!」と思って食べている自分なのだが、自然探訪ランチはやっぱり格別。

何を食べても、だいたい3割増しでうまくなる。それが、自然探訪飯なのだ。


LOVE
LOVE2


お腹がいっぱいになると、ベンチをベッド代わりにしてお昼寝タイム。目線の先には、満開の桜がびっしり。これを「幸せ」と呼ばずして何を呼ぶのか。

桜は曇りの日のほうがきれいに見えるらしいよ

しばらくして、探索欲にかられたぼくはムクっと起き上がり、隣で寝ているおじさんを置いて1人散策を開始した。

まずは、すぐ下に見える赤い幟が並んでいるほうへ行ってみる。

福寿弁財天の幟

幟の先には福寿弁財天という小さな小さな神社があり、そこからさらに下に降りていくと再び震生湖に出れる。

せっかくなので、湖をぐるっと一周しよう。


「どこ行くの?あれ?お嬢ちゃんは?」

歩いている途中で、「自称・震生湖のボランティアガイド」のような雰囲気をまとったおじいさんが話しかけてきた。

「いや〜、フラフラしているだけです。お嬢ちゃん??」

そう返すと、おじいさんは頭に「?」をたくさん浮かべたご様子でこちらを見ている。

そのまま互いに「?」を抱えたまま2、3秒ほど見つめ合うと、結局おじいさんは無言のまま去っていった。(なんやねん!笑)


工事中で通れない場所を除いてざっと散策したあと、自然探訪仲間が寝ている広場へと戻ることにした。

すると、向こうから自分と同じくらいの背丈で、偶然にも同じような服装をした男性が小さな女の子を連れて歩いてきた。

なるほど。
さっきのおじいさんは、きっと彼と自分を間違えたに違いない。
スッキリスッキリ。


広場に舞い戻ると、自然探訪仲間は起きていた。

彼に湖の周りがどんな様子だったのかを簡単に説明したあと、次の目的地である渋沢丘陵に向かった。


震生湖を出て10分ほど歩くと、渋沢丘陵のハイキングコースに入ることができる。
正確には、どこからどこまでを渋沢丘陵と呼ぶのかいまいちわからないので、いつの間にか入っていたという感じだ。

【渋沢丘陵】
渋沢丘陵は秦野市南部に広がる丘陵地帯で、秦野駅と渋沢駅をつなぐハイキングコースとして親しまれている。標高は200メートルそこそこのなだらかな台地で、丹沢山塊の展望台としても知られる。北側に丹沢・大山の山並みが迫り、南側には相模湾や江の島を望むことができる。


自分たち以外誰もいないハイキングコースを気持ちよく歩いていると、連れが隣で往年の名曲「カントリー・ロード」を口ずさみ始めた。

間違いない。ここのテーマソングは、ジョン・デンバーのカントリー・ロードしかない。(チョイスがおじさん!)

すぐにSpotifyの検索窓に「カントリーロード」と打ち込み、いろんなバージョンがある中、オリジナルを選んで流した。


完璧。

これしかない。ジョン・デンバーのカントリー・ロードしか勝たん。
生まれてはじめて「勝たん」を使ってしまうほど、どう考えてもこれしか勝たんだった。

オリジナル以外のカバー曲もいくつか流してみたけれど、圧倒的にオリジナルがいい。

「カントリ〜〜〜ロ〜〜〜〜〜ド 🎶」

時代も国籍も超えて、ジョン・デンバーと日本人のおっさん2人による夢の共演が果たされた。


渋沢丘陵から見た景色


歌ったり、たわいもない話をしながら歩いていると、あっという間に町に出た。

震生湖から渋沢丘陵の終点までは、のんびり歩いて45分くらい。
比較的平坦な道のりなので、体力に自信がない方でも快適に歩けると思う。

町に出てからゴールの渋沢駅までは、だいたい30分くらいの道のり。
駅が近づくにつれ、狭い道路に車がけっこういて歩きづらい。


15時35分。渋沢駅に無事到着した。
これまでの自然探訪と比べて、ゴールにたどり着く時間が比較的早い。

「15時35分」と言い切れるのは、到着時間をメモしていたからだ。
自然探訪に出かける際は、ポイントポイントでなるべくタイムログを取ろうと思っている。

けれどこの日は、サボりにサボりすぎて、朝ごはんを食べ終えて秦野駅を出発した「10時50分」と、渋沢駅に到着した「15時35分」しか記録されていなかった。

たぶん、位置情報を利用して自動でタイムログが取れるようなアプリ的なものがあると思うんだけど、今のところ手動で記録している。


駅前のロータリー脇にあったベンチに腰をかけて、がっつり休憩。

たまにやってくる車からは、駅に送り届けられた人が降りてくる。送り届けられた人は送り届けてくれた人にお礼を言い、最後の別れの挨拶を済ませたあと、駅の改札へと向かう。

そういう光景を、ベンチからぼーっと眺めていた。
駅や空港に送り届ける人と送り届けられる人。
ごちゃごちゃした都会ではあまり目につかない(気にならない)けれど、地方に来るほどドラマチックに見える。

これまでの人生を振り返ると、自分はほとんど「送り届けられる」側の人間だったなと思う。
だからか、少しばかり「送り届ける」側の人間に憧れている。

いつか自分が地方に住んだときには、都会からやってきた人の送り迎えを喜んでしたいなあ、なんてことを思っている。


ほんの少し涼しくなってきた渋沢駅のベンチは、最高のコンディションだった。心地よくて、なかなか立ち上がれないし、立ち上がりたくない。

それでも、無情にも時間は過ぎてゆく。
重い重い腰をよっこらしょで持ち上げて、泣く泣く駅の改札に向かった。


今年もありがとう、秦野。また来るね。



🌳前回の自然探訪記

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