YS 1.13 継続すると確立されて安定する
ヨガの目的である「心の作用を止滅すること」。そのための二つの方法のうちひとつ、アビィヤーサから始めます。
※前回はこちらの『YS 1.12 こころを静かにするには』をどうぞ。
ヨーガ・スートラ第1章13節
तत्र स्थितौ यत्नोऽभ्यासः॥१३॥
tatra sthitau yatno-‘bhyāsaḥ ॥13॥
タットラ スティシオ ヤッテノービャーサハ
「Of the two (mentioned in the previous sutra) ‘to be established in the endeavour’ is abhyasa.」(1)
(継続して努力をすることによって、しっかりと安定することがアビィヤーサ)
そのまま読むだけで、なるほどと思える今回のスートラです。実は次のスートラ、アビィヤーサの2つの条件を教えてくれるんです。そんな分かりやすいの早く聞かせてよと思うところですが、パタンジャリがその前に明記すべきだと考えたこと、もう少しのぞきこんでみましょう。
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まずは今回のスートラの前半部分の『継続して努力をすることによって』というところについて。これ、読み比べている3つの解説が、みんな口をすっぱくして言ったり書いたりしているので、ぜひそうしましょう。継続が大事なのは、分かってますよね。大変なのは、実際に継続することだよなと思うところです。
インテグラル・ヨーガ (2) は、ヨガをしていない時間もやりたい放題にしてしまうのではなく、「すべての行為をことごとく吟味する永遠の監視者である」ようにとまで書いております。なんかちょっとハラハラしますが、マットの上で学んだこと、気付いたこと、理解したことを、日常生活であるオフザマットに徐々に活用していくこともその一つです。その逆もしかり。一朝一夕でできることではないから、やっぱり継続は大事。
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今回のスートラを構成するスティシオ(sthitau)というサンスクリット語は「しっかりと確定されたもの、確立されたこと」という意味で、yatnaというのは「(持続している)努力」という意味。そのまま直訳すると、持続する努力によって、しっかりと確立されることがアビィヤーサ。少し読みやすくすると、継続して努力をすることによって、しっかりと安定することがアビィヤーサ。こうしましょうという方法だけでなく、目的も一緒に含めてアビィヤーサです。
わざわざ訳をつくる過程をなぞったのは、スティシオという言葉にもうちょっと広がりがあることを知っているといいなと思ったからです。
「確立した」コトやモノって、多くの場合「安定している」から、1つの単語に、この2つの意味が含まれているわけです。こういう広がりって、実は因果関係だったり、時系列にみて派生する順番が発生する順番であったりします。もう一回書きますが、「確立」しているから、「安定」できる。結果として、達成していく段階も教えてくれているんです。
悲しかったりつらいことに振り回されない心の安定を望んでも、心の安定が実際にどういうことなのか分からないと、雲をつかむような作業になります。だから、心を確立するっていう1ステップ増やすことで、ちょっとトライしやすくなる(ほんとにちょっとだけだけど)。でも、今回のスートラは、それを継続して努力するんだよと言っているので、いいんです。継続して努力するならば。
そして、その確立したがゆえに安定した心、それが『ヨガとは、心や感情の揺れが静止した状態のことである(YS 1,1)』と最初にヨーガ・スートラが教えてくれた、ヨガの目指すところというわけです。
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ハリーシャ (3) は、数多くある『ヨーガ・スートラ』解説本の中で、これはパタンジャリ自身が書いたのではないかというのを参照しながら解説しています。そして、そこには、心の安定というのは心が休んでスイッチをオフにしているわけではなくて、平和で穏やかでありながら、スイッチはオンなままだよと書いてあるそうです。
これぴんと来る人いるだろうなと思いますが、八支則のダーラナにつながっていく種がここでこっそりまかれているわけです。厳密にいえば、八支則のどのプロジェクトにおいてもカギとなる大事なアイディアだよなと思いますけど。それでもとにかく、おおすごい。
なんのこっちゃという方はぜひ、ゆっくり確立していくこのプロセスをただ楽しみにしていてください。パタンジャリに転がしてもらえつくせるのは、最初の一巡だけですからね。どうぞ大事に。
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話を単語の意味に戻しますが、ハリーシャ (3) 曰く、このスティシオ(sthitau)は、英語の「勉強する(study)」と同じ語源を持つそうですよ。ひーすごい。この言葉が、ながーーーーーい時間をかけて、「勉強する」から、「確率する」に発展して、「安定する」というところまで変化してきているわけです。ロマンがあるなと思うこれ、賛同してくれる方いるはず。
そんなわけで、ロマンのつまったサンスクリット語。今週のスートラもぜひ音読しましょう。今回は発音が難しくて、カタカナにどう起こすか悩みましたが、聞いてみてどうでしょうか。そして、とにかくアビィヤーサしようじゃないですか。
ここから、アビィヤーサの2つの条件についてに続きます。次回のヨーガ・スートラ第1章13節はこちらから⇩
※ 本記事の参考文献はこちらから
(2020年8月25日 追記)
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